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zoom RSS 第955回 高炭水化物食をケトン食に代えると代謝量と体組成は向上するのか?

<<   作成日時 : 2016/08/10 20:33   >>

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本論文は、国立糖尿病・消化器病・腎臓病研究所(NIDDK)Kevin D. Hall, Ph.D.らによる研究報告で、“ケトン食にすることでエネルギー消費が有意に高まり/体脂肪の減少が昂進するという考え方を否定しています。


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American Journal of Clinical Nutrition
First published July 6, 2016
Energy expenditure and body composition changes after an isocaloric ketogenic diet in overweight and obese men

背景:
肥満に関する炭水化物−インスリンモデルでは、習慣的に高炭水化物食を摂るとインスリンレベルが恒常的に高まり、脂肪細胞内に脂肪が隔離され、エネルギー消費の適応抑制がもたらされるという結論を下している。
従って、食事に含まれる炭水化物を等カロリーの脂質に置き換えると、エネルギー消費の増加、脂肪酸化の昂進、ひいては体脂肪の減少がもたらされると予見している。
これとは逆に、“a calorie is a calorie”という考え方を支持する従来型見解の多くは、炭水化物と脂質を置き替えても等カロリーであるならば、エネルギー消費や体脂肪の減少に関しては生理学的に重要な効果は無いと予見している。

目的:
我々は、等カロリーの低炭水化物ケトン食がエネルギー消費、呼吸商、および体組成の変容と関係するのかどうかについて検討した。

デザイン:
被験者は17名の過体重/肥満者とし、8週間の実験期間中は代謝病棟に入って貰った。最初の4週間はベースライン食(BD)としての高炭水化物食(炭水化物50%、タンパク質15%、脂質35%)を割り当て、その後4週間はタンパク質の量は変えずに等カロリーのケトン食(炭水化物5%、タンパク質15%、脂質80%)を割り当てた。
被験者には各週2日続けて代謝室で過ごしてもらい、エネルギー消費、睡眠時エネルギー消費、及び呼吸商を測定した。体組成の変化は二重エネルギーX線吸収法で測定した。
ベースライン食およびケトン食期間中の後半2週間の平均エネルギー消費は二重標識水で測定した。

結果:
実験を通じエネルギー欠損〜300kcal/day相当の体重および体脂肪の減少が認められた。
被験者のベースライン食に比べて、ケトン食でエネルギー消費(57 ± 13 kcal/日, P = 0.0004)および睡眠時エネルギー消費(89 ± 14 kcal/日, P < 0.0001)が増加したが、呼吸商(−0.111 ± 0.003, P < 0.0001)は減少した。
二重標識水方式による各2週間の平均エネルギー消費は151 ± 63 kcal/日 (P = 0.03)増加した。
体脂肪の減少はケトン食のフェーズ中に鈍化しており、これはタンパク質の利用率およびFFM(除体脂肪)の減少と一致していた。

結論:
高炭水化物食を等カロリーのケトン食に変えることで体脂肪の減少は促されなかった。エネルギー消費は高まったものの、最先端の技術を用いてやっと検出できる程度の微小値であった。

<補足説明>

確かにケトン食フェーズ(ピンク部分)で体重が急減していますが、これは体脂肪の減少によるものではなく水分とLBM(筋肉)の減少であることが24hr尿中窒素排泄で示されています。

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C-ペプチドはインスリンと同程度の割合で分泌され、ほとんどが分解されないまま尿とともに排出されます。従って、血中や尿中のC-ペプチドを測定すると、インスリンがどの程度膵臓から分泌されているのかが把握できます。
下のグラフが示す通りインスリンレベルは50%低減していますが、減少した体脂肪量は高まりの傾向を一向に呈しておらず、冒頭で述べられている炭水化物−インスリンモデルの予見が間違いであることが分かります。

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