第1145回 新型コロナウイルスいつになったら収束するの?

君には難しいかも…
パパ・ママにしっかり読んでもらってね!

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ニュージーランドでは、早期にGDPの4%に相当する8000億円規模の経済対策および世界的にも厳しい都市封鎖を実施して、アーダーン首相がテレビ・メッセージで “stay home, be strong but be kind, We will be OK“ と国民に語りかけました。
4月初めにコルマー・ブラントンが行った世論調査によれば、政府が正しい判断を下すと信頼を寄せる人は88%に上がり、92%が政府の方針にきちんと従って生活していると答えている。これが奏功して4月27日には新たな感染者が1人となり、アーダーン首相は「(コロナとの)闘いに勝利した」と宣言し、警戒度を最高水準の「レベル4」から1段階引き下げて、外出規制を一部緩和しました。
ニュージーランドは観光大国であり、第2波や第3波をどのように防ぐか今後の対策が注目されますが、同首相は28日午後の記者会見で「まだ危機を脱したわけではない。不用意なウイルスの拡散を防ぐため一層の警戒が必要だ」と述べ、「経済的な打撃と闘うためできる限りのことを実行する」と経済再生に意欲を示しました。

同じ島国である日本では、いつになったら新型コロナは収束するのでしょう?

基本再生産数(R0)と実効再生産数(Rt)
基本再生産数(R0)とは、感染力のある一人の感染者が、免疫の獲得または死亡により、その感染力を失うまでに何人の未感染者に伝染させたかの目安で、その病原体の感染力の指標となります。

R0<1:
R0が1より小さい場合、感染症は終息していく。

R0=1:
R0が1の場合、突発的な流行は起きないが終息もしない。

R0>1:
R0が1より大きい場合、突発的な流行や感染拡大の恐れがある。

注意すべきは、基本再生産数は何も対策を取らなかった場合の数値であり、病原体の素の感染力を示します。
これに対して、手洗いやうがい、或いは、3密をモットーに人々の接触削減といった対策が取られれば、1人の感染者が実際に直接感染させる人数は減ります。
こうした実際の再生産数のことを実効再生産数(Rt)と言います。
換言すると、「新規感染者数が減少に転じる」というのは、「実効再生産数が1を下回ったとき」のことを指します。

緊急事態宣言
安倍首相は緊急事態宣言で、「最低7割できれば8割」と発表しました。
図で表すと次の通りです。

R0一覧表.png

しかし、専門家会議のメンバーである北海道大の西浦教授による数理モデルを用いた試算では、ドイツのデータR0=2.5を基に『人と人の接触を8割減らす対策を取れば、10日~2週間後に感染者が1日数千人のピークに達しても、その後に対策の効果が表れ、急速な減少に転じる』となっており、「人と人の接触を8割減らさないと、日本で約42万人が新型コロナウイルスで死亡する」と同教授は警鐘を鳴らしています。

アメリカのハーバード大学のチームは最近、「外出制限は2022年まで必要になる」との予測を公表し、内外で大きな関心を集めました。
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は“High Contagiousness and Rapid Spread of Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2”で、武漢のデータをもとに、likely R0=5.7(95% CI 3.8~8.9)としています。

ウェーデンのウメオ大学の研究チームは、最近発表されたCOVID-19に関する研究報告書12本を精査し、R0平均値は3.28人で、中間値が2.79人と算出しました。
世界保健機関(WHO)はCOVID-1の基本再生産数R01.4~2.5と推測しているが、感染力を過小評価していると指摘している(2020年02月18日)
因みに、インフルエンザはR0=2~3です。
麻疹は12~18、風疹5~7、SARS 2~5、HIV/AIDS 2~5となっています。


戦略と戦術のミスマッチが目立つ日本
弁護士・医学博士で前新潟県知事の米山隆一氏は、女性問題でマスコミに叩かれた御仁だが、“論座”でR0を4つに分類して的を射た私見を述べておられる。
その骨子は下記の通りです。

R0=0戦略:
これはいわゆる「封じ込め」であり、水際対策を行って患者を見つけ出し、ただちに隔離して誰にも感染させずに、感染の収束を図るものです。この戦略は感染がそれ程広がっていない時に限られ、国内外での往来が盛んな現代において徹底するには膨大なコストがかかります。

R0<1戦略:
これはロックダウンであり、R0を1未満に抑え込むことで短期間に感染を収束させるものです。ただ、それ自体が大きな社会的。経済的混乱をもたらし、大きな副作用をもたらす。また、ロックダウンでR0<1として感染を鎮圧した場合、感染は広がっておらず社会の多くの人は免疫を獲得していないので、ロックダウンを終了した後に感染が再焼するリスクがあります。それを防ぐにはロックダウン終了後R0=0戦略に移行して、徹底した水際対策を続けるしかありませんが、それには前述の通り膨大なコストがかかります。

