Nice Body Make・・・よもやま話

アクセスカウンタ

zoom RSS 第536回 アナボリック ウィンドウ(筋肥大)

<<   作成日時 : 2013/10/02 05:37   >>

トラックバック 0 / コメント 0


“anabolic window” の意味をご存知ですか?
「window」は御存じの通り「窓」のことですが、「時間帯」という派生的な意味もあります。つまり、これは筋トレの専門用語で、“トレーニング後に炭水化物やタンパク質を摂取することによって筋肥大(筋タンパク同化)を最大限に高める時間枠”のことを指します。

Messrs. Alan Aragon/Brad Jon Schoenfeldによるアナボリック ウィンドウに関する記事が、Journal of the International Society of Sports Nutritionに掲載されているので紹介します。

なお、文中に出てくるSupercompensationを直訳すると超回復になりますが、いわゆる「筋肉の超回復」とはニュアンスが違いますので、此処では敢えてスーパーコンペンセーションと記します。因みに、ウィキペディアには、“This article has multiple issues”という但し書きが付いて、 “In sports science theory, supercompensation is the post training period during which the trained function/parameter has a higher performance capacity than it did prior to the training period”・・・スポーツ科学の理論の中で、スーパーコンペンセーションとはトレーニング後の期間を指し、その期間中に身体機能やグリコーゲンなどのパラメーターのパフォーマンス能力がトレーニング前よりも高まることである・・・と記載されています。

画像


Journal of the International Society of Sports Nutrition
doi:10.1186/1550-2783-10-5
Nutrient timing revisited: is there a post-exercise anabolic window?

トレーニング後のanabolic windowはあるのか?

要約/イントロ
過去20年間に亘って、栄養摂取のタイミングは、多数の調査研究やレビューの対象となってきました。栄養摂取のタイミングは、基本的に運動中及び運動前後の栄養素・・・主としてタンパク質と炭水化物・・・の組み合わせ摂取を指します。その戦略は、運動によって誘発される筋順応を最大化し、損傷した組織の修復を容易にするように立案されています。そのようなタイミング戦略は、特にLBM増など体組成の劇的な改善をもたらし得るとされ、栄養摂取のタイミングは、栄養素の絶対摂取量よりも重要であることが前提にすらなっています。
栄養摂取タイミングの中で運動後が最も重要だと考えられています。高強度の筋トレはグリコーゲンやアミノ酸など貯蔵燃料の大部分を枯渇させるだけでなく、筋線維にダメージを与えます。
理論的には、この時間帯に適切な比率で栄養摂取することで、損傷した筋肉組織の再構築とエネルギー保存の回復が始まるだけでなく、体組成や運動パフォーマンスを高めるスーパーコンペンセーションが起こります。これを “anabolic window of opportunity”と称する研究者もいます。
しかし、運動後のwindowの存在とその重要性は幾つかの要因に応じて異なります。
栄養摂取のタイミングは適用面で疑問の余地があるだけでなく、最近のエビデンスはアナボリズム(筋タンパク同化)に関する運動後の栄養摂取についての古典的な意見にダイレクトに挑んでいます。従って、2部構成で1)運動後の筋肉の順応に関わる栄養タイミングの影響についての文献をレビューし、2)エクササイズへのアナボリック反応を最大化するための実用的で科学的根拠に基づいた栄養勧告の結論を引き出します。

筋グリコーゲン補充
“運動後の栄養摂取のタイミング関する伝統的な推奨”の主目的は、グリコーゲン貯蔵を補充することです。グリコーゲンは最適な筋力トレのパフォーマンスに不可欠と考えられています(解糖系ATP産生の80%)
MacDougall et alは、1RMの80%の強度での肘屈曲1セットで筋グリコーゲンが12%減少し、3セットで24%減少したことを明らかにしました。
Robergs et alは、外側広筋のグリコーゲンが12RMx3セットで26.1%、6セットで38%減少し、それらは遅筋タイプTに比べ主に速筋タイプUのグリコーゲンの枯渇に起因することを報告しました。
従って、同じ筋群への複数のエクササイズやセット数と云った高ボリュームのボディビルスタイルのトレーニングで、ローカル部位のグリコーゲン貯蔵の大半が枯渇するのは理に適ったことです。
加えて、グリコーゲンには細胞内シグナル伝達を媒介する作用があるというエビデンスがあります。それは、少なくとも部分的に、AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)への負の調節効果に因るものと思われます。筋肉の同化(合成)と異化(分解)は、シグナル伝達経路の複雑なカスケードによって規制されています。
筋肉の同化作用に特に重要だと同定されている幾つかの経路としては、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)、および様々なカルシウム(2 +)依存性経路が挙げられます。
AMPKはエネルギー利用率を高める役割を果たす細胞エネルギーセンサでもあります。
このように、解糖、β-酸化、タンパク質分解といった異化プロセスを高めるだけでなく、インスリンおよび機械的張力によって媒介されるmTORC1活性化を含むエネルギー消費プロセスを低鈍させます。 mTOR阻害は骨格筋の成長の調節におけるマスターネットワークとみなされ、その阻害は明らかに同化プロセスにマイナスの影響を与えています。グリコーゲンは、無細胞アッセイにおいて浄化AMPKを阻害することが示されており、グリコーゲンの低レベルはin vivoでヒトにおけるAMPKの活性化昂進と関連付けられています。

