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zoom RSS 第1021回 高血圧の糖尿病患者への新ガイドライン/米国糖尿病学会

<<   作成日時 : 2017/10/22 17:22   >>

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8月22日付でDiabetes Careに新しいステートメントがオンライン発表されました。これは2003年以来ADA(米国糖尿病学会)では初となる高血圧治療ガイドラインに関するアップデートです。

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Position statementのハイライト

・高血圧症とは、少なくとも2回に分けて測定した血圧値が140/90 mmHg以上であることと定義する。

・自宅での血圧モニタリングは、高血圧および糖尿病のすべての患者に推奨されるべきである。自宅での血圧モニタリングは、病院の診察室などで一過性の高血圧が計測される仮面高血圧のひとつである“白衣高血圧”を識別するのに役立ち、心血管イベントのリスクと診療ベースの血圧測定値との相関性を高めることができる。また、患者の関わり合いを深め、且つ、治療の順守性を確認するために行う必要がある。

・糖尿病患者は起立性低血圧症のリスクが高く、これらの患者の起立性低血圧症は死亡率および心不全リスクと大きく関連している。したがって、糖尿病患者は、高血圧の診断時および定期的に起立性血圧測定値を用いて定期的に評価されるべきである。

・アルファ遮断薬と利尿薬は、特に起立性低血圧を促進することがある。

・糖尿病患者の高血圧治療の一般的な目標は、140 / 90mmHgより低くなければいけない。しかし、患者と臨床医は、個別の治療目標を確立するために一丸となって取り組まなければならない。

・心血管イベント特に脳卒中のリスクがとりわけて高い有意な合併症のない患者には、130 / 80mmHg未満の血圧目標を用いることができる。

・対照的に、虚弱で身体機能の劣る高齢の患者は、目標収縮期血圧が145〜160の方がうまくいく可能性がある。

・糖尿病の患者および血圧が120 / 80mmHgを超える患者、ならびに高血圧の患者には、ライフスタイル介入を推奨すべきである。

・糖尿病の治療における高血圧の治療には、ACE阻害薬、ARB、チアジド様利尿薬、またはジヒドロピリジンカルシウムチャネル遮断薬(CCB)が含まれ得る。

・160/100 mmHg以上の確定血圧を有する患者は、血圧を低下させるために二剤治療を受けなければならない。

・ACE阻害薬またはARBは、糖尿病と腎症が明らかな患者の降圧薬として好まれている。 ACE阻害剤は通常ARBと組み合わせて使用してはならない。

・少なくとも3種類の薬剤で治療が上手くいかなかった患者は、認定高血圧症専門医に紹介されるべきである。ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニストは、これらの場合に有用であり得る。


臨床的意義

・現行の推奨は、糖尿病と高血圧の患者は総て、起立性低血圧を初診のみならず定期的に測定されるべきことを示唆している。また、そのような患者のために自宅での血圧モニタリングを勧めている。

・糖尿病の治療における高血圧の治療には、ACE阻害薬、ARB、チアジド様利尿薬、ジヒドロピリジンCCBが含まれる。

・ヘルスケアチームへの示唆:糖尿病と高血圧の患者は、正確なクリニック測定から普遍的な自宅での血圧モニタリングまで、血圧値を正しく把握することを現行の推奨事項は強調している。


<補足説明>

臨床状況:
血圧の測定は少なくとも5分間の安静後に行うべきである。
理想的には2〜3回の測定の平均値を記録する。
血圧測定中は、上腕は心臓レベルの高さとして足は床に着ける。
因みに、自動測定器は臨床スタッフによる聴診によって記録された値よりも5〜10mmHg低いことが多い。
糖尿病患者は来院ごとに血圧測定をする必要がある。

声明の概要と展望:
糖尿病患者の血圧測定は、米国糖尿病学会(ADA)の新勧告に従って、来院ごとに立位で測定しなければならい。潜在的なボリュームの減少だけでなく、自律神経機能のいずれをも評価するためである。

殆どの成人糖尿病では140/90 mm Hg未満を目標値とすることで、心血管イベントだけでなく、幾つかの微小血管合併症を減少させることができる。これを裏付ける明確なエビデンスがある。
Washington大学に籍を置きADA Professional Practice Committeeを兼任するDr. Ian H. de Boerはこのように述べている。

「心血管疾患リスクの高い患者では、もし不当な治療負担なしに達成できるならば130/80未満 or 120/80未満の低い目標値が推奨される」とレポート作成者は示唆している。また、「このような集中的な血圧コントロールは、臨床試験の画期的な臨床試験およびメタアナリシスで評価されている」と語っている。

今回アップデートされた推奨事項は、ACCORD BP試験/ADVANCEBP試験/HOT試験/SPRINT試験を含む137件の臨床研究とメタ解析のレビューに基づいている。

「個別の治療は、各患者の併存疾患だけでなく、アテローム性動脈硬化性心血管疾患、心不全、進行性糖尿病性腎疾患、および網膜症イベントなどの減少見込み並びに有害事象リスクに基づいていなければならない」Dr de Boerらは述べている。

上席著者であるシカゴ大学医学部のDr. George Bakrisは、「血圧測定は"much more care than has been given"の細心の注意を払って行う必要がある」と語っている。加えて、「血圧を測定する人は総てがアメリカ心臓協会のガイドラインに従うべきだろう」、さらに、「血圧の目標はライフスタイルを通じて達成されるべきであり、患者には塩分制限と快眠の重要性をしっかりと理解させることが必要である」と強調している。

ミシガン大学のDr. Sverre E. Kjeldsenは、「今回のアップデートは良くできているが、ACCORD試験では立位血圧の目標値は120〜140と示唆されていることは見逃せないポイントである」とコメントしている(N Engl J Med. 2010; 362:1575-1585[2])

「立位血圧を120未満にする必要はない。120mmHg以上に保つことで起立性低血圧を避ける方が簡単かもしれない」とDr. Kjeldsenは述べている。

実際、ADA新勧告の著者は、「ACCORDでは120未満の目標収縮期血圧は、心筋梗塞/脳卒中/心臓血管死の主要なアウトカムで有意差をもたらさなかったこと。また、脳卒中が41%低下したにもかかわらず、低血圧/電解質異常/血清クレアチニンの上昇率が有意に高かったこと」を特筆している。

Dr. Kjeldsenはまた「レポートにはSPRINTの所見を含めてはならない。SPRINTでは糖尿病患者を除外している。ヨーロッパでのSPRINT研究は信じるに値しない」とも語っている。

ヨーロッパでは、自宅での血圧測定は必ずしも信頼できるとは限らない。故に、24時間血圧測定を行うことがある。夜間血圧の上昇を経験した患者は、夜間に降圧薬を服用すれば良いかもしれないと彼は付け加えている。

1件の無作為化臨床試験で、就寝時に少なくとも1つの抗高血圧薬を服用した場合、少数の心臓血管事象が有意に減少したことが報告されている。

参考文献
Medscape
October 22, 2017
ADA Updates Guidelines for Patients With Hypertension, Diabetes





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