第1147回 ビタミンD欠乏と新型コロナ感染・重症化との関連性

先ずは、”第1142回 新型コロナウイルス vs ビタミンD” を読んでください。

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Paul Lips et alの研究では、ビタミンD欠乏を血清25(OH)Dレベル<50 nmol/L or 20 ng/mLと定義すると、北欧では人口の20%未満、西欧/南欧/東欧で30~60%、中近東では最大80%が欠乏レベルであり、重度の欠乏(血清25(OH)D<30 nmol/Lまたは12 ng/mL)はヨーロッパ人の10%以上に見られる。

European Journal of Endocrinology
2019 Apr
Current vitamin D status in European and Middle East countries and strategies to prevent vitamin D deficiency: a position statement of the European Calcified Tissue Society


Research Square
2020 April 8
The role of Vitamin D in the prevention of Coronavirus Disease 2019 infection and mortality
Petre Cristian Ilie et al.

高齢者の25(OH)Dレベルの平均値は、スペインで26nmol / L、イタリアで28 nmol / L、北欧諸国で45 nmol / Lとなっている。
重度のビタミンD欠乏を30nmol/L未満と定義すれば、スイスでは老人ホームの平均値は23 nmol / Lで、イタリアでは70歳以上の女性の76%が30nmol/Lである。
これらの国はCOVID–19感染の症例数が多く、高齢者のCOVID–19による死亡率が最も高い。この研究論文では、ビタミンDとCOVID–19感染率/死亡率とは関連性があると結論付けており、ビタミンDの補給を推奨している。


medRxiv
April 28, 2020.
Vitamin D Insufficiency is Prevalent in Severe COVID-19

これはルイジアナ州立大学健康科学センターFrank H. Lau et al.による研究です。
ICU(集中治療室)入室が必要な13名を含めトータル20名のCOVID-19患者の血清25(OH)Dレベルを調べた。一般病棟患者の57.1%、ICU患者の84.6%がビタミンD欠乏(Vitamin D insufficiency)だった。特筆すべきは75歳以上のICU患者の100%がビタミンD欠乏だった。
加えて、ICU患者の62.5%に血液凝固障害があり、92.3%にリンパ球の減少が認められた。
『ビタミンD欠乏はCOVID-19重症化と大いに関連している。ビタミンD欠乏とCOVID-19重症化は凝血、免疫反応不全、高血圧、肥満、性別、高齢などと共に関連性がある』と結論付けている。

注:vitamin D insufficiency (VDI)
厳密には「Insufficiency」は“不十分”の意ですが、ここでは敢えて“欠乏”と訳しています。


これらはすべて査読前のpreprintです。

それでは最後に中国Ye Yao et al.による研究について、概要は “第1143回 新型コロナウイルス感染症…マイメモ” で説明しているので、ここではコメントのみ付します。

Eur Respir J. 2020 Apr 8
No Association of COVID-19 transmission with temperature or UV radiation in Chinese cities

中国では気候要因(気温および紫外線量)とCOVID-19の感染拡大との間に関連性はないと結論付けています。
しかし、日光暴露/ビタミンDとCOVID-19感染との関連は評価項目ではなく、対象者の血清25(OH)Dレベルも調べていません。
ゆえに、この論文を以ってビタミンDと新型コロナの感染/重症化の関連を否定することは出来ません。

因みに、感染者数は若い人では少なく、致死率は高齢者に多いことを他の研究が示しています。

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