Creer et alは、プロテインキナーゼB( Akt)のリン酸化の変化が、運動前の筋肉のグリコーゲン量に依存していることを実証しました。
1RMの70%の負荷で膝伸展3セットx10レップスを行った後、運動後の初期段階でのAktリン酸化はグリコーゲン負荷の筋肉のみで増加し、グリコーゲン枯渇の対側性筋肉では見られませんでした。

グリコーゲン阻害は、 S6K活性化を鈍化させ、翻訳を阻害し、筋肥大の調節に関与する遺伝子のmRNA量を低減することも示されました。
これらの知見とは対照的に、Camera et alによる最近の研究では、筋グリコーゲンレベルが低い状態での高強度筋トレが、運動後の回復初期(4時間)での同化シグナリング又は筋タンパク合成を損なわないことがわかりました。研究間の不一致は現時点では明らかになっていません。

グリコーゲン可用性も筋タンパク分解を媒介することが示されています。
Lemon and Mullinは、グリコーゲン枯渇状態と比較してグリコーゲン負荷状態での運動後に、窒素減少が倍増していることを発見しました。
他の研究者は、グリコーゲンレベルとタンパク質分解との間に類似した逆相関性を示しました。トレーニングの開始時に筋グリコーゲン量を高レベルで維持することは、筋トレの成果に有益であると思われます。

炭水化物を運動直後に摂取すると、グリコーゲン貯蔵のスーパーコンペンテーションが示され、わずか2時間遅らせると筋グリコーゲンの再合成が凡そ50%低減することが研究で示されています。
運動はグリコーゲン取り込み量/利用度と大きく関係し、トレーニング後もインスリン刺激性グルコースの取り込みを高めます。
これがグリコーゲン枯渇時のGLUT4トランスロケーションの増加の一因でもあり、細胞へのグルコースのエントリーを容易にしています。また、運動することで、グリコーゲン貯蔵の促進に関与する主要酵素グリコーゲンシンターゼの活性化が高まります。これらの要因が交絡することで、エクササイズ後のグリコーゲンの急速な取り込みが容易となり、グリコーゲンを加速的に補充することができるのです。

運動後の炭水化物食にタンパク質を追加すると、グリコーゲンの再合成を高めることができるというエビデンスがあります。
Berardi et alは、60分のサイクリング後2時間までにプロテイン+炭水化物混合のサプリメントを摂取すると、同カロリーの糖液のみを摂取したときに比べて、有意に高いグリコーゲン再合成がもたらされることを実証しました。

同じくIvy et alは、2時間のサイクリングとスプリント後に、プロテイン+炭水化物を摂取すると、同一カロリーの炭水化物のみの摂取に比べて、筋グリコーゲンが有意に高まることを発見しました。

プロテイン+炭水化物の相乗効果は、すべての研究がサポートしている訳ではないですが、より顕著なインスリン反応に寄与するとされています。
Jentjens et alは、十分な炭水化物(1.2 g/kg/時間)が投与されると、プロテインおよびアミノ酸の混合物(0.4 g/kg/時間)を追加しても、枯渇回復期3時間までにグリコーゲン合成は高まらないことを発見しました。

理論ベースでは正しくても、迅速にグリコーゲンを補充する実用的意義は疑問のままです。
グリコーゲン枯渇イベントの種目間が約8時間未満に制限されている持久力のスポーツのケースでは、グリコーゲンの再合成を促進することは重要です。

同じ筋肉群がそれぞれのエクササイズで使われる1日2回(例えば朝と夜)の分割筋トレでは同様の利点があるでしょうが、同日に複数エクササイズを目指さない場合ではグリコーゲン再合成の緊急性は大幅に低減します。
筋肉群ごとに6〜9セットの中程度のボリュームで高強度の筋トレを行う場合は、グリコーゲン貯蔵は36-39%減少することが示されています。
コンテストビルダーのようにそれ以上のボリュームをこなす特定アスリートもいますが、ボリュームを増やすと典型的に頻度が減少する傾向があります。
例えば、1回のセッションで16〜20セットの筋トレは大雑把に言って週一回、8〜10セットであれば週二回です。

