第1106回 減量時の体脂肪と筋肉の減少比率 Part-2


減量で除脂肪体重は25%減少するという“Quarter FFM Rule”が広く引用されていますが、この考え方へのシステマティックレビューと批判的論評が今回紹介する研究論文のテーマです。

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イントロ

低カロリー食による減量で除脂肪組織が過度に減少すると様々な有害リスクがもたらされる(1,2)。故に、1世紀にもわたる研究によって、除脂肪組織の異化を制限しつつ体脂肪を最大限に減少させるために、質の高い食事、身体活動の促進、およびリーズナブルな減量速度を示す栄養パラダイムが生まれた(3)。
換言すると、これらの手法は負のエネルギー収支バランスによって生じる除脂肪組織の減衰の主要な指標であるFFMの減少(ΔFFM/ΔW)を低く抑えることを目的としている。

ΔFFM/ΔWはかつての定性的議論から定量的な検討に移行しているが、生物学的研究分野におけるデータ処理能力も進み、いっそう突っ込んだ分析が行われるようになっている。

食事制限で体重を落とす場合、機能的なFFMをベースとした許容割合といったものはあるのだろうか?
Prentice et al(8)は、一般的な女性のケースではΔFFM/ΔW(W=体重)は約0.25でなければならないと示唆している。この「Quarter FFM rule」の考え方はネットでも頻繁に取り上げられている。例えば、リーゲインを主唱するBerkhanは、イリノイ大学シカゴ校のVarady KAの研究(10)を引用して、”食事制限だけで減量する場合は、約75%は体脂肪の減少でFFMは25%減が望ましい”と言っている(9)。

Quarter FFM ruleの的確性の程度は?
適用するに当たっての理論的根拠は?
このコンセプトは広く引用されているがどのようにして生まれたのか?
食事制限に運動を加えるとFFM減少はどのように変わるのか?

これらの疑問点はシステマティックレビューで批判的に探究されていない。
本論文では、関連トピック11~15に関するメタ解析にも触れて、これらのポイントについて調査した。


食事がFFMに及ぼす影響

コンセプト変遷史
近年の飢饉や戦争をきっかけに、さまざまな環境条件下で食物摂取の変化が生理学的にどのように影響するかについて体系的な調査が医学者たちによって始められた。コンセプトは数十年に亘って段階的に発展してきており、今日では筋組織がエネルギーバランスの変化にどのように応答するのか幅広くかつ進化/深化した見方が出来るようになった。

ミネソタアプローチ
1953年にAncel KeysとJosef Brozekは、体重の変化で増減する肥満組織のコンセプトに関する研究に徹底的に取り組んだ。彼らは体を3つの異なる部位、つまり、「標準・正常組成の組織(N)」、「肥満組織(G)」、「細胞外液過不足(H)」に分けて、これらの総和を体重と定義した。


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肥満組織Gは、純脂肪、細胞や筋形質・結合組織、及び細胞外水分という3つの主要成分から構成されているという仮説が立てられた。Keys & Brozekはこの組成率を62%、24%、および14%と定義した。現代風に言うと、肥満組織は脂肪62%、FFM 38%ということになる。これは、標準体重-15%から標準体重+13%の健常な中年男性を被験者として、徹底した管理下で2.5kg~21kg太らせた臨床試験データによるものである。

彼らの報告(16)では、Gの組成率は被験者の体脂肪率が10%〜25%の範囲にあるときには不変であることが示唆されたが、25%を超えるケースでのG組成の予測データは得られなかった。10%未満になると、筋形質や結合組織はますます減少し代替的に細胞外液で充満される一方で、脂肪の分解/減少は漸次低減していく。体脂肪率が5~9%に至ると、古典的なミネソタ半飢餓実験(17)で示されたように、全体的な脂肪の減少はたったの40~50%に過ぎなくなる。

更に15年間、彼らはFrancisco Grandeと組んで肥満組織の算定を推し進めた。
1961年には、Grandeは男性を被験者とした研究で、食事制限の初期段階と後期段階で組成率が異なることを報告した(18)
1954年に行われた実験では、食事制限3日目は脂肪・水分・たんぱく質は25:70:5(つまりFFM=75)、21~24日目は85:0:15(FFM=15)だった。
また、期間ステージで体重の減少が異なることは、1950年のミネソタ半飢餓実験(17)でも示されている…1~12週間の脂肪減少による体重減は37%、更なる12週間では70%に増加したことが観察されている。

