第1115回 糖尿病/前糖尿病の食事療法:ADAコンセンサスレポート2019年版…Part-2


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糖尿病食事療法はどのように定義され提供されていますか?

国立医学アカデミー(以前は医学研究所)は、「食事療法とは、栄養素または全食物の摂取を変更することによって、疾患や健康状態を治療すること」と大まかに定義しています(7)。糖尿病の食事療法を補完するために、ヘルスケアチームのメンバーは、糖尿病患者が個々のニーズを満たす健康的な食品を選択し、全体的な健康を最適化することを可能にする科学的根拠に基づいたガイダンスを提供すべきです。

アメリカ人のための食事ガイドライン(DGA)2015年- 2020年は、すべてのアメリカ人の健康的な食事のための基礎を提供し、適切なカロリーレベル内の全食品と飲料から成る健康的な食事パターンを選択することを勧めます(8)。このレポートでは糖尿病患者にDGAとは異なる推奨が強調されています。

MNTの重要な要素は、評価、栄養診断、介入(例:教育やカウンセリング)、そして長期的なライフスタイルの変化を支援し、結果を評価し、必要に応じて介入を修正するための継続的なフォローアップによるモニタリングです(9,10)。
食事療法の目標はTable 1の通りです。

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MNTはアウトカム改善に効果的ですか?

報告されているMNTによるヘモグロビンA1c(A1C)の低減は、現在利用可能な2型糖尿病治療薬を使用した治療で期待されるものと同程度かそれよりも大きくなる可能性があります(9)。 A1Cを改善するためにRDNによって提供されるMNT介入の効果…3〜6ヶ月で最大2.0%(2型糖尿病)および最大1.9%(1型糖尿病)の減少…
を強力な証拠が支持しています。 継続的なMNT、血糖改善を維持するのに役立ちます(9)。

糖尿病の予防と管理のためのライフスタイル介入とMNTの費用対効果は、複数の研究で実証されています(12、17、24、25)。全米医学アカデミーは、糖尿病治療への集学的アプローチの一環として、医師の紹介時にRDNが提供する個別化MNTを推奨しています(7)。糖尿病MNTは補償されたメディケア給付であり、保険や他の支払者によって適切に払い戻されるか、進化する価値に基づいた介護および支払モデルにバンドルされるべきです。 25)。


前糖尿病患者の2型糖尿病発症を予防または遅延させるには、どのような栄養療法介入が最も効果的なのですか?

2型糖尿病予防の最も有力なエビデンスはDiabetes Prevention Program (DPP)を含む幾つかの研究が示しています(26–28)。 DPPは、“体重減少をもたらす集中的なライフスタイル介入が、過体重/肥満および耐糖能障害の成人の糖尿病発症を3年間で58%低下させる可能性がある”ことを実証しました(26)。

糖尿病予防のための介入に関する3つの大規模研究の追跡調査では、2型糖尿病の発症率の持続的な減少を示しています。Da Qing Diabetes Prevention Studyでは20年で43%の減少(29)、Finnish Diabetes Prevention Study (DPS) (30)では7年目の時点で43%の減少(30)、また、U.S. Diabetes Prevention Program Outcomes Study (DPPOS)では、DPP延長10年間で34%減少し(28)15年間では27%減少しました(31)

Da Qing研究の追跡調査では、心血管死亡率と全死因死亡率の減少も示されました(32)。前糖尿病患者は、“DPPをモデルとした集中行動行動介入プログラム” and/or ” “食習慣の改善を目標としたRDNによる個別化MNT”を参照するべきことをエビデンスが示しています。中強度の身体活動を少なくとも週150分に増やし、必要であれば7〜10%の体重減少を達成・維持しましょう(14、17、33、34)。
より集中的な介入プログラムは、糖尿病発症率を低減し心血管疾患(CVD)の危険因子を改善するのに最も効果的です(35)。

前糖尿病に対するDPPをモデルとした集中的なライフスタイル介入と個別化MNTのいずれもコスト効率が良いことが実証されています(17,36)。
サードパーティの支払者によってカバーされるか、進化する価値ベースのケアと支払モデルにまとめられるべきです(25)。糖尿病予防プログラムをより利用しやすくするために、デジタルヘルスツールは公共および民間部門への関心が高まっている分野です。より高度な研究が必要とされていますが、テクノロジー対応プラットフォームとデジタルヘルスツールを介した糖尿病予防のライフスタイル介入の実施が体重減少、血糖改善、糖尿病とCVDのリスク減少をもたらすことを、複数の予備調査研究が支持しています(37-44)。


主要栄養素の必要性は一般の人々と糖尿病患者では異なりますか?