高ボリューム/高頻度の筋トレのシナリオで、同じ筋肉群を限界まで追い込むトレーニングが24時間より短い回復インターバル後に起こると云ったこじつけシナリオは扨て置いて、トレーニング前のグリコーゲンの再合成の不完全は懸念点ではないでしょう。
グリコーゲンが完全枯渇した際でも、事前トレーニングレベルまでの再補充は、運動後の炭水化物食の摂取遅延にかかわらず、この時間枠内で生じます。

例えば、Parkin et alは、回復食を開始する前に2時間待ちしたグループと、運動直後の高GI食を摂取したグループを比較しましたが、運動後8時間および24時間後のグリコーゲンレベルの有意な群間差は見られませんでした。
更に、Fox et alは運動後の回復食に165gの脂肪を追加し高GI食の利点を取り除きましたが、枯渇後24時間のグリコーゲン量に有意な減少は見られませんでした。

筋タンパク質の分解(異化:カタボリズム)
運動後の栄養摂取のもう一つの利点は筋タンパク分解の低減です。アミノ酸の可用性が高まるのとは対照的に、これは主にインスリンレベルのスパイク(急高騰)によってもたらされます。研究では、筋タンパク質の分解は運動直後にわずかに高まり、その後で急速に亢進することが示されています。絶食状態では、筋タンパク質の分解は筋トレ後195分で有意に高まり、ひいてはタンパクバランスはマイナスになります。
これらの値は3時間のマークで50%の増加を示し、タンパク質分解の亢進は運動後24時間まで続きます。

インスリンは同化特性を有していますが、その運動後の主効果は “アンチカタボリック” 作用として知られています。タンパク質分解を減少させるメカニズムは十分に理解されていません。

PI3K/AKTのインスリン媒介性リン酸化は、転写因子のタンパク質分解フォークヘッドファミリーの転写活性を阻害し、標的遺伝子から離れて筋形質に滞留することが理論化されています。
ユビキチン-プロテアソーム経路の他の側面のダウンレギュレーションも、プロセスで役割を演じると考えられています。筋肥大は筋原線維タンパク質合成およびタンパク質分解の差によって生じるもので、タンパク質分解の低下が収縮性タンパク質の増加を高め、筋肥大を促進すると考えられています。
したがって、エクササイズ後にプロテインと炭水化物を組み合わせて摂取する方が、炭水化物だけよりもインスリンレベルを上昇させることが明らかになっているので、プロテイン+炭水化物サプリメントはタンパク質分解の低減を最大限に促すであろうと結論付けるのが論理的でしょう。
しかし、インスリンの運動後のスパイクの背後にある理論的根拠が本質的に正しいとしても、それが臨床的にも有益なのかという疑問は残されています。
先ずはともあれ、血漿アミノ酸が上昇すると、正味の筋タンパク質バランスに及ぼすインスリン高騰の効果は、15–30 mU/L の範囲内で平準化します(プラトー)・・・大雑把に言って通常の空腹状態の3〜4倍です。
このインスリン分泌効果は、循環栄養基質レベルがピークに達するのに約2時間、一定の基底レベルに完全に戻るには、食事量にもよりますが3〜6時間以上であることを考慮すれば、典型的な混合食で容易に達成されます。

例えば、Capaldo et alは、 75gの炭水化物37gのタンパク質、および17gの脂肪の食べてのある固形食を摂取後5時間の様々な代謝効果を検討しました。この食事で、食後30分以内に空腹時レベルよりインスリンを3倍も高めることが出来ました。
1時間のマークでは、インスリンは空腹時よりも5倍でした。 5時間のマークでは、インスリンは依然として空腹時のレベルの倍増でした。

他の例では、Power et al は、ホエイプロテインアイソレート45gを摂取すると、血中アミノ酸レベルをピークにするためには約50分かかることを示しました。
インスリン濃度は摂取後40分でピークに達し、そして筋タンパク質バランス(15-30 mU/L or 104-208 pmol/L)を最大化するため約2時間上昇し続けました。
このタンパク質の用量に炭水化物を加えると、インスリンレベルのピークは、より高くより長く上昇し続けました。したがって、運動後にインスリンをスパイクさせるリフターへの推奨は簡単だということです。異化プロセスを回復と成長のプロセスにいち早く逆転させる古典的な運動後の目的は、適切に構築された運動前の食事がない場合にのみ適用可でしょう。

