第1079回 摂食行動の遺伝形質の役割について


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The American Journal of Clinical Nutrition
2018 September
The role of eating behavior traits in mediating genetic susceptibility to obesity

背景:
ゲノムワイド関連研究(GWAS)は、肥満に関連するいくつかの遺伝子を同定した。これらの遺伝子が体重に影響を及ぼすメカニズムは、完全に特徴づけられていない。最近の研究は、摂食行動(EB)形質が関与する可能性があることを示唆しているが、EB形質に関する研究は僅かしかない。

目的:
本研究の目的は、肥満に対する遺伝的感受性が、EB形質(認知的抑制、脱抑制、空腹感)およびそれらの下位尺度によって媒介されるかどうかを調べることだった。EB形質およびその下位尺度が部分的に媒介するという仮説を立てた。

設計:
Quebec Family Studyに参加した成人768名を対象とした横断研究である。
肥満の遺伝的リスクスコア(GRS)は、BMIのGWASメタ解析で最近同定された97の遺伝的変異に基づいて計算された。 EB形質とその下位尺度を“Three-Factor Eating アンケート”を用いて評価した。
共変量としての年齢および性別による回帰分析を用いて、GRS、EB形質、BMI、および腹囲の関連性を調べた。
そして、GRSと肥満との関連性が、肥満に対するGRSの間接的効果を表すEB形質によって媒介されるかどうかを調べた。

結果:
肥満のGRSは、BMI(β= 0.19±0.04、P <0.0001)および腹囲(β= 0.46±0.10、P <0.0001)と正の相関性があった。また、肥満のGRSとBMIとの関連が、脱抑制(βindirect= 0.09±0.03、P = 0.0007)および飢餓感受性(βindirect= 0.04±0.02、P = 0.02)によって部分的に媒介されることが回帰分析で明らかになった。
脱抑制に対する習慣的および状況的感受性(βindirect= 0.08±0.03、P = 0.002およびβindirect= 0.05±0.02、P = 0.003)は空腹感の内外の遺伝子座(βindirect = 0.03 ± 0.02, P = 0.03 for both)と同様に、肥満のGRSとBMIとの関連を媒介することが判った。腹囲も同様の傾向が見られた。

結論:
本研究の結果は、肥満に対する遺伝的感受性が望ましくないEB形質によって部分的に媒介されることを示しており、肥満の治療と予防の標的となり得ることを示唆している。

マイコメント
第1052回「太る原因は炭水化物」説は詭弁??”で、肥満の相関関係を形成する因子は複数あると述べましたが、この研究論文はそれを裏付けています。