第1066回 視点を寿命より健康寿命に向けるべき


寿命(Lifespan)とは一生の期間であり、余命(life expectancy=expectation of life)とはある年齢の人があと何年生きられるか、つまり、これから先残っている命の期間を指し、健康寿命(healthspan)とは各人の人生の中で健康を維持できている期間のことです。そして、フレイル(高齢による運動機能や認知機能の低下)や疾患で苦しむ人生最後の期間をレッドゾーンと呼びます。

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米国医師会の医学ジャーナルJAMA 2018/9/17付けタイトル “From Lifespan to Healthspan”で、米国イリノイ大学のDr. Jay Olshanskyは次のように語っています。

抜粋

19世紀の後半に下水処理設備や清潔な水の供給など公衆衛生構想への取り組みが始まり、死亡率は低減し寿命は急速に延びた。20世紀に入った頃は、先進国での平均寿命は45歳~50歳だった。ここ数十年間は寿命の上昇率はかなり減速しており、最大寿命に大きな変化は見られない。

今や先進国で生まれた乳児の96%が50歳以上、そして84%以上が65歳以上まで生存している。全ての死亡の75%は65~95歳で起きている。

人間の寿命には無限の可能性があるという楽観論もあるが、今日の科学と医学に基づけば今世紀に最大寿命が有意に延びる可能性は無い。

否、極端に長く生きながらえても、疾病や障害がいっそう付きまといがちとなる。
あなたは最後の20年間が痛みと病気の日々になろうとも、100歳以上まで生きたいと思いますか?
私は衰弱や病気で苦しむ人生最後の期間をレッドゾーンと呼ぶんでいるが、そんな期間は可能な限り短縮できれば理想的でしょう。
健康に長く生きることを考えず寿命を延ばすことに執着し続けるべきではないと思う。
私たちは、視点を「レッドゾーン」延いては「健康寿命を延ばすこと」に集中すべきです。

マイコメント
胃瘻で病床に長く伏せていた亡き義母を思うと今でも胸が痛くなります。


出典:
Science Daily
September 17, 2018
Shifting focus from life extension to 'healthspan' extension