Brozek et al.は、男性を被験者とした実験研究を行い、肥満組織の変化についての詳細な観察結果を1963年にNew York Academy of Sciences誌に発表した(19)
この実験は3つの方法、つまり、過食、減量、及び3つ目は同じ身長の痩せ・肥満男性の体組成の違いを推計することによって行われている。その結果、脂肪/細胞/細胞外液の比率は、それぞれ64:22:14(ΔFFM/ΔW=0.36)/64:32:4(0.36)/73:20:7(0.27)だった。

Keys、Brozek、およびGrandeは「肥満組織」のコンセプトを導入し、3つの異なる手法を適用して「G」の組成を定義した。また、体脂肪率の低い男性が食事制限でエネルギー収支バランスを負にするとFFMの減少が大きくなることを示した。更に、体重減少に伴うFFMの減少は一定ではなく経時的な変化、つまり減量期の初期段階の方が大きいことを観察した。

Wishnofskyアプローチ
次に注目に値するアプローチは1958年にMax Wishnofskyが主唱したコンセプトで、栄養バランスのとれた低カロリー食では、体重の主たる減少は脂肪組織のみに由来すると推論している(20)。

Websterアプローチ
Webster、Hesp、及びGarrowは1984年にQuarter FFM Rule関する画期的な論文(23)を発表した。脂肪過多の14~60歳の女性を対象に、身体密度、体内水分、体内カリウムの3つの方法で体脂肪とFFMを評価した。

これら3つの体組成推定値の平均を取り、切片値15.5 kg/m2が女性の脂肪ゼロを表すと仮定して、ΔFFM/ΔW=0.22(丸めて0.25)と算出した。

肥満者の過剰体重がFFM22%/体脂肪78%であるというのが正しいと考えるなら、肥満治療の目標としてLLMが22%を超える減量はダメだということになる。 

従って、Webster et al.は、“過剰体重”のコンセプトをKeys et alの“肥満組織”に似せたコンセプトに発展させている。つまり、「脂肪組織および関連組織を成長させる一種の「コア」または標準体重がある。体重は経時的にアップダウンするので、この組織および組成は増減する」という考え方である。

Forbesアプローチ
Gilbert Forbes et al.は、1983年にLBMと体脂肪の関連をテーマとした一連の包括的な研究報告書を書き始めた(24)。 彼らは体内の総カリウム量と40KからLBMを割り出す測定法の開発に数十年間を費やした(25-27)。ここで述べているのは、彼らが1983年と1986年に発表した縦断的な実験研究の論文の結果である(24,28)。

1983年に発表された実験では、6人の若者を被験者として5日間のstabilization期間の後に、オーバーカロリーの高炭水化物食を17〜19日間割り当てた。平均体重およびFFMの増加はそれぞれ3.62および1.58kgだった(ΔFFM/ΔW=0.44)。
1986年に発表された第2の実験では、13人の若い女性13名と男性2名に過食させた(28)。その結果、体重およびFFMの増加は、それぞれ4.44±0.63 kgと2.23±1.38 kgでΔFFM/ΔWは0.50±0.30だった。これらのことから、Forbes et al.は、FFMと体脂肪の間には正相関があり、やはり体重増加に伴って増加することを示した。
1987年の報告は、年齢14〜50歳/身長156〜170cmの摂食障害で低体重、正常体重、および肥満の女性を対象としている。

いわゆるフォーブス曲線で示されるFFM-体脂肪の関係は、脂肪の多い人はLLMが大きく、体重と体脂肪の変化はLLMの変化を伴う。
これらの変化は一定ではないが、ΔFFM/ΔWの変化はベースラインの体脂肪率が低ければ大きくなる。
今日では、Forbesルールは体重減少とエネルギー摂取を予測するダイナミックエネルギー収支モデルの重要なコンポーネントとして機能している(32-34)

