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zoom RSS 第143回 炭水化物の欠乏と糖新生/ケトン体

<<   作成日時 : 2011/08/30 06:38   >>

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糖質はブドウ糖(グルコース)に分解され、肝臓と筋肉内ではグリコーゲンとして貯えらますが、脳には「蓄積機能」がありません。従って、脳への一定のグルコース供給が止まってしまうと、生命維持に支障をきたします。従って、炭水化物の摂取量を減らすダイエットを行ったり、絶食したり、或いは激しい運動を繰り返した場合などは、グルコースが不足し血糖値が下がります。その結果:

1. 肝臓で貯えられているグリコーゲンが分解(Glycogenolysis)されます。筋肉のグリコーゲンは、運動中の筋肉内で分解されて、筋肉に重要なエネルギー源を供給します。

2. 脂肪酸は、β-酸化により、アセチル-CoAに分解されますが、アセチル-CoAをオキサロ酢酸に変換する代謝経路(酵素)はありません。故に、脂肪はグルコースには変換されません・・・(註)小生コメント:厳密に言うと、通常の脂肪酸は炭素原子が偶数なので殆どグルコースを合成できない。理論的には奇数個の炭素原子を持つ脂肪酸からグルコース合成されますが、しかしほとんど存在せず微量しか確保できないため、“脂肪はグルコースには変換されない”と記載されることが多い。

3. 肝臓のグリコーゲン貯蔵量だけでは十分なグルコース必要量を供給できないので、糖新生(Gluconeogenesis)の経路によって、タンパク質がグルコースに変化します。
もう少し詳しく云いますと、大部分はアミノ酸(糖原性アミノ酸)ですが、その他に中性脂肪の加水分解で生成されるグリセロール、乳酸、ピルビン酸(アラニン回路:筋肉でアラニンに変換され肝臓に輸送)、TCA回路の中間体etcからも糖新生されます。
糖新生は、主に肝臓で行われますが、飢餓状態が進行すると一部腎臓でも行われます。

4. 糖新生がピークに達すると、血糖値維持のため中性脂肪が脂肪酸に分解され、その過程で出来るケトン体が、脳の代替エネルギー源として使われます。もちろん糖新生は、その間も一定に行われます。因みに、脳のケトン体への依存は20%までで、残りはグルコースが必須だと言われています・・・(註)小生コメント:この点に関してはMr McDonaldの “Mixed Brain Fuel – Q&A” が参考になると思います(凡そケトン体75%/ブドウ糖25%スプリット)。

5. 因みに、糖新生によりタンパク質が不足すると、筋タンパク代謝は同化(合成)されず、異化(分解)作用します。尚、インスリンは糖新生を抑制します。

インターネットで検索すると大体このように説明されていますが、ケトジェニック率(ケトン体の発生)については、最近の研究で次のことが判明しています。

◆ 炭水化物: 100%がアンチケトジェニック

◆ 脂肪: 90%がケトジェニックで、10%がアンチケトジェニック(トリグリセリドのグルセロル部分は肝臓で グルコースに変換される)

◆ タンパク質: 約46%がケトジェニックで、約58%がアンチケトジェニック

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ケトン体ダイエット(ketogenic diet)

一口で言うと、炭水化物の摂取量を減らし、血液中にケトン体が増える「ケトーシス」状態を作り出す極端なダイエット方法です。
個人差も有りますが、最初の三週間は脳がケトン体に順応していないので、頭がぼんやりして、或いは疲労感や脱力感でパフォーマンスが低下することがあります。しかし、このような状態がなかなか治まらないのであれば、良識的なアドバイスとしては、無理して続けず食事をいったん元に戻して、暫し様子を見た方がよいでしょう。因みに、ナトリウム カリウム マグネシウムのサプリメントは、このような症状に効能があるといわれています。

アップデート2013年3月14日
<補足説明>

Wikipedia及びHarper's Illustrated Biochemistry 28th Edition参照

Glucogenic Amino Acid(糖原性アミノ酸)
糖原性アミノ酸とは、糖新生に用いられるアミノ酸のことです。
大部分のアミノ酸はタンパク合成の必要量を超えると、ピルビン酸かクエン酸回路のC4 or C5の中間代謝産物に代わる。
ピルビン酸はカルボキシ化されオキサロ酢酸になる。
オキサロ酢酸は糖新生の主要基質である。

糖原性アミノ酸の中でもアラニン(非必須アミノ酸)は重要な役割を持つ。
アラニンは、肝臓での糖新生に利用される。
肝臓で、アラニンから糖新生は生理的濃度の20-30倍にならないと飽和しない。

