第1097回 医療分野における産学連携の実態


ワクチン、薬剤、及び医療機器に関する企業から資金提供を受けた研究では、デザイン/実施/報告に企業側の社員が深く関与しているようだ。

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BMJ
2018/10/3
Collaboration between academics and industry in clinical trials:cross sectional study of publications and survey of lead academic authors

目的:
企業から資金提供を受けたワクチン、薬剤、医療機器に関する試験における、学術機関の研究者(著者)、資金提供企業、及び受託試験機関それぞれの役割に加えて、学術機関の筆頭著者が経験した資金提供企業との連携協力を明らかにすることである。

デザイン:
研究論文のCross sectional解析と主筆著者の調査

適格基準:
影響力が大きい7つの医学雑誌(NEJM、Lancet、JAMA、BMJ、Annals of Internal Medicine、JAMA Internal Medicine、PLOS Medicine)に掲載され、且つ、少なくとも著者の一人が学術機関(クリニック、病院、大学、非営利学術リサーチセンター)に属していることを前提に、企業が資金提供したワクチン、薬剤、医療機器に関する最近の論文を検索し、最終的に第III相・第IV相試験200件の研究報告を選択した。

結果:

研究論文200件中、173件(87%)は資金提供企業の社員が共著者だった。

・試験デザイン
183件(92%)に資金提供企業の社員が関与
167件(84%)に学術機関の著者が関与

・データ解析
146件(73%)に資金提供企業の社員が関与
79件(40%)に学術機関の著者が関与

・試験報告
173件(87%)に資金提供企業の社員が関与
197件(99%)に学術機関の著者が関与
123 (62%)に受託試験機関が関与

学術機関の筆頭著者200人のうち80人(40%)が調査に回答した。

そのうち29名(33%)は、学術機関がデザインの最終決定をしたと報告。
10名は、著者名に記載のない資金提携企業/受託試験機関の社員がデータ解析や報告に関与したと報告。

学術機関の大半の著者は産学提携が有益であると報告したが、3人(4%)は資金提供企業に起因した報告発表の遅延があったと述べ、9人(11%)は主に試験デザインや報告に関して資金提供企業と意見の相違があったと述べた。

結論:
インパクトの高い医学ジャーナルに記載の、企業が資金提供した殆どの試験のデザイン、実施、報告に、学術機関の著者及び資金提供企業の社員が関与している。
しかし、データの解析は、学術機関の著者が関与することなく行われているケースが散見される。学術機関は産学連携が有益であるとの考えを示しつつ、学術研究の自由が失われている事実も併せて報告している。