Forbesに関するもっと詳しい説明に興味ある方は原文(Forbes approachの項)を参照してください。

代謝-ホルモン状態.
現代的なコンセプトは、過剰な体脂肪をインスリン抵抗性や循環性炎症性などの代謝状態と関連付けている。食事療法が必要な患者の中には、関節リウマチや肺疾患のような低悪性炎症状態に関連する慢性疾患の人がいるかも知れない。入院中には、これら慢性疾患や肥満患者には一般的に減量食が割り当てられるケースが多いが(40-42)、患者のベースラインの代謝状況が低カロリー食によるFFMや筋タンパクの減少に及ぼす影響について追加的に精査する必要がある(43,44)。

食事制限でFFM減少が生じにくい人たちがいるという考えは、30年前に遡ってVan Itallie & Yangの研究が示している(46)
この研究では、病的な肥満患者に64日間の減量を実施したが、窒素出納(タンパク質)の欠損が、血清トリヨードチロニンの減少と逆相関することが分かった。このことは甲状腺ホルモン応答が重要な体蛋白異化抑制の適応である可能性を示唆している。

代謝-ホルモンの作用機序には個別性があるが、低カロリー食によるFFM減少の度合いを左右する大きな要因であると思料する。今後の研究では、この点を考慮に入れて取り進める必要があろう。

経時的傾向
肥満治療プログラムを直接管理する人たちは、低カロリー食の開始後の急速な体重減少を臨床的に観察する。しかし、体重減少の速度は経時的に減速していき、最終的には一定のプラトーに達する(33,47)。これは4つのコンパートメント(区画)、つまり、グリコーゲン/タンパク質/水/体脂肪の消失率を反映している。

FFMは、グリコーゲン、タンパク質、水、およびミネラルの総和である。 1915年にBenedictはこれら4つの経時的な消失率を断食で初めて示した(48)。

グリコーゲンの減少は、低カロリー食の開始に伴って急速に進み、窒素(i.e.タンパク質)の減少も最初は迅速かつ相対的に大きい(47)。グリコーゲンとタンパク質のいずれも水と結合するので、これらの動的変化(減少率)はFFMに反映されることになる(47)。

食事によるこれら一時的な影響を認識して、Forbesは1970年に“急速な体重減少が数日~数週間続く初期フェーズ”と“緩やかな体重減少が数ヶ月から何年も続く後期フェーズ”の二つのモデルを示す動的変化を公式化した(Table 1,#1)。
1979年には、Forbes et al.は低カロリー食で体蛋白の動的変化が同じように起こることを示した(Table 1,#2)

これらの観察結果と先述したGrandeの報告との関連性は、ΔFFM/ΔW比が経時的に大きく変化することである。ΔFFM/ΔW比はダイエット初日~数週間で比較的大きく、負のエネルギーバランスが続くにつれて、低レベルで安定すると仮定している(47)。

初期フェーズ半減期は体脂肪量にも依るが5~26日であり、後期フェーズ半減期は痩身者で100日、肥満者で300日である(47,49)
これらの体重減少フェーズは現代の動的エネルギーバランスモデルに組み込まれている(7,32,33)。したがって、殆どの研究報告は単一時点での測定値であるためΔFFM/ΔWの報告値にはかなりのバラツキがある。


食事以外がFFMへ及ぼす影響

ここまでは食事によるΔFFM/ΔWに焦点を当ててきた。
ここからは過去60年間に発展的に変遷した「肥満組織」または「過剰体重」に関連する概念について述べる。
パラダイムによると体重と組成はエネルギー収支バランスで上下する。しかし、肥満組織の組成は、一定または変動はするが特定のルールに従っており定義可能である。

エネルギー収支バランスと体組成に影響を及ぼすのは食事だけではない。ここでは、老化、非活動性(inactivity)、および運動について追加的に検討する。これらはそれぞれ食事と切り離してFFMの動的変化に影響する独立因子と考えられる。
しかし、他の因子が一定に保たれている中である因子を変更する実験が行われることはめったにないので、特定の効果サイズを変えることは複雑である。したがって、本レビューでは、これらの3つの要因がΔFFM/ΔWに及ぼす定量的な影響ではなく、効果の一般性に焦点を当てている。

