第1124回 江部医師が糖質制限の真実をポロリと吐露!!

appetite3.jpg

江部医師を強弁家や詭弁家と評する人もいます。「強弁」は筋の通らない自分の考えや言い訳を押し通すために強引な主張をすることで、「詭弁」は言葉巧みに相手を騙すことです。二者択一では私はズル賢いイメージを持つ詭弁家だと思います。

過日TV番組に江部医師が登場し、「お腹いっぱい食べて楽々痩せる」、「お肉をいくら食べても太らない」、「炭水化物を食べなければ、好きなものをいくら食べても良い」といった手軽な印象を植え付けて糖質制限ダイエットの紹介をしていたことを、photographic memoryとして今でも鮮明に覚えています。

世界的に権威のある米国糖尿病学会(ADA)の “食事療法に関する勧告2013年” で、低炭水化物が正式に認められたと折に触れ強調することで、いかにも自分の推奨する糖質制限ダイエットの優位性が認められたかのごとき印象を植え付けてきました。

私はアンチ糖質制限ではありません。わたしは糖質制限にメリットが無いとは言っていません。個別性や目的を考慮した上で、一つの選択肢として炭水化物の摂取量を抑えることには異議を挟みません。しかし、糖質制限食をone-size-fits-allの食事パターンとしてその絶対性・優位性を排他的に誇大喧伝していることに強い抵抗感を示し、当ブログでも何度か取り上げてきました。

このような状況下で、江部医師が見識ある読者に論理的に詰め寄られて、『米国糖尿病学会の“食事療法に関する勧告2013年では、全ての糖尿病患者に有用と決定づけられる理想的な食事パターンはないとし、患者個人の事情や考え方をこれまでより優先する方向を打ち出した。この流れの中で、食事療法のひとつとして糖質制限食を取り上げたに過ぎず、江部先生の言われる「正式に承認した」とはニュアンスが大きく異なる。どの食事パターンを選ぼうとも重要なのはカロリー制限である』という指摘を2019/08/05(Mon) 09:44付けで認めたことが、第1118回の記事の読者コメントを介して分かりました。

ここに至るまでに、医学や栄養学の知識がない所謂B層の人たちに誤解を与えて、ダイエットの挫折や遠回りを余儀なくさせたことは想像に難くありません。医師として罪深いことだと私は思います。

ところが、反省の色を示すことなく、「2019年4月のコンセンサス・レポートでは、糖質制限食が一番エビデンスが多いと明確に記載しています」と嘯いています。
“ADAコンセンサス・レポート2019” の内容は、“ Position Statements:ADA Standards of Medical Care in Diabetes 2019“ に反映されてアップデートされているので、”第1122回 米国糖尿病学会 Standards of Medical Care in Diabetes 2019“をご覧になれば、ADAの表現を借りると“認知機能が低下した高齢者、或いは、健康リテラシーやニューメラシーの欠落者”でない限り、これも詭弁であることに容易にお気づきになるでしょう。




この記事へのコメント

東郷
2019年08月12日 22:58
こんばんは、東郷です。
夏休み中のコメントとなってしまい、大変申し訳ありません。
先ほど江部氏のブログで事態が動いたことが確認できましたので、取り急ぎ投稿させていただきます。
このコメントをアップなさるとしても、休みあけで十分です。

さて、先日の件、記事にしていただき有難うございました。
その後、私は江部氏が逃げ道として用意した2019年ADAコンセンサス・レポートについて、江部氏の例のブログの7月31日の記事にコメントを送信しました。それが昨日11日のことでした。

しかし、江部氏は私のコメントをもみ消したようです。
昨日は、コメントを送信することができたのですが、今日一部訂正して再送信しようとすると、「書き込み制限を受けています。」とのコメントが出るばかりで、送信できないのです。

まあ、それでも昨日のコメントがアップされる可能性は残っていると思い、様子を見ていました。
そうしていたところ、さきほど私より1日以上遅れて投稿された他の人のコメントと江部氏の返信がアップされました。