更に、タンパク質分解が筋タンパク質の増大に及ぼす影響は誇張されているというエビデンスがあります。Glynn et alは、タンパク質/炭水化物の組み合わせ摂取に伴う運動後のアナボリック反応が大きかったのは、筋タンパクの分解によるが影響は小さく、筋タンパク合成が上昇したためだったことを発見しました。これらの結果は、インスリンの循環レベルにかかわらず観察されました。
従って、筋トレ後のインスリンスパイクの筋肉の成長に及ぼすプラス効果は、依然として疑問のままです。

筋タンパク質の合成(同化:アナボリズム)
運動後の栄養摂取タイミングの一番の利点は、筋タンパク合成が増大するということです。
筋トレだけで運動後のタンパク質合成が倍増することが明らかになっていますが、それはタンパク質分解が加速することで相殺されます。
特に必須アミノ酸による高アミノ酸血が筋タンパク合成に及ぼす促進効果は、前のエクササイズによって増大されていると思われます。
炭水化物はアミノ酸と組み合わせて摂取すると、運動後の筋肉タンパク質合成に相加効果があるというエビデンスがありますが、一方、他の研究ではそのような利点は見つかっていません。
"anabolic window "は運動直後に存在するかどうかを検討した幾つかの研究があります。
炭水化物のみやノンカロリーのプラセボ対照群に比べて、運動後の遊離アミノ酸/タンパク質(炭水化物なしor様々な組み合わせで)の方が筋タンパク合成に優位であることはエビデンスがサポートしています。しかし、運動後できるだけ早くタンパク質を摂取することを奨めるエビデンスベースのサポートは現在のところありません。

Levenhagen et alは、摂取を遅らせることとは反対に、運動後できるだけ早く栄養素を摂取することに明確な利点を示しました。10名(男女各5名)の被験者にタンパク質10g/炭水化物8g/脂肪3gのサプリを、運動後あるいは運動後3時間に割り当てました。運動直後に摂取したグループの脚および全身のタンパク質合成は、遅らせて摂取したグループ(12%アップ)に比べて3倍に増大しました。
この研究には限界があり、トレーニングには中強度で長時間の有酸素運動が含まれていました。したがって、タンパク質合成率が増加した理由は、収縮により力を発生し短縮する“収縮要素”の合成と違って、ミトコンドリアや筋形質のタンパク合成が増大したことによると思われます。

Levenhagen et alによって示されたタイミング効果に反して、Rasmussen et alの以前の研究では、運動後1時間及び3時間に必須アミノ酸6g/炭水化物35gを摂取しましたが、足の正味のアミノ酸ネットバランスの有意なグループ差は認められなかったことが示されています。

運動後の‘window’の不信頼性については、Tipton et alより、筋タンパク合成効果は必須アミノ酸/糖液を運動直前に摂取する方が、運動直後の摂取に比べて、有意に大きく長く持続したとの報告があります。尤も、この知見の妥当性ついては方法論に欠陥があるのではないかと異議が唱えられています。

特に、Fujita et alは、同様のデザインを用いて反対の結果を見出しました。Tipton et alで用いられたデザインとの唯一の違いは、必須アミノ酸/糖液の摂取が運動直前ではなく運動1時間前です。
更に研究の不一致を付記すると、Tipton et alは、20gのホエイプロテインを運動直前と運動後T時間に摂取しましたが、有意なグループ差は認められませんでした。

取りまとめますと、筋タンパク合成を最大化する運動後の摂取タイミングについて、その理想的なスキームに関する現行のデータは一貫性のある指標を欠いています。

また、急性的なレジスタンスエクササイズ後に評価された筋タンパク合成の測定は、常に原因となる筋原性シグナルの慢性的なアップレギュレーションに並行しておらず、厳しく管理された筋トレに対する長期的な肥大性反応を必ずしも予測するもではないと云うことに注意すべきです。また、トレーニング未経験の被験者の筋タンパク合成の亢進や実用的な交絡関連性が要約されていません。
したがって、これら急性的な研究の有用性については、筋肥大性順応に関する手がかりを提供して仮説を立てるには限界があります:そんなデータから除脂肪体重の変化についての知見を見出そうとどんなにトライしても、推論の域を出ません。