糖尿病患者の食事プランに最適な主要栄養素の組み合わせを特定しようとする研究は数多くありますが、系統的レビュー(45)では“広く当てはまる理想的な組み合わせはなく、主要栄養素の摂取比率は個別化すべき”ことが示されています。糖尿病患者は平均して一般大衆とほぼ同じ割合の主要栄養素を食すことが観察されています:炭水化物の摂取カロリー45%(Table3参照)、脂質36〜40%、タンパク質16~18%(46-48)

主要栄養素の組合せがどうであれ、体重管理の目標を達成するためには総エネルギー摂取量は適切でなければなりません。さらに、主要栄養素の内訳は、代謝目標(血糖、脂質プロフィールなど)、身体活動、食物嗜好、および入手可用性など個々人の状態に依存するでしょう。

(参考)Table-3各食事パターンの内容説明については原文を参照願いたいが、Potential benefits reported*を一覧表にすると下記の通りです。なお、出所はランダム化比較試験、メタ解析、観察研究、非ランダム化single-arm研究、米国農務省です。


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糖尿病患者の炭水化物の必要量は一般の人々とは異なりますか?

炭水化物は直ぐに使われるエネルギー源であり、食後の血糖に主要な影響を及ぼします(8,49)。さまざまな割合の遊離糖、デンプン、繊維を含む炭水化物の食品は血糖反応に幅広い影響を及ぼします。血糖値がゆっくり増減するものや、急速に増減するものがあります(50)。
理想的には食物繊維/ビタミン/ミネラルが豊富で、添加糖/脂質/ナトリウムの少ない炭水化物食品を選択することが望ましく、個々人の食事プランの一部として目を向けるべきです(4,9)。

ヒトの最適な健康に必要な炭水化物の摂取量は不明です。糖尿病を患っていない19歳以上の成人の炭水化物の推奨許容量は1日当たり130gで、一部は脳のグルコース必要量によって決定されますが、これはグリコーゲン分解や糖新生、或いはケトン生成といった身体の代謝プロセスを介して満たすことができます。(49)。


糖尿病患者に必要な食物繊維量は?


十分な食物繊維を定期的に摂取することは、糖尿病患者の総死亡率の低下に関連しています(51,52)。したがって、糖尿病患者は、少なくともDGA 2015–2020で推奨されている繊維量(1,000 kcalあたり少なくとも14g)を摂取する必要があります。穀物消費量の少なくとも半分は未加工/未精製の全粒穀物にしてください(8)。食物繊維のその他のソースとしては、でんぷん質のない野菜、アボカド、果物、果実、さらに豆・エンドウ豆・レンズ豆などの豆類があります。

1日に50gを超える食物繊維を摂ると、A1Cがmoderateに低下(〜0.2%から〜0.3%)することがいくつかの研究で示されています(53、54)。しかしながら、そのような繊維の高摂取は、鼓腸/鼓脹/下痢を引き起こす可能性があります。食物繊維が自然に多い食物で推奨摂取量を満たすようにすると、共存する微量栄養素と植物化学物質の付加的な利点があるので奨励されます(55)。


血糖指数(GI)および血糖負荷(GL)は血糖に影響しますか?

GIおよびGLは糖尿病患者や糖尿病リスクのある人々に依然として関心を持たれています。
Brand-Miller et al.によって定義されているように(56)、食品のGIは食後の血糖濃度とは大いに相関性が見られますが、糖尿病患者および糖尿病リスクのある個人を対象としたGI/GLに関する2つの系統的レビューでは、A1Cへの有意な影響は報告されておらず、亦、空腹時の血糖値は結果がまちまちです(9,50)。さらに、各研究で低GIおよび高GI食品の定義が様々であるため、臨床ケアにおけるGIおよびGLの有用性に不確実性が生じています(45)。


糖尿病患者に必要な総タンパク量は?