グルコース・アラニン回路
筋肉において、グルコースは解糖系で代謝されてピルビン酸になる。そのピルビン酸はグルタミン酸からアミノ基を受け取ってアラニンとなる。アラニンは血流にのって肝臓に運ばれる。肝臓において、アラニンはNH3基が脱アミド化されるとピルビン酸になる。
肝臓では、ピルビン酸から糖新生によりグルコースになる。グルコースは血流にのって筋肉に運ばれ、解糖で代謝される。これをグルコース・アラニン回路という。

Ketogenic amino acid(ケト原性アミノ酸)
脱アミノ(アミノ基転移による場合を含む)を受けた後、炭素骨格部分が脂質代謝経路を経由して、脂肪酸やケトン体に転換されうるアミノ酸のことである。主としてアセトアセチルCoAを経てアセチルCoAになる。アセチルCoAはクエン酸回路に取り込まれてエネルギーを生み出す。
細かく言うと、
・リジンとロイシンはアセチルCoA2に変換される。
・フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、イソロイシンは、アセチルCoAと糖新生に入る中間代謝産物に変わる。

脂肪酸と糖新生
脂肪酸からは基本的に糖新生は起こらない!
何故なら、
・ピルビン酸からアセチルCoAを生成するピルビン酸デヒドロゲナーゼは不可逆である。
・アセチルCoAがクエン酸回路に入っても、二つの炭素Cはオキサロ酢酸が作られる前に外れていく。但し、非常に稀ではあるが、奇数の炭素原子を持つ脂肪酸は、プロピオニル-CoAとなり糖新生の基質となり得る。
・トリグリセリド(中性脂肪)が脂肪酸に分解されるときの代謝産物であるグリセロールは、グリセロールリン酸となり糖新生の経路に入る。

(註)Harper's Illustrated Biochemistry 29th Editionが発行されたが、この部分の記述に変更があるかどうかは再確認していません。

プロテインと血糖値に関する論争
Mr Lyle McDonaldがグリセミックインデックスの分野では第一人者だと推奨するMr David Mendosaは、“what if the meal contains protein and fat too, as it usually does? How does that affect our mixed meal calculations?” のQAの中で、タンパク質と脂肪のグルコース変換に関して次のように述べています。

「The conventional wisdom holds that between 50 to 60% of protein becomes glucose and enters the bloodstream about 3 to 4 hours after it's eaten. It's generally accepted that fat has little affect on blood glucose.
In fact, recent studies indicate that neither protein nor fat have more than a on blood glucose. This seems to be true for people both with and without diabetes. The protein studies are particularly interesting.A 50-gram dose of protein (in the form of very lean beef) resulted in only about 2 grams of glucose being produced and released into circulation. Neither does adding protein to carbohydrate slow the absorption or peak of the glucose response.Fat delays the peak but not the total glucose response, according to these new studies. Therefore, it looks like you can simply ignore protein and fat in mixed meal calculations」

抄訳すると、
「世間一般の通念では、タンパク質の50〜60%はグルコースに変換され、食後約3〜4時間で血中に分泌される。亦、脂肪はグルコースに殆ど影響を及ぼさないと認識されている。
実際は、幾つかの研究がタンパク質や脂肪が血糖値に及ぼす影響は非常に小さいことを示しており、このことは糖尿病患者や健常者にとって恐らく正しいであろう。
タンパク質の研究は特に興味深い。ビーフの形で50グラムのタンパク質を摂取した処、たった2グラムのグルコースが産生され血中に分泌された。炭水化物にタンパク質を加えても、吸収やグルコース反応ピークは遅れない。脂肪はピークが遅れるが全体的なグルコース反応は遅れない。従って、混合食でのタンパク質と脂肪の計算は無視して良いだろう」
彼の考え方をバックアップするデータとして、次ぎの二つを挙げています。

・Franz, Marion J. "Protein Controversies in Diabetes." Diabetes Spectrum, Volume 13, Number 3, 2000, pages 132-141.

・Gannon MC, Nuttall JA, Damberg G, Gupta V, Nuttall FQ. "Effect of Protein Ingestion on the Glucose Appearance Rate in People with Type 2 Diabetes" The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, Volume 86, March 2001, pages 1040-1047. The

Mr Lyle McDonaldはこの件に関する一問一答で、Mr David Mendosaの考え方に同意しています。参考までに追記しておきます。
こちら→View Full Version : Protein Confusion?

英国糖尿病学会は、「Proteins affect sugar levels as well as carbohydrates, but to less of an extent and more slowly than carbs」、つまり、「タンパク質も血糖値に影響するが、炭水化物に比べて影響度は少なく、且つスローである」と言っています。従って「1型糖尿病患者がタンパク質食を摂る場合には注意する必要があるが、2型糖尿病では特に気にすることも無い」との考え方を明らかにしています。

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