第1146回 3密ゆるゆるの日本で新型コロナ感染は終息するのか?

2020/5/8 アップデート

安倍首相は、感染者の減少が期待通りではなかったとして、緊急事態宣言を全国一律で5月31日まで延長を発表した。外出自粛や施設使用制限などに強弱をつけるという対応で、13の特定警戒都道府県とそれ以外の34県を明確に区分し、経済活動を部分的に容認する姿勢を打ち出した。
専門家が「自粛の緩み」から再び感染拡大に転じることを懸念する中で、経済活動の早期再開と宣言解除に向けた一定の道筋をつけたいとの狙いが見え隠れする。

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専門家会議の提言
緊急事態宣言の延長決定に先立つ5月1日の専門家会議の提言では『全国の実効再生産数は宣言前の3月25日に「2」だったが、宣言後の4月10日には「0.7」に低下した。一方、東京都は感染者数が増加し始めた3月14日には欧米の流行時並みの「2.6」だったが、同25日の都の外出自粛要請を挟んで新規感染者数の伸びが鈍化し、4月10日には「0.5」に一気に下がった』、しかし、『東京都の減少のスピードは全国データよりも早いが、増加する際の立ち上がりに比べれば緩やかである』と述べられています。
しかし、このことを以って非常事態宣言の延長の主たる理由に挙げるのは当たらない。
Financial Timesのグラフが明示しているように、厳しいロックダウンを実施した諸外国においても同様に、陽性者数および死亡者数の減少スピードは緩やかだ。


緊急事態宣言の延長についてのエビデンス(科学的根拠)が全く示されない
戦略・戦術の策定に際して現状の分析/把握は不可欠であるが、安倍首相の説明には何ら具体的な説明もなかった。記者会見で延長を余儀なくされた原因を問われたが、的確な回答はなく国民は納得しないであろう。


安倍首相は4月冒頭に「1日2万件のPCR検査」と述べ、われわれは期待したが、まったく空文句だった
「PCR検査数を増やせという巨大な圧力によって実際に増えているのは、検体を採取する場所と人、検査に必要な機器のみ」、「技術力が求められるPCR検査員は限られている」、「RNA抽出キットがすべて輸入品で在庫が潤沢でない。国際的争奪戦が繰り広げられ、日本はその競争に完全に乗り遅れ、入手が難しくなってきている」といった事実を明かした上で、どのような方策を講じているのか明確にすべきだ。

緊急事態宣言の延長に伴った諸施策への苦言は山ほどありますが之までとし、ガラッと視点を変えて見てみましょう。

安倍首相は実はコロナ対策の魔術師なのだろうか?
米ジョンズ・ホプキンズ大の集計によると、新型コロナウイルス感染症による死者が4日、世界全体で25万人を超えた。死者の85%が徹底したロックダウンを行った欧米に集中している。3密ゆるゆるの日本では、感染者を大きく減らすことには失敗しているが、死亡者は5日の時点で累計556人と圧倒的に少ない。


ロックダウンは有効策か?
BMJ 2020/05/01
“Full lockdown policies in Western Europe countries have no evident impacts on the COVID-19 epidemic”

「イタリア、フランス、スペイン及びイギリスにおいて実施された徹底的なロックダウンが功を奏していないこと」、「結果は緩やかなソーシアル・ディスタンス(社会的距離)を実施した近隣国と類似していること」が報告されている。

ソーシアル・ディスタンスは実施しながらもロックダウンはしていないウェーデンでは、100万人当たりの死亡者は241人であり、ロックダウン下の米国より高い。しかし、日本に比べると非常に多い。

わが国の国立感染症研究所は、検査で陽性と判定された国内の約560人の検体から、ウイルスのゲノムを解読し、「武漢市で検出されたウイルスは3月以降に国内で広がることはなく終息した。これに代わって国内で確認されるようになったウイルスは、欧州各国で感染を広げたウイルスの遺伝子に特徴が近い」と発表した。
しかし、欧州ではロックダウンでも猛威を振るい多くの死者が出ているが、3密ゆるゆる日本で欧州ウイルスによる感染および死者は指数関数的に増えていない。

ウイルス感染を防ぐには、入国制限を含めて人との接触をさけることが最善であることは素人でも容易に理解できる。しかし、ロックダウンが奏功しないのは意外である。


BCG接種が影響しているのだろうか?
45歳以上の国民がBCG集団接種を受けたスウェーデンのコロナ死亡者数260.5人は、現在もBCG集団接種を続けるポルトガルの100万人当たりの感染死亡者98.0人より有意に高い。ところが、スウェーデンの年齢層別の死亡者は、そのほとんどがBCG接種を受けたはずの高齢層のグループに集中し、BCG接種を受けていない40歳未満はほとんど死者がいない。ポルトガルも同じように高齢層に死者が集中している。

BCG集団接種を過去に実施したポルトガルの隣国スペインは、高齢層が接種済みでロックダウンを実行しているにもかかわらず、100万人当たりの感染死亡者が525.3人と極めて多い。スペインもポルトガル同様、高齢者がCOVID-19死の過半数を占める。過去に現在の高齢者にBCG接種を実施し、現在ロックダウンを行う英国、フランス、およびイタリアなど欧州の国の殆どで、このパターンは共通している。ロックダウン後もおよそ1カ月以上にわたり感染者や死者が増え続けたのも同じである。

 早い話が、BCG接種を受けていても、高齢者であればコロナ死をする確率が有意に高くなる一方、BCG接種を受けていなくても、若い人であれば死の確率は極めて低い…JB Press岩田太郎氏

もし死亡者数の低さの主因がロックダウン(都市封鎖)ではないとするなら、多くの国がとんでもない過ちを犯し、無駄に多大な損害をもたらしていることになる。

2020/5/8アップデート
参考になります

Yahoo ニュース 5/7(木)
“世界中で日本だけ「コロナ感染のグラフがおかしい」という不気味”

論座 2020/5/8
“国民に自粛を強いる「8割削減」目標を根底から疑え!”





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