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zoom RSS 第994回 低炭水化物/糖質制限食の真相(米国糖尿病学会)

<<   作成日時 : 2017/02/13 11:37   >>

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『“2013年の米国糖尿病学会(ADA)の食事療法に関する勧告”を引用しつつ、糖質制限食の優位性を強調/広言する某糖尿病専門医』、『学究的な論文は一切発表せず、エビデンスのヒエラルキーとして認められない私的なブログや恣意性で固められた所謂ダイエット本の類を以って、糖質制限食を絶対的/排他的に喧伝し続ける某医師』、『糖質制限原理主義に心酔し、“ダイエットにカロリーは関係なく、炭水化物を食べないことが重要である”と誤情報を拡散し続けるヤフー知恵袋の糖質制限狂信者たち』…こういった人たちによる情報を、いわゆるB層に属する低IQの成人、おマセなだけで分別のつかない小中学生、ニューメラシーを欠く特定層の多くの方が鵜吞みにして信じていることは容易にうかがい知れます。ホントに罪なことです。“無知は至福なり”という言葉はありますが、だからといって真実は語らなくとも良いということには決してなりません。

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小生の私見を書き綴るよりも、具体的に米国糖尿病学会の糖尿病ガイドライン2017年度版"Standards of Medical Care in Diabetes"ではどうなっているのか中身を見る方が良いでしょう。


先ずおさらいしますと、2013年の糖尿病食事療法の勧告の特色は、患者中心アプローチ/決定共有アプローチ/治療の個別化です。つまり、患者中心アプローチは「個々の患者の選択、ニーズと価値を尊重し、それらに敏感であること」「患者の価値観に基づいて、すべての臨床決定がなされることを保証すること」と定義され、患者と決定を共有することの重要性が強調されました。加えて、"このやり方が正しい"と限定するだけの科学的エビデンスは不足しているので、患者の病態、自己管理能力、文化、嗜好、ライフスタイル、価値観、治療目標など患者の様々な背景を考慮し、個々の患者に合わせた治療の個別化を行うことが重要であるとして、治療の個別化が強調されました。このような背景下で、様々な食事パターン(食品の組み合わせ)が糖尿病管理で許容され、食事パターンとして地中海食、菜食、低脂肪食、低炭水化物食、DASH食が挙げられました。


"Standards of Medical Care in Diabetes 2017"の特色としては、自己管理、メンタルヘルス、コミュニケーション、合併症、併存疾患、およびライフステージなどあらゆる面で心理社会的な問題に取り組んでいることです。
低炭水化物食/糖質制限食/ケトン産生食の優位性を容認して推奨する記述は一切ありません。
内容は非常に長文なので関連箇所を幾つか順不同で抜粋して抄訳します。糖質原理主義者の主張していることが正しいのかどうか皆さんご自身で判断してみてください。


Emphasis should be on healthful eating patterns containing nutrient-dense, high-quality foods with less focus on specific nutrients. The Mediterranean (45), Dietary Approaches to Stop Hypertension (DASH) (46,47), and plant-based diets (48) are all examples of healthful eating patterns.

訳文:特定の栄養素にあまり重点を置かず、栄養密度の高い高品質の食品を含む健康的な食事パターンを重視すべきである。 地中海食、高血圧を止めるための食事方法(DASH食)、および植物ベースの食事は総て健康的な食事パターンの例です。

因みに、2013年の食事療法に関する勧告では、「特定の食事を推奨する場合は、個人的な嗜好(例えば、伝統、文化、宗教、健康への信念や目標、経済)および代謝目標を考慮する必要がある・・・E」、「様々な食品/食品群を組み合わせた食事パターンは糖尿病管理に許容される。その食事パターンとして、地中海スタイル、高血圧を抑えるDashスタイル、ビーガンやベジタリアン、更に、脂質や炭水化物の構成比を低くするといった方法が糖尿病管理にmodestな効果があることが示されている」と記述されています。


As there is no single ideal dietary distribution of calories among carbohydrates, fats, and proteins for people with diabetes, macronutrient distribution should be individualized while keeping total calorie and metabolic goals in mind…E

訳文:すべての糖尿病患者に共通する炭水化物/脂肪/タンパク質の理想的なカロリー配分はないので、多量栄養素の配分は総カロリーと代謝目標に留意して個別化する必要がある。