筋肥大
数多くの研究が運動後のタンパク質の摂取の長期的な筋肥大効果について調べていますが、これらの研究結果は奇妙にも矛盾しています。その理由は研究デザインと方法論の違いによるものと思われます。
更に、研究の大半は運動前と運動後のいずれにもサプリを使用して、運動後の栄養摂取の影響を把握することを不可能にさせています。
これらの交絡問題が “anabolic window” についての結論を引き出すことを難しくさせています。
当該トピックに関して、特に運動直後(≦1時間)を評価した現行の研究群を整理してみます。

Esmarckは、トレーニング直後にプロテインを摂取すると、遅らせて摂取するよりも筋肉の成長を高めると云う最初の実験的なエビデンスを提供しました。
13名の高齢の男性を被験者として、体組成とプロテインの摂取用量に基づいて2群に分け(P0 群or P2群)、上半身及び下半身の筋トレを複数セット行なわせました。

P0群はプロテイン/炭水化物のサプリを運動直後に、P2群は2時間後に割り当てられました。トレーニングは週3日x12週間としました。実験期間の終わりに、大腿四頭筋の断面積と平均繊維面積はP0群では有意に増加しましたが、P2群では認められませんでした。
この研究結果は、運動後の“window”の存在をサポートするもので、運動後の栄養摂取が遅れると筋肥大を阻害する可能性を示唆しています。

この研究結果とは対照的に、Verdijk et alは、同じような年齢の男性を被験者として、運動後にプロテインサプリを割り当てましたが、骨格筋の肥大を検出することは出来ませんでした。28名のトレーニング経験のない被験者をプロテイン群とプラセブ群に分けて、運動直前と運動直後にサプリを割り当てました。
被験者に複数セットのレッグプレスと膝伸展を週3日行わせ、運動強度は12週間のコースの中で徐々に負荷を上げていきました。しかし、実験が終了した時点で、両群の筋力と筋肥大の有意差は認められず、運動後の栄養摂取という戦略が、トレーニング性の順応を高めないことを示しました。

Esmark et alによる研究とは対照的に、この研究では大腿の筋系へのサプリの順応反応のみを調べました。従って、上半身が下半身よりも運動後のサプリに対して異なる反応をしたかどうかはクレアにはなっていません。

単盲検デザインで、Cribb and Hayesは、23名のレクリエーショナル男性ボディビルダーを被験者として、運動後のプロテイン摂取に有意な利点を発見しました。被験者は無作為に2群に分けられ、グループAにはトレーニング前orトレーニング後にプロテイン/炭水化物/クレアチンのサプリを、もう一つのグループBには朝晩に同じサプリを割り当てました。両群は厳しい筋トレを全うし、10週間の日程の中で運動強度は1RMの70%から、1RMの95%まで徐々に上がりました。
そしてグループAはグループBに比べて、LBM及び筋繊維タイプUが有意に高まりました。
この調査結果は、トレーニングによって誘発される筋肉の順応上の栄養素タイミングの利点をサポートしています。
しかし、この研究もクレアチンが加えられているので、これがトレーニング後の取り込みを容易にしたかもしれず、エビデンスに限界があります。更に、A群には運動前/運動後にサプリが割り当てられているので、anabolic windowを介したものなのかどうか定かではありません。

Willoughby et alは、栄養素タイミングがプラスの筋肉順応をもたらすことを発見しました。19名のトレーニング経験のない男性被験者に、筋トレの1時間前と終了後に、タンパク質20gまたは20ブドウ糖20gのいずれかを無作為に割り当てました。トレーニングは85%〜90%の強度で3セットx6〜8レップス、週4回x10週間でした。実験期間の終了時に、BMI、除脂肪量、及び大腿質量は、ブドウ糖グループに比べてプロテイングループの方が有意に大きくなりました。しかし、プロテイングループはトレーニング日にプロテインサプリメントを追加で40g受けていたことから、この結果がプロテインの追加によるものか、サプリの摂取タイミングによるものかどうかを見分けることは困難です。

トレーニング歴が十分な被験者の包括的な研究では、Hoffman et alは、33名の男性を被験者として、プロテインサプリを無作為に朝と夕方(13名)に、若しくはレジスタンスエクササイズの直前直後(13名)に割り当てました。7名はプラセボの対照群としました。トレーニングは全身を対象とした複数の種目で、3〜4セットx6〜10レップス 週4日分割ルーティンとし、強度は10週間の日程の中で徐々に上げていきました。実験終了日の時点で、体重とLBMに有意なグループ差はありませんでした。この研究は、体組成を評価するためにDXA(二重エネルギーX線吸収測定法)を使っており、MRやCTに比べて小さい筋量変化を検出する感度を欠くので、やはり限界があります。