糖尿病または腎臓障害のない前糖尿病の人々を対象とし、タンパク質の摂取量が及ぼす影響を示す研究は限られています。いくつかの比較では糖尿病関連のアウトカムに違いは示されていません(57–60)。 タンパク質のエネルギー比率を30%と15%として比較した12週間の研究では、タンパク質30%のグループの体重、空腹時血糖値、インスリン必要量に改善が認められました(61)。

期間4〜24週間の2013年の研究のメタアナリシスでは、高タンパク食(総エネルギーの25〜32%対15〜20%)が2 kgの体重減少と0.5%のA1C改善をもたらしたが、、空腹時血清グルコース、血清脂質プロファイル、血圧には統計的に有意な改善は見られなかったことが報告されています(62)。


糖尿病患者の脂質とコレステロールの摂取目標は?


The National Academy of Medicine(全米医学アカデミー)は、すべての成人の総脂肪の許容可能な主要栄養素の配分を総摂取カロリーの20〜35%と定義しました(49)。しかし、特定の炭水化物食品を高脂肪食品に置き換えた食事パターンが、低脂肪食と比較して血糖値および特定のCVD危険因子(血清HDLコレステロールおよびトリグリセリド)の大幅な改善を示しています。

食事性脂肪の種類および質は総脂肪量を超えてCVD(心血管疾患)発症に影響すると考えられています(63)。トランス脂肪酸を含む食品はできる限り最小限に抑えるべきです(8)。肉や乳製品に天然に存在する反すう動物性トランス脂肪酸は、少量故に除去する必要はありません(64)。

コレステロールは体内で充分に産生されるので、食事を介して得る必要はありません。
The Dietary Guidelines for Americans (DGA)は「一般の人々は食事性コレステロールを制限する必要はないことをエビデンスが示している」と結論付けていますが、糖尿病患者の場合は明確になっていません(8)。
コレステロール摂取は血清コレステロールレベルと相関していますが、それはCVDイベントとはあまり相関していません(65、66)。糖尿病患者における食事性コレステロール、血中コレステロール、およびCVDイベントの間の関係についてさらなる研究が必要です。


2型糖尿病の予防における脂肪の役割は?

多価不飽和脂肪酸が2型糖尿病のリスク低下と関連していることは大規模な疫学的研究でわかっています(67)。前糖尿病におけるオメガ3脂肪酸の補給はサロゲートエンドポイントにおいてある程度の有効性を示しています。

アジアにおける単盲検RCTデザインの試験で、新たにグルコース代謝障害および冠状動脈性心臓病(CHD)と診断されたの107人を被験者として、1,800 mg /日のエイコサペンタエン酸(EPA)を補充した結果、6ヶ月間にわたって食後トリグリセリド、血糖、インスリン分泌能および内皮機能の改善が見られました(68)。

更に、スタチン療法中で、空腹時トリグリセリド(135~499 mg/dl)と LDL-C (41~100mg/dl)が高く、心血管疾患/糖尿病/CDVリスクがあり、年齢50歳以上の参加者対象としたDeepak et al.による最近の多施設RCTでは、1日2回EPA割り当てたグループはプラセボグループに比べて、心血管疾患による死亡を含む虚血性イベントリスのリスクが有意に低かったが、心房細動・粗動および重度の出血イベントに対する入院率は高かったことが報告されています(68a)。

PREvencion “con DIeta MEDiterranea(PREDIMED”)試験では、エキストラバージンオリーブオイルまたはナッツを補った地中海風の食事パターンと対照食を比較した結果、ベースライン時に心血管リスクが高かった非糖尿病の被験者の間で2型糖尿病の発症率が低減しました(69)。

“The Malmo Diet and Cancer cohort study” では、飽和脂肪酸の特定の食物源を調べ、乳製品、ココナッツ油、パーム核油の飽和脂肪酸が糖尿病リスクの低下と関連していることが示されました。 しかし、PREDIMED研究では飽和脂肪酸が糖尿病リスクを高めることが報告されています(71)。その他の観察研究メタアナリシスでは、全脂肪乳製品の摂取と糖尿病リスクとの間の逆相関は示されていません(72,73)

これら研究結果には矛盾が見られますが、脂肪食品のバラツキや自己申告された食事情報によるものと思われます。
脂肪摂取量とCVDリスクの詳細については、“Role Of Nutrition Therapy In The Prevention and Management of Diabetes Complications”のセクションを参照してください。


前糖尿病を管理し2型糖尿病を予防するための特定の食事パターンのエビデンスは?