ここに及んで、江部氏が昨日の私のコメントをもみ消し、そして私に対して以後のコメント禁止の措置をとったことが確定いたしました。

つづく
東郷
2019年08月12日 23:03
長文となってしまい、誠に恐縮ですが、もみ消された私のコメントをここに掲載させてください。

コメントは7月31日の記事に対して、5回に分けて投稿しました。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-date-201907.html

投稿したのとほぼ同じ文章を残しておりましたので、以下に貼りつけます。

ーーーーーーーーーーーーここからーーーーーーーーーーーーーーーー
ADA、2019年のコンセンサス・レポートについて


こんにちは、東郷です。

最近は原文を引用のうえ、コメントをなさるようになり、大変有難く感じております。
さて前回7月25日の記事のコメントでの議論で、2013年においては、
米国糖尿病学会(以下、「ADA」)のスタンスは、

「療法のひとつとして糖質制限食を取り上げたに過ぎず、
江部先生の言われる「正式に承認した」とはニュアンスが大きく異なる。」

ことが確認できました。

そのうえで、江部先生は
「なお2019年4月のコンセンサス・レポートでは、糖質制限食が、一番エビデンスが多いと明確に記載しています。」
と述べておられます。

この点について、本記事で解説しておられましたので、ここでコメントを続けさせていただきます。

つづく
東郷
2019年08月12日 23:04
ADA、2019年のコンセンサス・レポートについて-2

>今回、ADAの、2019年4月発表の「成人糖尿病患者または予備軍患者への栄養療法」コンセンサス・レポートでは、糖質制限食(Low-carbohydrate eating patterns)が、ボリュームとして一番大きく取り上げられていて、エビデンスも最も豊富であると記載してあり・・・

ボリュームとして一番大きく取り上げられていることは、エビデンスレベルとは無関係です。
糖質制限食のボリュームが大きくなったのは、主として問題点や注意事項が多かったことが原因のようにも思えます。

普通に全体を俯瞰すれば、このレポートが「糖質制限食が、一番エビデンスが多いと明確に記載してい」るようにはどうしても考えられないように思います。

つづく

東郷
2019年08月12日 23:07
ADA、2019年のコンセンサス・レポートについて-3

糖質制限食のエビデンスが最も豊富であるというのは、あくまで短期的な血糖値改善についてのことです。
また、その対象は江部先生が和訳なさったように「血糖値目標を達成していない、または血糖降下薬の服用量を減らすことが優先される成人2型糖尿病患者」とされています。

一般的に糖質制限が短期間ならば血糖値を改善させることは、糖質制限反対派であっても、日本糖尿病学会も常識として知っています。この部分に関しては江部先生の功績は大きいと素直に思います。
問題はそればかりを重視していていいのか、ということで意見が分かれるわけです。

江部先生が引用なさったEATING PATTERNS Consensus recommendations
Low-Carbohydrate or Very Low-Carbohydrate Eating Patterns(☆☆)
にはこう記されています。 

「低炭水化物食(炭水化物≦45%)と高炭水化物食(炭水化物>45%)を比較したRCTのメタアナリシスで、A1Cの改善は炭水化物<26%の超低炭水化物食が3ヶ月と6ヶ月の時点で顕著ですが、12ヶ月と24ヶ月では認められなかったことが報告されています(110)。」

「One meta-analysis of RCTs that compared low-carbohydrate eating patterns (defined as ≤45% of calories from carbohydrate) to high-carbohydrate eating patterns (defined as >45% of calories from carbohydrate) found that A1C benefits were more pronounced in the VLC interventions (where <26% of calories came from carbohydrate) at 3 and 6 months but not at 12 and 24 months (110).」

(和訳はhttps://good-looking.at.webry.info/ 第1113~1117回を参考にしました。以下同じ。)