成長と老化
子供と成人の体重の変化に関する研究は多数ある。
最近では2013年に、Kevin Hallが体脂肪とFFMとの間のエネルギー不均衡のパーティションについて過去に報告された動的モデルに“成長”を取り入れた研究を発表している(51)。
Hall et al.は肥満児を対象にして体重とFFMに乖離が起きることを指摘している。つまり、成長期の同化作用は著しく、特に男子では体重が変わらなくても実質的な体脂肪の減少が伴ってFFMは増大することを予測している。成長期の介入による脂肪量、FFMおよび体重の変化の間の相互関係は複雑であり、シンプルなQuarter FFM ruleは適合しないことがある。

老化に関しては、体重平衡状態ではFFM減少の世界平均率は10年当たりで1.5kgであるとForbesは推計している(52)。 Goodpaster et al. (53)は、白人および黒人の大規模な高齢集団を3年間追跡し、体重はほぼ安定しているがFFMの減少が男性で(白人-0.87±1.96kg; 黒人-1.19±2.30kg)、女性では(それぞれ-0.31±1.49kg; -0.30± 1.97 kg)であることを報告している。

また、Thomas NHANES modelsを用いて調べることもできる。
白人、年齢46歳、身長161cm、体重100kgの紛れもない肥満女性という想定では、1年間のFFM減少は1.7kgでΔFFM/ΔWは0.34になる。
10年で体重減少が5kgだとすると、予測されるFFM減少は2.15 kgであり、ΔFFM/ΔWは0.43に増加する。

不活動性(inactivity)
活動パターンの変化に関する試験は代謝室で行われることが多い。LeBlanc et al.は、BMI平均25の健康な若者8名に代謝病棟に入ってもらい維持カロリー食を割り当てた。デュアル光子吸光光度法で測定した全身FFMはベースラインから4.1%減少した。最も大きな減少が観察されたのは脚上部(12.2%)および脚下部(11.2%)だった。研究中、窒素(タンパク質)のバランスはずっと負のままであり、平均体重は1.8kg有意に増加したが(p <0.05)、FFMは-3.9±2.1kg減少した。

運動
エクササイズは骨格筋と骨に機械的負荷を与え、その大きさは運動の種類によって一様でない。 運動は不活動性とは逆で、食事制限によるFFM減少をミニマイズする方法と見なされている。 FFMへの影響は、運動の種類、運動量および時間によって異なるので正確な推定が複雑になる。

食事制限なし
カロリー制限は行わず運動を始めるとFFMはどうなるのか?
先ずは、厳密にコントロールされた実験環境において、被験者がベースラインの摂取レベルを変えない研究をレビューする。

エネルギー摂取量を一定にすると、運動によってのみもたらされる負のエネルギーバランスに応答して、FFMに何が起こるかを評価することが出来る。
この厳しい条件を満たして、Bouchard et al.は運動による体組成の変化を評価した(56)。

一卵性双生児の若い男性7組に、93日間に亘ってサイクルエルゴメータで580kcal運動消費してもらった。体重は5.0±0.6kg減ったが、その殆どは体脂肪(4.9±0.6 kg)で、FFM(0.1±0.3 kg)は殆ど変わらなかった。

食事制限による典型的な体重減少(~5kg)は少なくとも1kgのFFM減少をもたらすので、これらの結果は体タンパク異化抑制効果と解釈できる。
しかし、この推測を裏付けるためには、カロリーをマッチイングさせた対照群との比較が必要である。

Ross et al.による実験(57,58)は、代謝病棟のように完全ではないが厳しい管理状況下で行われた。監視付きで女性12名/男性14名にウオーキングや軽いジョギングをトレッドミルでやってもらった。1日当たりの消費カロリーは女性517kcal/男性700kcal、期間は女性14週間/男性12週間とした。摂取量についてはベースラインを維持するように試験期間中ずっと監視した。ベースラインの摂取カロリーを遵守できているかどうかは中点二重標識水測定で確認した。測定は全身磁気共鳴画像法を用いた。その結果、体重は男女ともに-0.5kg減少、体脂肪の減少は男性-1.5kg/女性-2.7kg、骨格筋は男性0.4kg/女性1.1kgともに増加したことが報告されている。

他方、ベースライン時の摂取カロリー維持や食事制限を行なわず自由食にすると、通常の生活での運動介入を最も反映することになるので、この手法による研究におけるFFMの変化を見ることは大いに必要である。