前糖尿病/2型糖尿病予防のための食事パターンに関連する最も有力な研究は、地中海スタイル、低脂肪、または低炭水化物の食事プランです(26,69,74,75)。
大規模なランダム化比較試験 PREDIMEDでは、2型糖尿病の発症を予防するために地中海スタイルと低脂肪の食事パターンを比較したところ、地中海スタイルの食事パターンでは相対リスクが30%低かった(69)。
疫学的研究では、地中海スタイル(76)、ベジタリアン(77–80)、および高血圧を止めるための食事療法DASH(76,81)の食事パターンで2型糖尿病の発症リスクが低減しましたが、低炭水化物の食事パターンによる効果は認められませんでした (82)。

いくつかの2型糖尿病予防についての大規模ランダム化比較試験 (26、74、83、84)では、減量を達成し耐糖能を改善するために低脂肪食を割り当てた処、糖尿病の発症率の減少が認められました(26、74、83)。エビデンスが限られているので、どの食事プランが最適かは明確になっていません。


2型糖尿病を管理するための特定の食事パターンのエビデンスは?

 地中海スタイルの食事パターン
地中海スタイルのパターンは、多くのランダム化比較試験(RCT)でA1C、体重、脂質に複合的な影響を及ぼしています(85–90)。Dietary Intervention RCT(DIRECT)では、2型糖尿病の肥満成人を被験者としてカロリー制限の地中海スタイル、カロリー制限の低脂肪、またはカロリー制限を強調しない低炭水化物(炭水化物カロリー比率28%)の食事パターン群に無作為に割り付けました。
A1Cは2年後の低炭水化物群で最も低かったのに対し、空腹時血糖値は低脂肪群よりも地中海式群の方が低かった(90)。

最大かつ最長のRCTの1つであるPREDIMED試験では、地中海スタイルの食事パターンと低脂肪の食事パターンを比較しました。 4年後、血糖管理は改善され、血糖降下薬の必要性は地中海スタイルの食事パターン群でより低かった(89)。さらに、PREDIMED試験は、オリーブオイルやナッツを豊富に含む地中海スタイルの食事パターン介入が、糖尿病および非糖尿病の人たちいずれにおいてもCVD発症を有意に減少させることを示しました(91)。

 ベジタリアンorビーガンの食事パターン

ベジタリアンまたはビーガンの食事プランの研究は12〜74週の期間で行われ、血糖症とCVDのリスク因子に関してさまざまな結果が示されました。 この食事プランはしばしば体重減少をもたらしました(92–97)。
2型糖尿病患者ではベジタリアンとビーガンの食事プランがA1Cを平均0.3〜0.4%低下させると、2件の対照試験のメタ解析(98,99)が結論付けています。 大規模なメタ解析(99)では、植物性の食事パターンで体重(2kg減)、胴囲、LDLコレステロール、および非HDL-Cが、空腹時インスリン/HDL-C/トリグリセリド/血圧に有意な影響を与えることなく減少しました。

 低脂肪食パターン

Look AHEAD試験(100)では、食事の置き換えによる体系的な減量プログラムで、カロリーを制限した低脂肪食パターン群は対照群と比較してmoderateな成功を収めました(101)。 しかし、系統的レビュー(45)、いくつかの研究(102–105)、およびメタ解析(106)では、総脂肪の摂取量を減らしても2型糖尿病患者の血糖またはCVDの危険因子は一貫して改善されなかったことが示されています。
摂取カロリーを制限し身体活動を増やすことで体重減少を維持するIntensive Lifestyle Interventionに関する研究(100,101)が示すように、低脂肪の食事パターンの利点は主に体重減少に関連しているようです。