同じ主旨の文章はそのすぐ10行ほど下にもあります。「(111). Finally,」に続く文章です(引用略)。

つづく
東郷
2019年08月12日 23:08
ADA、2019年のコンセンサス・レポートについて-4

なお、江部先生が和訳を「中略」とされた文章の最後はこうなっています。

「慢性腎臓病、摂食障害、或いは妊婦に超低炭水化物の食事パターンを推奨するにはさらなる研究が必要である。」

「Because of theoretical concerns regarding use of VLC eating plans in people with chronic kidney disease, disordered eating patterns, and women who are pregnant, further research is needed before recommendations can be made for these subgroups.」

ちなみに最近も江部先生は、妊婦の方に「妊娠糖尿病には、スーパー糖質制限食が、血糖コントロール、体重コントロールにおいて最も優れた食事療法です。」とコメントなさっていますね。

また引用なさった<食事パターン・コンセンサス・リコメンデーション>(☆)

<食事パターン・コンセンサス・リコメンデーション
糖質制限食(低炭水化物食、超低炭水化物食)>(☆☆)
との間には
<前糖尿病を管理し2型糖尿病を予防するための特定の食事パターンのエビデンスは?>
の項目があります。ここの部分の引用は省略なさっていますが、ここには

「疫学的研究では、地中海スタイル(76)、ベジタリアン(77–80)、および高血圧を止めるための食事療法DASH(76,81)の食事パターンで2型糖尿病の発症リスクが低減しましたが、低炭水化物の食事パターンによる効果は認められませんでした (82)。」と記されています。

「Epidemiologic studies correlate Mediterranean-style (76), vegetarian (77–80), and Dietary Approaches to Stop Hypertension (DASH) (76,81) eating patterns with a lower risk of developing type 2 diabetes, with no effect for low-carbohydrate eating patterns (82).」

つづく
東郷
2019年08月12日 23:11
ADA、2019年のコンセンサス・レポートについて-5

また、飽和脂肪酸については「Saturated Fat」の項目に詳細に記載されています。

非常に長いので原文は省略しますが、心血管疾患や総死亡率の関連を述べながら、飽和脂肪酸の摂取カロリーを10%未満に抑えることを推奨しています。
これは江部先生の糖質制限食とは正反対の部分ですが、以前から飽和脂肪酸の制限はADAのブレない部分でもあります(ADAに限った話ではありませんが)。

ここまでの議論を通して思うことなんですが。

確かに2019年の当レポートにおいては、これまでのADAに比べて、やや糖質制限食について肯定的な表現も見受けられます。
しかし全体として見て、それは「糖質制限食が最も積極的に推奨されています。」と言えるものではないと思います。

江部先生の書きぶりには、自らに有利なことのみ取り出して、不利な部分はコメントせず、結論を導き出すという傾向が見て取れます。
特に原語が英語の資料において、その傾向は顕著かと。

ADAが糖質制限の一側面を認めたからといって、江部先生の勧める糖質制限食を認めたということにはならないと思います。

もし、江部先生の勧める糖質制限食がADAの方針と合致する、ということを主張なさりたいのなら、ADAに確認なさってはいかがでしょうか?

長期にわたってスーパー糖質制限を続けたり、飽和脂肪酸を多量に摂取したり、妊婦の方もスーパー糖質制限を行う。
果たして、ADAはこのような食事療法にお墨付きを与えるのかどうか。

――――――――――ここまでーーーーーーーーーーーーーー

もみ消された私のコメントは以上です。
夏休み時期に大変失礼いたしました。
重ね重ね、お詫び申し上げます。
Meddlesome181
2019年08月13日 12:28
江部医師の高尾病院で、1型糖尿病の19歳女性にリスプロ中止/グラルギン眠前4~8単位/日を施し、ケトアシドーシスとなり京大付属病院に緊急搬送されるいう症例
がありました。専門医の山田医師は「1型糖尿病患者に対して盲目的になされた極端なレベルの糖質制限食に伴って糖尿病ケトアシドーシスが発症したことが日本糖尿病学会の機関誌に掲載された。これは一般医家が盲目的にケトン産生食を実施することの危険性を示している」と医師向け専門情報サイトで語っています。


2019年08月16日 21:06
こんばんは、東郷です。

夏休み中も、コメントの掲載、トップページの数度のマイナーチェンジなど、
何かとご配慮いただき、誠に有難うございました。
アクセスすごいんですね!