INFLAME (62)による研究が良い例だろう。
食事指導や摂取カロリー監視は行わず、4ヶ月の運動プログラム(16 KKW/週3–5セッション)を厳密な監視下で行った。この研究では、162名の男女(年齢49.7±10.9歳、BMI 31.8±4.0)を運動群と対照群(運動なし)の2群に無作為に割り付けた。
体重の変化(-0.6kg vs 0.1kg)および FFMの変化(-0.06kg vs -0.04kg)の平均分位値に有意な群間差は見られなかった。しかし、対照群に比べて運動群で小差だが有意な脂肪減少が見られた(-0.6kg vs +0.2kg)。

Garrow & Summerbell(11)によるメタ解析では、セデンタリー425名と運動群491名を含む28件の研究論文を評価している。過体重の男性を対象とした31週間の食事制限なしの有酸素運動群では体重減少は平均-2.6kgでFFMに変化はなかったが、対照群のセデンタリーの被験者では、体重およびFFMはそれぞれ0.4kg/0.3kg増えた。運動群の過体重の女性はセデンタリー群に比べて12週間で-1.4kgの体重減少が見られたが、両群ともにFFMの変化はなかった。レジスタンストレーニングをすると、体重に変化なかったがFFMが男性で~2kg女性では~1kg増えることが観察された。

Forbesは運動と体組成の変化に関する3つの有力なレビュー論文を書いた(63-65)。彼の分析には動物とヒトの両方を対象としたの研究が含まれているが、エネルギー摂取量が増えれば運動中に筋肉を増やすことは可能だと結論付けている。

上述した研究はデザインや実験の厳密さにバラツキがあるが、共通点は“体脂肪の減少に伴うFFMや骨格筋の変化は不変あるいは僅かな増加であるということである。

食事制限あり
低カロリー食と運動を組み合わせるとΔFFM/ΔWの減少は抑えられるのか?
この質問に答えるには、“食事のみ群”と“運動のみ又は食事+運動の組合せ群”の2群のエネルギー収支の欠損をマッチさせて比べる必要がある。次の3つの研究が参考になるだろう。

一つ目は、Redman et al.から報告された “Comprehensive Assessment of Long-term Effects of Reducing Intake of Energy (CALERIE I) study”で、過体重の男女24名を「食事のみ(カロリー欠損25%」と食事(カロリー欠損12.5%)+有酸素運動(カロリー欠損12.5%)の組合せ)」の2群に割り付けて影響を調べた。期間は6ヶ月。
運動群に割り当てられた被験者は、毎日のカロリー欠損がトータルで25%となるよう調整して、トレッドミル/ステーショナリーサイクル/ステアステッパーなどの有酸素運動を週5日行った。
試験期間6ヶ月を通して両群がエネルギー欠損ゴールに近づいたことを摂取平衡法で確認した(67)
試験終了時、体重の減少率は食事のみ群では10.4±0.9%、食事+運動群では10.1±0.9%だった。両群とも約-8.3kgの減少であった。 DXAで測定した体脂肪やFFMのベースラインから変化に有意な群間差はなかった。

上述したRoss et al.による実験(57,58)では2つの追加グループがあった。1つは食事制限で減量するグループ、もう1つは有酸素運動で減量するグループである。両群の1日当たりのカロリー欠損をマッチさせて男性-700kcal/女性-500kcalとした。結果は、食事制限群の男性14名の体重減少は平均-7.8kg、運動群の男性では-7.5kgだった。体脂肪の減少はそれぞれ-4.8kg/-6.1kgだった(p<0.05)。骨格筋の減少は食事制限群で-1.7kg、運動群では-1.3kgで、統計学的に有意な群間差はなかった。
女性については、食事制限群15名の体重の減少は-6.5kgで、そのうち体脂肪および筋肉の減少はそれぞれ-4.1kg/-0.5kgだった。運動群の女性17名では体重減少は-5.9kgだったが筋肉の減少はなかった。