 超低脂肪:OrnishまたはPritikinの摂食パターン

OrnishとPritikinは最もよく知られている超低脂肪食パターンです。 Ornishプログラムは、超低脂肪、whole-foods、植物中心の食事プラン(炭水化物のカロリー約70%、脂肪10%、タンパク質20%、および食物繊維60g)、主に野菜、豆、果物、穀物、無脂肪乳製品、卵白に重きを置いています。
Pritikinの介入では、治療センターに26日間入院し、カロリー制限なしで、炭水化物のカロリー77%/脂肪から約10%/タンパク質から13%、そして食物繊維を1,000カロリーあたり30〜40g摂取することを勧めています。
期間3週間から2〜3年で69〜652人を対象とするnon-randomized single-armの3件の研究では、この種のライフスタイル介入プログラムのトリグリセリドへの影響は複合的ですが、血糖値、体重、血圧、HDL-Cは改善する可能性があることを示しています(107-109)。

 低炭水化物or超低炭水化物の食事パターン

低炭水化物の食事パターン、特に超低炭水化物食(VLC)は、A1Cと抗高血糖薬の必要性を減らすことが示されています。これらは2型糖尿病で最も研究されている食事パターンのひとつです。
低炭水化物食(炭水化物≦45%)と高炭水化物食(炭水化物>45%)を比較したRCTのメタアナリシスで、A1Cの改善は炭水化物<26%の超低炭水化物食が3ヶ月と6ヶ月の時点で顕著ですが、12ヶ月と24ヶ月では認められなかったことが報告されています(110)。


もう一つのRCTのメタ解析では、低炭水化物食(炭水化物<40%)と低脂肪食(脂肪<30%)を比較しています。 6ヶ月までの試験では低炭水化物食がA1Cの改善で優っており、さまざまな期間での試験ではトリグリセリドを下げ、HDL-Cを上げ、血圧を下げ、そして糖尿病薬の大幅な減少をもたらしました(111)。
最後に、低炭水化物食と高炭水化物食を比較した別のメタ解析では、炭水化物の制限が大きいほどA1Cの減少が大きくなりますが、1年以上の期間では有意な差異はありません(112)。
表4は、1日あたりの摂取カロリー数をベースに、炭水化物のカロリーをグラムへ変換したものです。

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慢性腎臓病、摂食障害、或いは妊婦に超低炭水化物の食事パターンを推奨するにはさらなる研究が必要です
超低炭水化物食を実践すると利尿が起こり、血糖が急速に低下する可能性があります。したがって、脱水症の予防やインスリン及び低血糖薬を減らすために、開始時に知識のある開業医と相談することが必要です。

2型糖尿病患者を対象として、低炭水化物食または超低炭水化物食の飽和脂肪量を変えて、血糖症、CVDリスク因子または臨床的事象に対する影響を検討したランダム化試験は見つかりませんでした。炭水化物を制限した食事パターンを用いた試験のほとんどは飽和脂肪酸を制限しません。現在のエビデンスから、この食事パターンが全体的な心血管リスクを高めるようには思われませんが、臨床的事象のアウトカムを伴う長期の研究が必要です(113–117)。

 DASH食事パターン


2型糖尿病患者を対象としたDASH食と対照群と比較した8週間の小規模な研究によると、DASH食でA1C、血圧、コレステロール値および体重減少が改善されたが、トリグリセリドには差はなかった(118)。 別のRCTでは、身体活動を増やしたDASH食と身体活動を増やさない標準食を比較しましたが、血圧はDASH+身体活動群で低かったが、A1C/体重および脂質プロファイには有意差がなかったことが報告されています。

 パレオ食事パターン

2型糖尿病の成人を被験者としたパレオ食に焦点を絞った研究は殆どなく、被験者は13~29名、期間は3ヶ月以内といった小規模であり、A1C、体重、脂質に対する影響も異なる結果が報告されています(120〜122)。

 断続的な断食

定義では断続的断食は食事パターンではありませんが、糖尿病界からの関心が高まっているため取り上げます。ご存知の通り、断食とは飲食を一定期間しないことであり、体重管理や宗教的/精神的鍛錬などの理由で行われています。
断続的断食は、何を食べるかではなく、いつ食べるかにフォーカスした食事パターンです。あなたが食べるときよりもあなたが食べるとき(すなわち、日中の設定された時間内にすべての毎日のカロリーを消費すること)に焦点を当てる食べる方法です。それは通常食事の設定時間と空腹の設定時間を含みますが、人々はさまざまな方法で断続的な空腹に近づくことができます。