Hulmi et alは、 若いトレーニング歴のない男性31名を無作為に、プロテインサプリ(11名)、ノンカロリーのプラセボ(10名)、対照群(10名)の3群に分けました。
高強度の筋トレを21週間に亘って行い、サプリは運動前後に割り当てられました。実験終了時、筋断面積はプラセボ群及び対照群に比べてプロテイン群で有意に大きくなっていました。この研究で目立つ点は、トレーニング期間が長く、栄養素のタイミングが筋肥大に及ぼす有益な効果についてのサポートを提供していることです。しかし、ここでもプロテインサプリの効果がタイミングなのか摂取用量なのか定かではありません。

直近のErskine et alによるトレーニング歴のない若い男性33名を被験者とした実験(プロテインサプリメント群 vsプラセボ群)でも、運動後の栄養摂取のタイミングによって筋量と解剖学的断面積に有意な効果は認められませんでした。

ディスカッション
運動直後の栄養摂取は、筋肥大を最大化するために不可欠であると主張されてはいるけれども、“anabolic window of opportunity”に対するエビデンスベースのサポートは、決定的と言うには程遠いのが実状です。その仮説は、トレーニングが絶食状態で行われているという前提に大きく基づいています。絶食で運動すると筋タンパク質の分解が昂進し、それが原因で負のアミノ酸バランスを引き起こします。運動によって筋タンパク合成は高まるものの、その負の状態は運動後も持続します。従って、一晩絶食した後の筋トレのケースでは、筋タンパク合成を促し分解を低減、つまりカタボリック(異化/分解)の状態をアナボリック(同化/合成)の状態に切り替えるために、理想的にはプロテイン/炭水化物を組み合わせて運動後に摂取することは理にかなっています。長期にわたって、この戦術は累積的に筋量の増加率につながっていくでしょう。

全員ではないが空腹でトレーニングする人達にとっては、運動前の栄養摂取が運動後の栄養摂取の緊急性と効果に如何に影響するかという疑問が必然的に浮かびます。
実際には、筋量/筋力アップを主目的とする人たちにとって、トレーニングパフォーマンスを最大化するために1〜2時間前に運動前食事をしようとするのは一般的です。
運動前食事の消化/吸収の経時変化は回復期に入っても持続し得るので、この種の食事は食事量と内容に応じて恐らく運動直前かつ直後食事として機能するでしょう。

Tipton et al は、比較的少量の必須アミノ酸(6g)を運動直前に摂取すると、血中および筋肉のアミノ酸レベルを約130%高めることが出来、これらのレベルは運動後2時間上昇したままだったことを観察しました。
この知見は引き続きFujita et alよって挑戦されましたが、Tipton et alによる他の研究では、20gのホエイプロテインを運動直前に摂取すると、運動中の筋肉のアミノ酸の取り込みは、運動前安静時の4.4倍上昇し、運動後3時間までベースラインに戻らなかったことを示しました。

これらのデータは、少量から程々の量の必須アミノ酸または高品質のプロテインでも、筋トレ直前に摂取すると、運動後にアミノ酸のデリバリーが維持できる可能を示しています。
このシナリオを考えると、カタボリズム軽減の目的で運動後にプロテインを摂取するのは冗長と思われます。次に予定されたタンパク質が豊富な食事(運動直後 or 運動後1〜2時間)で、回復とアナボリズムを最大化するには十分と思われます。

一方、昼食前あるいは終業後に、前の食事とのインターバルが4〜6時間空いている状況でトレーニングをする人がいます。このように栄養摂取が遅れるケースでは、筋肉の維持や成長が主目的であれば、運動後の介入(栄養摂取)は重要であると考えられます。

Laymanは、食事のアナボリック作用は食後のアミノ酸代謝の速度に基づいて5-6時間持続すると推定しました。しかし、ラットや人間での点滴注入ベースの研究は、アミノ酸またはタンパク質が豊富な食事を摂取した後の筋タンパク合成の亢進は一時的なものであり、アミノ酸の可用性が持続的に高まっているにもかかわらず、3時間以内に元に戻ることを示しています。
従って、 筋タンパク合成が不応となるところで "筋肉フル"の状態になり、循環中のアミノ酸は酸化または筋タンパク合成以外の方に向かって分流するという仮説が立てられています。

これらの知見を踏まえて、前の食事から3〜4時間以上経過してからトレーニングを始める場合、プロテイン摂取(少なくとも25g)は出来るだけ早くという古典的な推奨は、カタボリック状態を逆転させ、代わりに筋肉の回復と成長を早めるためには妥当であると思われます。しかし、前に示したように、運動後の食事に大幅な遅延が予想される場合には、マイナーな運動前の栄養介入は行うことができます。