運動と低カロリー食を組み合わせてFFMの変化を観察した研究は多数ある。その中で次の3つのメタ解析は注目に値する。

Garrow & Summerbellは、1995年に回帰分析を用いたメタアナリシスで、食事制限によるFFM変化の主要因を探求した。その結果は、食事制限のみでは体重減少は-10kgだったが、FFMの変化はそれぞれ男性-2.9kg/女性-2.2kgだった。食事制限と運動と組み合わせたときのFFMの減少は、男女ともに-1.7kgに減少した。

2007年のChaston et al.によるメタ解析(12)では、26名の過体重/肥満者を対象に食事介入と行動介入を実施した。体重の減少は平均で-10kgを超えていた。カロリー制限の大きさは初期 のBMI/FFM率/体重減少の度合い/性別/運動と有意に関係した。ΔFFM/ΔWは女性(20±7%)より男性(27±7%)の方が大きかった(P = 0.08)。

同研究チームによる16週間の低カロリー食(カロリー欠損-1000kcal/日)と運動を組み合わせた3つの無作為化試験(68-70)を引用して、Chaston et al.はセデンタリー群(42名)、有酸素運動群(41名:Max HR50~85%の強度で15~60分ⅹ週5日)、レジスタンストレーニング群(44名:低強度でleg extension/Bench press など7種目ⅹ15~60分)に別けた。

これらの研究は負のエネルギーバランスをマッチさせていない。対照群に比べて、有酸素運動群と筋トレ群のΔFFM/ΔW減少はそれぞれ-0.27±0.06から-0.13±0.04及び -0.17±0.14だった。

3つの研究の結果を見ると、3群の体重の減少は同様で-10kgから-14kgの範囲だった。体脂肪の減少はセデンタリー群より運動群の方が一貫して大きかった。骨格筋の減少はセデンタリー群では-1kgから-2kgだったが、運動2群ではその半分以下であった。

2010年のWeinheimer et al.による研究論文(13)は、過体重/肥満の中高年を対象とした食事介入および行動介入に関する52件の研究で報告されたFFMの変化を調べたものである。評価の結果は、運動介入研究の大半で有酸素運動でのFFM減少が食事制限のみの約2分の1となっておりChaston et al.の研究報告と同じである。

取りまとめると、低カロリー食に運動を組みあわせた場合の体組成への影響は、“食事制限なし運動のみ”の研究で観察された結果と同様、つまり、相対的に体脂肪の減少は高まるが、FFMの変化は不変または減少である。

非肥満者の場合
ここまで過体重または肥満者の食事制限や運動による減量に焦点を当ててきたが、痩せてすらっと人(lean)も、摂食障害の発症、長寿促進のための自発的カロリー制限(73)、或いは、軍事訓練中(2,74)といった環境下では体重を減らす。

一例は、米国陸軍レンジャー訓練の一環として行われる極限のエネルギー制限と組み合わせた激しい活動レベルである(74)。Friedlは、8週間で体脂肪率15%の男性の体重は10kg 減り、ΔFFM/ΔWは0.40だったことを報告している。

これらのレンジャー研究においてΔFFM/ΔWとベースラインの体脂肪率との間で有意な正相関(n = 105、R2 = 0.42)が観察された(p <0.001)。この研究は、ミネソタ半飢餓実験で12週間の低カロリー食の後で男性被験者(n = 32)におΔFFM/ΔWとベースライン体脂肪率との間に有意な正相関があったというKeys et al. (17)の知見を裏付けている。

Forbesのレビュー(63-65)でも、ベースラインの体脂肪率が大きければ運動中のFFM減少は小さく、体脂肪率が小さければFFMの減少は大きくなることを報告している。

痩せた人の体重減少を考えるときに大事なことは浮腫の発生である。冒頭で説明したミネソタモデルを思い出していただきたい。正常組成(N)、肥満組織(G)、および過不足する細胞外液(H)の3つの成分が含まれている。24週間の半飢餓による体重減少で体脂肪が浮腫液(4〜9kg)に置換えられたことを観察されている。「H」の変化はΔFFM/ΔW比に直接影響するため、痩せた人の大幅な体重減少は注意深く解釈する必要がある。

