第1093回 カロリー制限のない高炭水化物/低脂肪食で体重・体脂肪が減少しインスリン機能が改善する!


完全菜食を促す米国の非営利組織PCRM(Physicians Committee for Responsible Medicine)らからの研究報告です。

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Nutrients
2018/9/14
A Plant-Based High-Carbohydrate, Low-Fat Diet in Overweight Individuals in a 16-Week Randomized Clinical Trial: The Role of Carbohydrates

研究デザイン:
16週間のランダム化臨床試験
75名(男性8名、女性67名)…この内、9名が脂質低下療法、18名が抗高血圧治療、9名が甲状腺剤による薬物療法を受けている。
BMI 28~40
年齢53.2 ± 12.6

目的:
被験者を2群に割り付け、低脂肪/ビーガン食(介入群)が体重、体組成、およびインスリン抵抗性に及ぼす影響に加えて、炭水化物摂取量の増減が体組成とインスリン抵抗性に及ぼす影響についても追加的に調べた。

介入群
38名
野菜、穀類、マメ科植物および果物など植物性食品が多い低脂肪/ビーガン食とする。
動物性食品や添加の油脂は避け一日20~30gとする。
カロリーと炭水化物の摂取量に制限なし。
先ずは管理栄養士との1時間のミーティングで適切な食事計画を立て、その後は毎週1時間のミーティングで医師/管理栄養士/調理講師による栄養と料理の指導を受けた。

対照群
37名
肉や乳製品を含む通常通りの食事をする。

両群ともに身体活動量は変えず維持し、治療中の薬剤も現状通りとした。

測定:
二重エネルギーX線吸収測定法を用いて体組成を測定した。
インスリン抵抗性は、ホメオスタシスモデルアセスメント(HOMA-IR)指数で評価した。
反復測定ANOVAモデルを用いて、ベースラインから16週間までの群間の差異を試験した。
線形回帰モデルを使用して、炭水化物摂取量と体組成およびインスリン抵抗性との間の関係を試験した。

結果:
低脂肪/ビーガン群で有意に体重が減少した(治療効果-6.5 [95%CI -8.9〜-4.1] kg; Gxt、p <0.001)

低脂肪/ビーガン群で脂肪量が減少した(処置効果-4.3 [95%CI -5.4〜-3.2] kg; Gxt、p <0.001)。

HOMA-IRは、低脂肪/ビーガン群で有意に減少した(処置効果-1.0 [95%CI -1.2〜-0.8]; Gxt、p = 0.004)。

炭水化物摂取量の増加(%)は、BMI(r = -0.53、p <0.001)、体脂肪量(r = -0.55、p <0.001)、内臓脂肪量(r = 0.35、p = 0.006)、およびHOMA(r = -0.27、p = 0.04)と負の関連性が認められた。

これらの関連性は、エネルギー摂取量の調整後も有意なままであった。

トータル食物繊維および不溶性繊維の摂取量の増加は、BMI(r = -0.43、p <0.001; r = -0.46、p <0.001)、脂肪量(r = -0.42、p <0.001; r = -0.46、p <0.001)、内臓脂肪量(それぞれr = -0.29、p = 0.03、r = -0.32、p = 0.01)と負の関連性が見られた。
これらの関連性はエネルギー摂取量の調節後でさえも有意なままであった。

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結論:
植物ベースの高炭水化物/低脂肪の食事をしつつ、炭水化物および食物繊維の摂取量が増えると、体重、体組成、およびインスリン抵抗性に有益な効果をもたらす。

マイコメント
掲題のタイトルは少々センセーショナル気味ですが、食物繊維に魔法のパワーがあるといったことを裏付ける研究ではありません。
炭水化物46%/脂質36%取っていた人が16週間の低脂肪/ビーガン食(菜食主義)に変えることで、身体活動量が増え(2207→2490kcal)/総摂取量(1851→1450kcal)が減り、延いては、体重(92→86kg)および体脂肪の減少(42→38kg)とインスリン抵抗性の改善が見られたという内容です。

因みに、体重90kgの維持カロリーは、普段の活動レベルを軽度と想定して90kg x 30kcal=2700kcalですから、介入群で体重や体脂肪が減るのは当たり前です。
炭水化物をたくさん食べてもアンダーカロリーなら体脂肪となって蓄積されないという当ブログの考え方を支持しています…第178回 肥満のメカニズム

対照群では身体活動量が減っていますが(2642→2575kcal)、総摂取量はそれ以上に減っています(1923→1582kcal)。しかし、体重は91.75kgから92.32kgへ、そして体脂肪量は39.07kgから39.41kgへと微増しています。
この理由を、“自己報告の場合には肥満者は摂取量を過少報告する傾向があるが、対照群では正にその通りだった”と研究者は述べています。

注:エクササイズ量は変えないように指示していることから、ここで言っている身体活動量とは消費量という意味だと思います。

また、研究者は次のように語っています:
この研究では、糖質制限主唱者が目の敵にする“でんぷん”の摂取量を増やすと、体重と体組成値が改善したことが示されている。
複合炭水化物は食物繊維が豊富で、余分なカロリーを摂らずとも料理のかさを増しとなる。先行研究でも、食物繊維の豊富な食事が減量に有効であること、また2型糖尿病や心疾患、特定のがんリスクを低下させる可能性があることが示されている。
The Lancetに掲載された最近の研究でも、動物性の低炭水化物ダイエットを食べる人の平均余命は短いことが報告されいる…第1049回 糖質制限は寿命を縮める!?