Burd et alは、トレーニング経験のない被験者が筋トレを行うと、ミトコンドリアと筋原線維のタンパク合成を高めますが、経験者の場合は筋原線維のコンポーネントで優勢となることを報告しています。
これは筋肉の順応速度を最大化するために、プロテインのタイミングおよびタイプ(例えば、乳タンパク質のような高ロイシン)に細心の注意を払うことを潜在的に正当化している上級者では、グローバルナ反応が少ないことを示唆しています。

トレーニングの状態に加えて、年齢がトレーニング順応に影響を与えます。つまり、高齢者はアミノ酸や筋トレに"アナボリック抵抗性"を示します。
この現象のメカニズムは明らかではないですが、青年のプロテイン食に対する急性的な同化反応は、高齢者よりも低い用量でプラトーを示すというエビデンスがあります。
Moore et alは、若い男性のケースでは20gの全卵タンパク質が運動後の筋タンパク合成を最大限に高めましたが、40gでは筋タンパク合成は昂進せずロイシン酸化が高まることを発見しました。

Yang et alは、高齢者のケースでは運動後に40gのホエイプロテインを摂取すると、 20gと比較して筋タンパク合成は大きな増加を示すことを発見しました。
これらの知見は、高齢者はトレーニングに対するアナボリック反応を最大化するには、高用量のプロテインが必要であることを示唆しています。
様々な運動後の栄養摂取のタイミング反応を評価するためには更なる研究が必要です。

この分野の研究にはいくつかの限界があります。
まず、多くの急性データはありますが、体系的に様々な運動後のタイミング効果を比較した“長期的な対照群比較実験”が不足しています。長期試験の研究の大半は、互いに対して2つの療法を比較することとは対照的に、運動前後のサプリを同時に検討しています。これでは運動前後のどちらかの摂取タイミングが決定的に有用であるか分かりません。

もう一つの重要な限界は、大部分の長期的な研究は、比較条件間の総プロテイン摂取量をマッチさせることを無視しています。従って、プラス評価の結果が、トレーニングあるいは単に全体的なプロテイン量の違いに相対して摂取タイミングの影響を受けていたかどうかを確認することはできません。更に、大半の長期的な栄養摂取タイミング研究で採用された投薬戦略が過度に保守的であり、10〜20gしか投与していません。

急性アナボリック反応は、これまで年齢に応じてプロテイン20〜40gで示されてきましたが、アナボリック反応が最大化することが分かるプロテイン容量を用いての更なる研究が必要です。更に、運動の前後でプロテイン+炭水化物の組み合わせ摂取の長期的実験が欠如しています。これまでの処、長期実験は曖昧な結果を報告しています。全体に言って、それらは運動後の栄養摂取を調べる急性的な研究で見られる肯定的な成果の一貫性を裏付けていません。

その他の限界は、当該トピックに関する研究の大部分は、経験のない人達で行われていることです。筋トレ経験の無い彼らの筋肉反応は強健になりがちで、経験者で見られる利点を必ずしも反映していません。従ってトレーニング状態が運動後の栄養補充に対する筋肥大応答に影響するかどうか決定されていません。

現行の利用可能な研究の最後の限界は、筋肥大の評価に使われる方法が大きく異なり、測定結果の精度が]不正確であるということです。現行のツールは筋肥大の少差を検出するのに十分に敏感であるかどうかが疑問です。筋量のマイナーな変量は一般人にはほとんど関心は無いでしょうが、エリートアスリートやボディビルダーにとってはとても有意義です。
したがって、エビデンスが矛盾しているにもかかわらず、運動後の栄養補充の潜在的な利点は、筋肥大反応の最大化を模索している人たちにとって容易に捨て去ることができません。
同じような理由で、個人間で摂食パターンを大きく変えることで、運動後の “anabolic window of opportunity” は一般的に” narrow and urgent“であるという共通の仮定に挑戦しています。

実用的なアプリケーション
知見の不一致、並びに運動前後のプロテイン用量とタイミングの最適化を探求する体系的な調査の不足に因り、具体的に提言することは難しい。
筋肥大のための栄養摂取のタイミングの実用的なアプリケーションは、科学文献のギャップを埋めるために、フィールド観察と経験で必然的に調整されなければなりません。

