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zoom RSS 第1015回 糖質制限の第一人者Gary Taubesを斬る!

<<   作成日時 : 2017/10/11 09:02   >>

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あなたはCarboholics(糖質中毒)?
糖質を絶つのは何故キツイのか!


わたしの場合は、デザート、パスタ、パンといった美味しいものを少しだけ食べても満足できません。寧ろ、もっと食べたいという強い欲望に駆られてしまいます。
Sugar、穀物、でんぷんなど適量を食べようとするより、完全に避けるほうが簡単だと感じています。
実は、これらの食品はインスリンレベルを高め、その結果として糖質を多く含む食品への渇望が高まってしまうのです。

2017年7月19日付けニューヨークタイムズ紙で、Mr. Gary Taubesはこのような切り口で述べています。

この記事に対しMr. Stephan Guyenetが一刀両断に反駁しています。
その内容骨子をダイジェストすると次の通りです:

Taubesは、カリフォルニア大学の小児科教授Dr. Robert Lustigやボストン小児病院のDr. David Ludwigのspeculation〔不確かな情報に基づく推論〕を引用しているだけで科学的エビデンスに基づいていません。
血中のインスリンレベルが高まると、sugarなど糖質やデザート食品への渇望を促すことを示唆する研究データなど存在しないことは私の中では確信に近いです。

食べ物、セックス、賭博など私たちが生活の中で渇望するものは他にも沢山ありますが、それらを欲しがる理由を理解するためには乱用薬物で説明するのが分かり易いでしょう。

依存性薬物は、脳内のドーパミンシグナル伝達経路を刺激するため癖になります(注2)。この経路は、生理的レベルで物事に対するモチベーション(動機付け)つまり渇望と呼ばれるものを決定づけます。それは私たちの遠い祖先の繁殖成功に重要な食べ物、水、セックス、シェルター、社会的地位などを得るように進化・発展しました。
だから、薬物が脳内ドーパミンのレベルを増加させると薬物への欲求が増して、延いては渇望するようになるのです。心理学ではこれをreinforcement(強化)と呼びます。

アンフェタミンやコカインなど幾つかの薬物は、脳内のドーパミン濃度を上昇させるのに非常に優れています(3)。つまり、それらはモチベーションを高めることにも非常に優れていることを意味します。薬物を繰り返して服用しモチベーション/渇望レベルが一定の閾値を超えると、脳は暗黙のうちに就労維持や法律遵守と言った建設的行動を超えて薬物探索行への優先順位付けを始めます。それを依存・中毒と呼びます。

もちろんインスリンは薬物強化と再発行動に介入していません。直接的に脳に作用しドーパミンのスパイクを引き起こします。血中インスリン濃度が高まると依存的行動を悪化させるということは明らかになっていません。アルコール、ギャンブル、セックス、またはビデオゲームへの渇望や依存が、インスリンレベルの昂進に起因するとは誰もが信じていないでしょう。食物強化は例外ということなのでしょうか?

薬物と同様に、食物強化は脳内でドーパミンをスパイクすることで作用します。
問題は食物が脳のドーパミンレベルをどのように高めるかということです。

Sclafaniらの研究によると、食物強化は主に小腸上部が糖質/脂肪/タンパク質を検出し、脳内ドーパミン濃度が亢進すると起こることが示されています** (6,6b)…因みに、sugarを検出する口内の味覚受容体についても程度は低いが同様のことが言えます。亦、脳内ドーパミンをスパイクし肝臓の門脈にグルコースを注入することによって強化を引き起こすことができるが、この知見は一貫して再現されていません(7,8)。
複数の実験を行い、強化におけるインスリンの役割に関する証拠を検討した後で、Sclafaniらは、「これらのデータはグルコースベースの強化におけるインスリンの主たる役割を示唆していない」と結論づけました(9)。
彼らがこの結論に至った理由の一つは、「インスリンは脳内で作用して、甘味の伝達と脳報酬システムのsugar活性化を低下させる可能性がある」ということを示唆するエビデンスです(10,11)。

さらに、インスリンがドーパミンをスパイクし最終的に食物強化を引き起こすとするなら、脂質はインスリン分泌を低下させるので同じ効果が生じる筈もないのですが、実際には脂質の強化作用は非常に強い。Taubesはこの点を読者に伝えることを怠っています。(12,13,14)。

本質的に、脳は食物の特性によって動機づけられるようにプログラミングされています。
だからこそ私たちの遠い祖先は生き延びて繁殖してきました。

脳は、口中の受容器、小腸上部および肝臓を介して食べたものの組成や量を無意識レベルで分析・計測します。
食べたものがお好みのものであればドーパミンが分泌されます。
食べ物に含まれる脂質/sugar/でんぷん/タンパク質/塩の量が多いほど、ドーパミンの分泌量は高まります。
ドーパミンの分泌量が多ければ多いほど、あなたの渇望は昂進します。
私たちがクッキーやベーコンをしきりと欲しがりますが、レンズ豆やセロリではそうならないのもこのような理由によるものです。

脂質、sugar、澱粉、塩、および美味のものを巧みに組み合わせた食品は、多量のドーパミン分泌をもたらし、感受性の高い人では時には中毒にいたらしめる可能性があります。
そういった問題ある食べ物を永い間遠ざけた後で、夕食テーブルの前に突然それを置くと、潜在的な渇望経路が薬物と同じように再活性化されます。
インスリンは必要ありません。

私が知る限りでは、このプロセスにインスリンが関連していること、或いは、慢性的にインスリンレベルが高まると関連度がさらに強くなることを示すエビデンスはありません。逆に、有用なエビデンスがインスリンは関連していない可能性を示唆しています。

Fatoholics(脂質中毒)について

食べたくなるものの多くが甘い食品ではない事実を考えると、Taubesの話は更に崩れてしまいます。

最近Rob Markusらは嗜癖様行動に最もよく関連する食物の種類を特定する論文を発表しました(15)。


この中には「風味のある高脂肪(30%)食品や甘い高脂肪(25%)食品では大多数の人たちが嗜癖様行動を示し、風味のある低脂肪(2%)食品やsugar入り(5%)食品では少人数の人たちが嗜癖様行動を示したこと」、更に「過体重は、風味のある高脂肪食品と甘い高脂肪食品への嗜癖様行動のみと関連し(P < 0.0001)、砂糖入り食品では関連性は認められなかったこと」が記されています。

この研究結果からはCarboholics(糖質中毒)より fatoholics(脂質中毒)の方が一般的であるように思えます。

Taubesは、嗜癖様行動を引き起こすデザートやスウィートは高脂肪であることには言及しておらず、sugarのみであると見做しています。

私たちの体は千種万別に出来ており過食を促す食品も人によって様々です。
糖質中毒になる人もいれば脂質中毒になる人もいます。
両方の人、或いはいずれでもない人もいます。

中毒でなくとも強化された食べ物に遭遇すると大概の人は沢山食べてしまいます。

Taubesの場合はもっぱらアメリカの夕食テーブルでは典型的なパン/パスタ/甘いデザートのような食べ物には異常な強化反応を示すようにプログラミングされており、風味豊かな高脂肪食品にはそうなってないのでしょう。


注:
Carbohydrateは炭水化物ではなく糖質と訳しました。
Sugarは砂糖だけでなく遊離糖を指すと解しています。





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