1≦R0<2(R0~1)戦略:
R0を急いで1未満にはすることは追求せず、「自粛」や「クラスター対策」でR0を1≦R0<2に保つことで感染拡大の速度を抑え、同時に一定程度の感染の拡大を許容することで免疫を持つ人を増やし、時の経過とともにRtが1を下回ることで感染が鎮圧されるというものです。この戦略は手段としてはマイルドですが、鎮圧までに長い時間を要し、対策を継続できるか否かが鍵となります。

R0≧2戦略:
一時イギリスが採用すると取りざたされたもので、感染の拡大をあえて放置し、社会全体が「集団免疫」を獲得することで、感染を収束させるものです。当然のことながら、収束までには多くの患者と、相当数の死亡者が生じることになります。

米山氏は、「日本政府はどこを目指した戦略・戦術を取っているのか明確ではなく、パニックになった世論に流され、コストと被害を無駄に膨らませる政策をやっているとしか思えない。各戦略、戦術にはメリットとデメリットがある。日本の政治的リーダーの方々は是非、客観的データをもとに、取るべき戦略を合理的に選択し、戦略目標を定め、その目標に合わせて最も効果的に戦術を配置して、そのメリットとデメリットを国民と共有し、日本国民全員の生命・財産と、日本社会全体への被害を最小限に抑える形で、新型コロナを鎮圧していただきたいと、一国民として心から願います」と締め括っています。

因みに、ブラジルのボルソナロ大統領が国民に「新型コロナウイルスには70%が感染する。どうすることもできない」と発言。その上で社会の崩壊を防ぐため、「高齢者や健康に問題のある人はケアするべきだ。ただ、われわれは働かなければならない」と経済活動再開を訴えたという記事を取り上げて、ホリエモンは「ボルソナロ大統領の言っていることはまさに正論」と賛同しています。ボルソナロ大統領がやっているのはR0≧2戦略です。この戦略ではデメリットして重症者や死者が多く出ますが、このことについては深く言及していない。

安倍首相は、実質的にはR0~1戦略である「自粛」や「クラスター対策」を行っており、そもそも早期の収束など期待できない。

新型コロナウイルス感染症には非常に多くの無症状者と軽症者がいて、潜伏期が長いという特徴がある。だから症状がある人だけ叩いても感染は制御できないのは当初から分かっている。それなのに水際とクラスター対策をやり続け検査を絞ったから、今のような経路を追えない市中感染と院内感染が拡がったのは当然の帰結と言えるという手厳しい専門家の声もあります。

経済の困窮が一層深まって経済崩壊の歯止めに軸足を置いた考え方をすると、ある程度の医療崩壊を黙認し早期に感染者数を増やすほど、重症者や死者も増えるが集団免疫の達成は早まるという見方もできる。

安倍首相は戦略・戦術のメリットのみ前面に押し出しデメリットは語らない。
政治はアパシー/大衆把握/プロパガンダと言われるが、歪んだ形でコロナ対策に用いるべきではない。あの山中教授(ノーベル賞)もデメリットを語らないのは残念だ。


日本のウイルスとの戦いは長期化する
昭和大学の二木芳人客員教授(感染症)は、『ここまで感染が拡大すると、1年以内に収束するのは難しいだろう。一時的に感染者数が減少して収束し始めたかと思える時期も来るだろうが、それは『感染の波』ともいうべきもので、再び感染者の増加が来る。恐らく6割~9割の社会的免疫(集団免疫)ができ上がり完全収束するまで2~3年はかかる。海外で実施されているロックダウンのような厳しい措置も、免疫成立までの患者数の増加スピードを抑えて、医療組織を破綻させないための対策でしかなく、緩めたらまた感染が広がりだすだろう』と警鐘を鳴らしている。

4月18日、日本感染症学会が主催する「COVID-19シンポジウム-私たちの経験と英知を結集して-」と題した緊急シンポジウムが開催された。登壇者は政府専門家会議の主要メンバーや、感染拡大の初期から治療の最前線で奮闘してきた臨床医らで、危機感を背景にした現状報告や問題提起が相次いだ。この中で、新型コロナウイルスとは長期にわたって向き合わなければならず、このウイルスとの戦いは長期化する、との見解が示された。


Take Home Message
新型コロナウイルス感染症は長期化する懸念が大きい!


追記:
このような状況下で、感染リスクや重症化リスクを少しでも軽減できれば幸甚かと思い、安価で可能性があり今われわれが出来ることのひとつとして、ビタミンDの補給を取り上げた次第です。






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