第1100回 乳酸レベルと筋細胞内pH回復との関係


運動により動脈内の乳酸レベルが高まると筋細胞内pHの回復が遅れる。
ローイングの方がハンドグリップより回復が遅い。

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European Journal of Applied Physiology
November 2018, Volume 118, Issue 11, pp 2429–2434 | Cite as
Elevated arterial lactate delays recovery of intracellular muscle pH after exercise

目的:
ハンドグリップ/ローイングエククサイズ後の筋プロトン除去を評価すること。

方法:
7人の被験者に約5分間のハンドグリップまたはローイング運動をやってもらい、前腕の動脈および静脈から採血すると同時に、手首屈筋の細胞内応答を31 P核磁気共鳴スペクトロスコピーにより評価した。

結果:
ローイング及びハンドグリップエクササイズで、細胞内pHは6.3±0.2/6.95±0.06まで、動脈pHは7.09 ± 0.03/7.40 ± 0.03まで、静脈pHは6.95 ± 0.06/7.20 ± 0.04までそれぞれに減少した(P <0.05)。

動脈および静脈の乳酸塩は、ローイング後にそれぞれ17.5±1.6/20.0±1.6mMに増加し、ハンドグリップ後には2.6±0.8/6.8±0.8mMに増加した。

重炭酸塩およびリン酸クレアチン回復キネティクスの動静脈濃度差(T50% rowing 1.5±0.7分;handgrip 1.4±1.0分)は、ローイング及びハンドグリップいずれも同様であった。

しかし、前腕屈筋群の筋肉内pH回復は、ハンドグリップよりもローイング後の方が3.5倍遅かった(T50% rowing of 2 ± 0.1 vs. 7 ± 0.3 min for handgrip).。

結論:
ローイング運動はハンドグリップ運動と比較して細胞内pH回復を遅らせるようだ。その主な理由は恐らくハンドグリップよりローイングが全身乳酸濃度を高めるためであろう。したがって、細胞内から細胞外への乳酸塩シフトはローイング後には小さい。この乳酸塩シフトは筋肉内の細胞内乳酸塩除去の主駆動力であり、細胞内pHの正常化は細胞内乳酸塩除去と密接に関連するので、ローイングはハンドグリップと比較して細胞内pH回復が遅くなる。