的絶食の研究は、毎日18〜20時間の摂取制限、隔日の絶食、および連続8日以上の厳しいカロリー制限など様々なアプローチを示しています(123)。
2型糖尿病患者を被験者とした4つの断食研究は小規模(被験者≦63名)および短期間(期間≦20週間)です。 3つの研究(124–126)は、連日の制限または1日16時間以上の断食で体重が減少する可能性があることを示しています。しかしながら、絶食していない食事プランと比較してA1Cの改善はありませんでした。
Carter et al.による研究(127)では、「2日間の厳しいカロリー制限」と「慢性的な厳しいカロリー制限」を比較しましたが、両群のA1C、体重、および投薬量の減少に有意差はありませんでした。
Sutton et al.の研究(128)では、前糖尿病の男性を対象にして24時間にわたる摂食タイミングを調べています。介入群の最後の食事を15:00前として食事時間を6時間に限定した介入群は、12時間以上にわたる食事時間の対照群に比べて、インスリン感受性、β細胞反応性、血圧、酸化ストレス、食欲の改善が示されました。
妊娠や摂食障害といった特別な健康状態の人たちの断続的断食の安全性は研究されていません。


1型糖尿病の管理において特定の食事パターンを裏付けるエビデンスは何でしょうか?

1型糖尿病の成人については、地中海スタイル、ベジタリアン、ビーガン、低脂肪、低炭水化物、DASH、パレオ、Ornish、Pritikinの食事パターンに関する本コンセンサスレポートの選択基準を満たす試験はありませんでした。私たちは1型糖尿病に対する断食の安全性や効果についてのlimited evidenceを見つけました(129)。

いくつかの研究が1型糖尿病の成人に対する超低炭水化物食の影響を調べています。 10人を被験者とした1件の無作為化クロスオーバー試験では、カロリー制限に重点を置かずに1日当たり炭水化物を47gとする超低炭水化物食と225gの高炭水化物食を比較しました。1週間の試験が終了後、超低炭水化物の食事パターン群では血糖変動が少なく、正常血糖状態が多く低血糖状態が少なく、そしてインスリンの必要量が少なくなりました(130)。

48人を被験者とするsingle-arm試験では、炭水化物の摂取量1日当たり75g以下を目標とする食事パターンで、3ヶ月後に体重/A1C/中性脂肪の減少とHDL-Cの増加が見られ、4年後にはベースライン時に比べてA1Cは低くHDL-Cは高いことが分かりました(131)。このエビデンスは超低炭水化物の食事パターンが1型糖尿病の成人に潜在的な利益をもたらす可能性があることを示唆していますが、十分なサイズと期間の臨床試験が確証のために必要です。


現在のエビデンスは糖尿病管理のための特定の食事パターンを支持しているのでしょうか?

特定の個人における異なる食事パターンの相対的利益を示す有力なエビデンスが明らかになるまでは、医療提供者はパターン間で一般的となっている主要な要因に焦点を合わせるべきです:1)非澱粉野菜を強調する、2)加糖と精製穀物をミニマイズする、3)選択可能な限り加工食品よりも自然食品を選ぶ(132)。

糖尿病に対する特定の食事パターンの相対定効果に目を向けた複数の試験およびメタアナリシスが発表されています。すべての糖尿病関連アウトカムについて、他よりも明らかに優れているという単一の食事パターンが出現したことはありませんが、特定の食事パターンが特定のアウトカムに対してより優れていることを示唆するエビデンスはあります。
どんな食事パターンにもmore healthyなものと less healthyなものが含まれています。例えば、レンズ豆と砂糖入り飲料はどちらもビーガン食の一部と見なされています。魚と加工赤肉はどちらも低炭水化物の食事パターンの一部と見なされます。ファーストフードのハンバーガーからパンを取り除くとパレオ食になるかもしれませんが、必ずしも健康になるわけではありません。
さらに、二つ以上の同パターンを比較した研究では、研究者によるパターンの定義、被験者のパターン遵守を促進する研究チームの有効性、パターン遵守の評価精度、研究期間、および被験者の特性などが異なる場合があります。


前糖尿病または過体重/肥満の糖尿病患者における減量療法の役割は何ですか?