研究デザイン
介入のFFMへの独立した影響を単離するために必要な研究の種類は上述の通りなので、ここではサンプルサイズと測定方法について述べる。

サンプルサイズ
レビューした研究の全てに共通して言えることは、食事介入や他の介入因子で観察されたされたFFMの変化が相対的に小さいことである。
低カロリー食の被験者の体重は平均して約100kgあり、6ヶ月のプロトコルによる典型的な体重減少は1〜3kgの範囲である。例えば、等カロリーでの運動介入でFFMの減少を1/2から0.5〜1.5kgに抑えられる。
ΔFFMのこのような小さな差異を検出するために、DXA に取って代わってEcho-MRI-AH測定法に挑戦し(75,76)、測定プロトコルと先験的なサンプルサイズの選択に細心の注意を払うことが必要である。

前述のRedman et al.の研究CALERIE Iでは、食事制限のみ群(12名)と食事制限+有酸素運動群(12名)のカロリーをマッチ(~25%)させ、プロトコル期間6ヶ月に亘ってDXA測定で体組成を評価している。
食事制限を運動に置換えることでFFMの減少を防げるのだろうか?
0.5〜1.0kgレベルのFFMの群間差を検出するためには、群当たり何人の被験者が必要であろうか?
6ヶ月のFFM減少は食事制限群で-2.14±0.86kg、食事制限+運動群では-1.09±0.93kgだった。

両面試験と有意確率0.05を前提とすると、80%の検出力を達成するには各群31~120人の被験者、90%の検出力には41~161人の被験者が必要となる(表2)。
これらは一般的な研究論文に比べて相対的に大きなサンプルであり、先述した我々の質問に対する明確な答えが欠けている理由の説明になるかも知れない。

体組成アプローチ
無作為化試験における体組成の変化を報告するほとんどの研究が、FFMの測定に実用的で有用な方法を適用している。研究者はFFMが身体の“健康な”機能的組織、特に体タンパク質を表すという仮説を推論によって立てることが多い。
しかし、FFMの組成には脂肪以外の全ての体重が含まれているので解釈には注意が必要である。食事制限による体重減少には、グリコーゲン貯蔵の動的変化、液体バランス、タンパク質キネティスク、およびFFM測定値で集約的に説明される他組織組成の影響が伴う。
さらに、非活動性、老化、運動および代謝ストレスはそれぞれに食事制限のケースとは異なる特徴的な組成変化をもたらす。

結論
詳細に亘ってレビューすることで3つの明確な結論が浮かび出た。

一つ目は、
減量時の体脂肪とFFMの減少割合を75:25と考えるQuarter FFM Ruleが広く受け入れられているが、これはせいぜい“近似”である…approximation(近似)とは、数学や物理学において複雑な対象の解析を容易にするため、細部を無視して対象を単純化することです。

2つ目は、
ΔFFM/ΔWは経時的に変化し、エネルギー摂取量、食事組成、性別、ベースライン時の体脂肪率、非活動性の有無、追加的な身体活動の種類とレベル、代謝状態やホルモン反応などの複数の要因によって決定される。

3つ目は、
これらの諸要因を独立因子として単離するには、適切なサンプルサイズで高い検出力デザインの信頼性の高い更なる研究が必要である。低カロリー食による減量の後期フェーズにおけるΔFFM/ΔWの近似は、今ではNHANES Thomasモデル(30)を用いて得ることが出来る。亦、有酸素運動を組み合わせた時のΔFFM/ΔWを予測するために予備モデルも利用できる。KD Hallの“方程式の動的システム(32)”は、多量栄養素のバランスとその結果として生じるmulti-component molecular-levelでの体組成の変化 (臓器の質量変化を含む)をモデル化することでForbesの単純化されたルールを発展させている。

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マイコメント
この論文を取り上げた目的はQuarter FFM Ruleへの批判を後押しするためではありません。一連のシステマティックレビューがいろいろな意味で参考になるからです。
因みに、骨格筋は減少も少値であることがデータで示されています。この種の研究論文を読むに当たって、有意差を出すための著者の意図が介在していないか、つまり、デザイン設定にバイアスが無いかどうかは、個別性は言うまでもなく少なくともFFM/LBMの定義と測定方法を念頭に置いた精査が必要であることを感じました。

出典:
Obes Rev.
2014 Apr; 15(4): 310–321.
Weight Loss Composition is One-Fourth Fat-Free Mass: A Critical Review and Critique of This Widely Cited Rule