今後ともよろしくお願いいたします。
石田
2019年09月18日 01:06
江別先生にもお会いして実際にお話した事がある者です。
タイに3年間赴任して帰国した時の健康診断は肥満、メタボ、脂肪肝、肝機能の数値の悪化、血糖値の上昇で満身創痍でした。
20年間中性脂肪値が落ちず、ウエストは94cmだったのでダイエットを決意。
今までどうしてダメだったのか、また糖質制限はどういうメカニズムでどう効くのかわかりやすい説明だった事、成功体験者が著名人に多かったというのもあり、採用して2カ月試しました。
すると。。
体重は10kg減、ウエスト85cm,脂肪肝、肝臓の血液検査結果が全て正常に。
中性脂肪と善玉コレステロール、血糖値も規格内の正常値に。
悪玉コレステロールのみ悪化で経過観察中ですが、かぜも引かず、食中毒の症状も同じ物を食べた同僚に比べて軽く、昼間眠くなる事もなくお腹も空かない。
もう2年間続けていますが至って健康です。
たった1カ月で劇的に改善する人もいるのでどんどんためさせればいいのでは?自己責任で。
今の推奨されているカロリーと糖質量では177/75/56歳では確実に太ります。
1000kcsl消費するジョギングを週に2回、1カ月続けても体重は変わらず。
運動と合わせて1日の総摂取カロリーを1700kcsl以下に抑えても、です。
1日130g以下の糖質制限を周りにすすめていますが皆ダイエットは成功しています。
1000万人も糖尿病予備群がいるのはこれまでの指導が良くないから。
それを素直に認めなければ、これまでのひどい状況を変えようとしている人達を議論する資格が無いと思っています。
守れないのは患者のせい。と逃げるのは無しで。守れる手段で短期間で結果を出して見せるに尽きます。
Meddlesome181
2019年10月12日 09:20
石田さん
糖質制限で生活習慣病が良くなった由、ご同慶の至りです。

この機会に小生の考え方を順不同で付記しておきます。

経験に勝るものはない!
その通りです。
ただし、サイエンスとしての医学においてはこの限りではありません。
最新の臨床研究に基づいて統計学的に有効性が証明された治療を選択することにより、より効果的な質の高い医療を提供することを目的として、EBM(Evidence-based Medicine)という医療理念が重視されています。

科学的エビデンスの裏付けがないn=1の成功体験談は不特定要素が多く、当ブログでは基本的に”unwelcome”です。
所詮「n=1」は「n=1」に過ぎません。つまり、「n」とは母集団の中のサンプル数で、集団の中の一人の成功体験が他の人にもあてはまるとは限りません。
また、相関関係があっても因果関係がある証とはなりません。

-to be continued-

Meddlesome181
2019年10月12日 09:21
世界最大の米国スポーツ医学団体ACSM及び米国心臓学会(ACC)は、過体重/肥満者へのガイドラインとして、1日当たりの摂取カロリーを女性1200~1500kcal/男性1500~1800kcalに抑えて、500~750kcal(or 1日に必要なエネルギーの30%)のエネルギー欠損にすることを奨励しています。

個人の体験の延長線上で現行の医療システムを否定し、エビデンスが不十分な新たな手法を自己責任で採り入れることを普遍的に主唱するのは、科学リテラシーのない単なるニヒリストです。

低炭水化物/ケトン産生食は米国で一足先に大ブームとなり、ダイエット本も4500万部以上の売り上げを記録し、2003~2004年には北米では成人の7人に1人が取り組むほどでした。しかし、肥満および糖尿病の問題は未だに解消していません。