とは言うものの、運動前後の高品質タンパク質の摂取量LBM1kg当たり0.4〜0.5gはシンプルで一般的なガイドラインであり、20〜40gで最大の急性アナボリック効果を示すエビデンスが反映されています。例えば、LBM70kgの人であれば運動前と運動後の両方で28〜35gのプロテインを摂取することになります。この範囲を超えると健康障害が生じ、他方、明らかに過小のケースや摂取を怠るとアナボリック反応は最大化しません
タンパク質が豊富な食事とトレーニング状態との相乗効果との一過性のアナボリック効果によって、運動前及び運動後の食事は、典型的な筋トレが45〜90分間であることを考慮すると、3〜4時間以上のインターバルを空けるべきではありません。
もしタンパク質を含まれている量の多い混合食(これは本質的にアンチカタボリック)であれば、5-6時間までインターバルを長くすることが出来ます。

この戦略は、トレーニング前後の摂取windowsの長さを柔軟的にしつつ、仮説のタイミングの利点をカバーしています。この一般的な枠組みの中での特定の摂取タイミングは、個々の好みや許容範囲並びに運動時間によって異なります。筋トレ60分のケースの1例として、食事を中央に据えて考えると、運動の両サイドmax90分のwindows設けることが出来ます。

対照的に、運動が典型的な時間を超えると、運動前と運動後の食事のインターバルが3〜4時間だとすると、windowsは短くなってしまいます。運動前と運動後の食事をトレーニングに近づけるようなシフトは、個人的な好み、寛容、そしてライフスタイル/スケジューリング制約によって決定されるべきです。

筋トレに関連したタンパク質や炭水化物の摂取量とタイミングはなおさらに、具体的な提言をするための凝集データを欠いているグレイゾーンです。タンパク質の量にマッチもしくはそれ以上の運動前/運動後の炭水化物食を、ついつい推奨したくなります。
しかし、運動中と運動後の炭水化物の可用性は、筋力や筋肥大の目標とは対照的に、耐久性にとってはもっと大きい問題です。

更に、運動後のタンパク質+炭水化物を組み合わせ摂取の重要性は、特に十分なタンパク質を投与後の回復期の初期段階を調べた最近の研究によって示されています。
Koopman et alは、全身の筋トレ後に、十分なカゼイン水解物(0.3 g/kg/時間)に炭水化物を (0.15 or 0.6 g/kg/時間)を追加として割り当てても、プロテインのみを割り当てたグループに比較して、全身のプロテインバランスは運動後6時間は高まらないことを発見しました。

その後、Staples et alは、下半身の筋トレ(レッグエクステンション)の後で、ホエイ25gに50gのマルトデキストリンを追加で割り当てましが、回復期3時間の間に改善は認められなかったことを報告しました。

筋量アップ最大化の目的のために、これらの知見は栄養素の摂取タイミングを明確にすることよりも、1日トータルの炭水化物の摂取必要量を満たす広範な目的をサポートします。
取りまとめますと、これらのデータは、最適なタイミングの追求を維持しながら、食事の柔軟性の可能性向上を示しています。

マイコメント:
余りにも長文なので途中で断念することも考えましたが、頑張って最後まで読了し全文和訳してみました。因みに、この分野でもう一方の雄であるMr Lyle McDonaldもanabolic windowに関する記事(Theoretical Approach)を書いており、基本的にMr Alan Aragonと大きな食い違いはありませんが、彼の考え方の一部をご参考までに紹介します。もっと詳細を知りたければ下記の関連記事を読んでください。

食事によるアナボリック状態の持続(Theoretical examination)
普通量の場合は、アナボリックの状態は5〜6時間継続する。
色々な食品の組合せて食べた場合は、5時間経過した時点でも栄養素が血中に分泌される。
アンチカタボリックプロテインと言われるカセインの場合では、食べてから7〜8時間は血中にアミノ酸が分泌される。
従って、食後のアナボリック状態の継続は、保守的にみて5時間と考えるのが妥当であろう。

食事の回数(Theoretical examination)
頻繁に食べると、筋肉組織がアミノ酸への感受性をなくし、引いては、肝臓でのタンパク酸化が高まり筋肥大には有害なので、最低3時間は空けることが望ましい。
適量でいろいろな組合せの食品を摂取すると、アナボリックな状態は大凡5〜6時間は続く。従って、食事のインターバルを3〜5時間にすると、問題を起こすことなくアナボリック状態を作ることが出来ると言える。

関連記事(By Mr Lyle McDonald):
第32回の筋肉増強とトレーニング後の栄養摂取
第324回のダイエット中の運動前・運動中・運動後の栄養摂取
第256回の食事の回数 vs 筋量











テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

第536回 アナボリック ウィンドウ(筋肥大) Nice Body Make・・・よもやま話/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる