第1086回 高強度インターバル(HIIT)の効用


短い高強度インターバル(HIIT)やスプリントトレーニングで、moderate強度で長時間の有酸素運動と同様のミトコンドリア機能の改善が出来る。

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American Physiological Society.
2018/9/5
Acute HIIE elicits similar changes in human skeletal muscle mitochondrial H2O2 release, respiration and cell signaling as endurance exercise even with less work


高強度インターバル運動(HIIE)が、伝統的な持久力運動と同様に明確な分子応答を誘発するかどうかは依然として不明である。故に、運動強度が“骨格筋ミトコンドリアの機能(呼吸および活性酸素種)、代謝およびレックス(酸化還元)シグナリング応答”に及ぼす影響を調べることにした。

(注)活性酸素種(reactive oxygen species:ROS)の産生は好気性生物において不可避の現象であり、健康な細胞ではその発生がコントロールされています。しかし酸化ストレス条件下では、ROSの産生が劇的に増加し、その結果、膜脂質、タンパク質、および核酸に変化が起こります。

無作為化、反復測定クロスオーバ設計で、8人のアクティブな若者(24±5歳; VO2 peak 48±11 mL.kg-1.min-1)を被験者として、次の3つの運動(サイクリング)のいずれかに割り付けた。各運動ともに7日以上の間隔を置いた。

ほどほどの強度での連続的な有酸素運動(CMIE):30分、50% peak power output

高強度インターバル(HIIT):5 x 4分、75% PPO、1分rest、CMIEとworkマッチ)

低ボリュームスプリントインターバル(SIE):4 x 30秒、4.5分インターバル

ベースラインで筋生検を採取し、運動直後と3時間後にJO2を用いてミトコンドリアの酸素消費能、過酸化水素の排出(JH2O2)、遺伝子およびタンパク質発現分析を行った。

(注)peak power output(PPO)はVO2maxの凡そ94%です。

運動直後およびプロトコールに関係なく、JO2はcomplex I+II leak/state-4呼吸中に増加したが、JH2O2は減少した(p <0.05)

AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)およびアセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)リン酸化はそれぞれ約1.5倍および2.5倍増加したが、チオレドキシンレダクターゼ1タンパク質は、SIE群よりCMIE群の方が約35%低かった(p <0.05)。

運動後3時間ではプロトコールに関係なく、JO2は“ADP刺激ステロイド3 OXPHOS”および“非結合呼吸”の両方で低かったが(p <0.05)、JH 202はより高い傾向を示した(p <0.08)。
PPARGC1A mRNAは約13倍に増加し、ペルオキシレドキシン-1タンパク質は約35%減少した。

結論として、高強度インターバル運動は、総負荷量をマッチさせるかどうかにかかわらず、持久力運動と比較して筋ミトコンドリア機能に同様の動的効果を有する。これは、
いずれの運動も有益な代謝適応を促進する分子シグナルを生成するので、個人個人の嗜好で運動パターンを選択できることを示唆している。

マイコメント
しかし、強靭な松田選手の急性心筋梗塞による突然死は、サッカー界のみならずスポーツ界全体に大きな衝撃を与えました。ましてやセデンタリーの肥満者が一念発起して無理な運動をすると思わぬ事故につながります。
どんな運動もそれぞれに多様な効用があります。インターバルランニングは心肺フィットネスと耐糖能については有効ですが、高脂血症と肥満の解消には、長時間ランニングの方が効果が大きく、更に、筋力トレーニングとの比較では、筋肉の質量アップ及び骨格には何らの効果も無いという研究報告もあります。
最も大切なことは自分の年齢/体力や目的など、つまり、先ずは個別性に適う運動を選択することです。そして、斬進性・過負荷の原則も加味していかなければ効果は薄れていくことも覚えておいてください。

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高強度インターバルトレーニング(HIIT)はHIIEとも呼ばれます。
いずれ纏めてみようかとは思っていますが、不取敢は下記の記事を読んでおいてください。

・第268回 高強度インターバルトレーニング
・第341回 HIIT vs FMD
・第729回 インターバルウォーキング vs 血糖値コントロール
・第761回 高強度インターバルトレーニング vs 心臓自律神経機能
・第879回 下半身/上半身HIITの代謝反応と炎症反応の相違
・第884回 高強度インターバルトレーニングへの感情反応