「体重減少が、前糖尿病から2型糖尿病への進行の予防および2型糖尿病における心臓代謝健康の管理に非常に有効である」ことを示す実質的なエビデンスがあります。過体重や肥満は1型糖尿病の人にもますます一般的になっており、糖尿病治療とCVDリスク因子に関して臨床上の課題を提示しています(133,134)。
したがって、1型糖尿病、2型糖尿病、または前糖尿病ならびに過体重/肥満の人の体重減少を達成するための共同努力に加えて、MNTおよびDSMESにはエネルギー欠損となる形式での全体的な健康的な食事プランを含めることが推奨されます。

エネルギー欠損をもたらし、個人の嗜好やリソースに合わせてカスタマイズされた食事プランは、長期的な持続に役立ち減量療法の礎石です。
定期的な身体活動を含む行動戦略も減量とリバウンド防止に役立つので、ライフスタイル療法の重要な要素となります(26,74,83,135–137)。食事の置き替えによる減量プログラムも糖尿病患者の体重減少を促進することが示されています(138-140)

糖尿病患者にとって減量幅による最大の臨床的利益のための閾値はありません。むしろ、体重減少が大きければ大きいほど利益も大きくなります。過体重/肥満者に対する以前の推奨つまり5%または≦7%の減量は、治療上の利点に必要な閾値に基づいています。しかし、目標≦15%の体重減少は、それが実現可能かつ安全に達成できる場合は、2型糖尿病におけるより良いアウトカムと相関しています(138、141)。

英国のUK Prospective Diabetes Study (UKPDS)は、空腹時血糖の低下が体重減少の程度と相関することを証明しました(142)。 Franz et al. (137) によって行われたメタ解析(137)では、体重減少<5%をもたらすライフスタイル介入は、≦5%の体重減少を達成する研究と比較して、A1C、脂質、または血圧への影響が少ないことを立証しました。 2型糖尿病で薬に頼らない又は薬を使用する減量介入に焦点を当てた他のメタ解析はこの所見を支持しています(143–145)。
もっと最近では、Look AHEAD試験(139,141)が標準的なDSMESをより集中的なライフスタイル介入および低カロリー食事療法プランと比較しました。集中的なライフスタイル介入は1年で8.6%の体重減少をもたらし、そしてダウンストリームの治療的有用性は、心血管の一次アウトカムで見られなかったけれど広範囲にわたるものでした(100)。

MNTの有効性の系統的レビューでは、1型および2型糖尿病の被験者の減量がまちまちであることが示されました(9)。
同様に、DSMESは糖尿病治療の基本的な構成要素ですが(1)、糖尿病患者に最適な治療上の利益を達成するのに十分な体重減少を一貫してもたらすわけではありません(136、146、147)。これらの理由から、糖尿病MNTとDSMESはウェイトマネジメントのための的を絞った協調的なプランに重きを置くべきです。

ライフスタイル介入の補助として使代謝手術(148)、減量薬(149)、および減量を促進する血糖降下薬(150)を追加的に実施することも可であり、結果的により大きな減量がより長期に亘って維持できます。このデータはまた、減量療法が2型糖尿病のすべてのフェーズで有効であることを裏付けるデータもあります。

糖尿病予防プログラム(DPP)では、4年以上にわたる糖尿病の最大予防は約7〜10%の体重減少で観察されました(151)。これはフェンテルミン/トピラマートERを用いた研究と一致しています。この研究では、10%の体重減少が2年間で糖尿病発症率を79%減少させましたが、さらなる減量≦15%を行っても追加的な予防にはつながりませんでした(152)。このため、他の目的でさらなる体重減少が必要でない限り、7〜10%の体重減少をサポートする食事療法が前糖尿病患者の治療での適切な目標です。
食事療法はライフスタイル介入プログラムの構成要素ですが、前糖尿病患者の抗肥満薬and/or代謝手術と組み合わせることもできます。(153,154)。

単独での定期的な身体活動(155,156)だけで、或いは包括的なライフスタイル計画の一部として(26,74,83,151)は、2型糖尿病リスクの高い人の発症進行を防ぐことができます。有酸素運動と筋トレを組み合わせると有益であることが研究で示されています(157–159)。


                              Tobe continued