In overweight and obese patients with type 2 diabetes, modest weight loss, defined as sustained reduction of 5% of initial body weight, has been shown to improve glycemic control and to reduce the need for glucose-lowering medications (51–53). Sustaining weight loss can be challenging (54). Weight loss can be attained with lifestyle programs that achieve a 500–750 kcal/day energy deficit or provide ∼1,200–1,500 kcal/day for women and 1,500–1,800 kcal/day for men, adjusted for the individual’s baseline body weight. For many obese individuals with type 2 diabetes, weight loss >5% is needed to produce beneficial outcomes in glycemic control, lipids, and blood pressure, and sustained weight loss of ≥7% is optimal (54).

訳文:modest weight lossとは初期体重から5%の持続的な減量と定義されていますが、過体重/肥満の2型糖尿病患者では、modestな減量が血糖コントロールを改善し、グルコース低下薬(51-53)の必要性を低減することが示されている。持続的に体重を減少させるには困難が伴うでしょうが、エネルギー収支バランスを1日当たり500-750kcalの欠損にするか、摂取カロリーを女性では1200-1500kcal/男性では1500-1800kcalにすることで減量は達成できるでしょう。
多くの肥満の2型糖尿病患者にとって、血糖コントロール/脂質/血圧の有益な結果を得るには5%を超える減量が必要であり、7%以上の持続的な減量が最適です。


Studies examining the ideal amount of carbohydrate intake for people with diabetes are inconclusive, although monitoring carbohydrate intake and considering the blood glucose response to dietary carbohydrate are key for improving postprandial glucose control (59,60). The literature concerning glycemic index and glycemic load in individuals with diabetes is complex, though in some studies lowering the glycemic load of consumed carbohydrates has demonstrated A1C reductions of –0.2% to –0.5% (61,62). A systematic review (61) found that whole-grain consumption was not associated with improvements in glycemic control in type 2 diabetes. One study did find a potential benefit of whole-grain intake in reducing mortality and cardiovascular disease (CVD) among individuals with type 2 diabetes (63).

訳文:炭水化物の摂取をモニタリングし血糖応答を考慮することは、食後のグルコースコントロールを改善するための鍵であるが、糖尿病患者の理想的な炭水化物の摂取量を調べる研究は決定的ではない。
摂取した炭水化物のGLを下げる幾つかの研究では、–0.2%から–0.5%のA1C低下が示されているが、 糖尿病患者におけるGI(グリセミック指数)とGL(グリセミック負荷)関する文献は複雑である。
システマティックレビューでは全粒粉の摂取が2型糖尿病における血糖コントロールの改善と関連していないことを見出している。
全粒粉の摂取が2型糖尿病患者の死亡率および心血管疾患の低減に潜在的利益があることを報告している研究もある。


People with diabetes and those at risk should avoid sugar-sweetened beverages in order to control weight and reduce their risk for CVD and fatty liver B and should minimize the consumption of foods with added sugar that have the capacity to displace healthier, more nutrient-dense food choices A

訳文:糖尿病患者や糖尿病リスクのある人は、体重をコントロールしCVDや脂肪肝のリスクを軽減するため、sugar入り飲料は避けるべきであり…B、加糖食品の消費を最小限に抑えて健康で栄養価の高い食物を選択すべきである…A


Carbohydrate intake from whole grains, vegetables, fruits, legumes, and dairy products, with an emphasis on foods higher in fiber and lower in glycemic load, should be advised over other sources, especially those containing sugars…B

訳文:炭水化物の摂取ソースを、食物繊維が多くGI値が低い食品に重点を置いて、穀物、野菜、果物、豆類、酪農製品とすることは、その他のソース(特にsugarsを含む食品)よりも助言すべきである。


Modest weight loss achievable by the combination of reduction of calorie intake and lifestyle modification benefits overweight or obese adults with type 2 diabetes and also those with prediabetes. Intervention programs to facilitate this process are recommended…A

訳文:カロリー摂取量の減少と生活習慣の改善の組み合わせによって達成される適度な減量は、2型糖尿病および前糖尿病の過体重/肥満成人にも有益である。 このプロセスを促進するための介入プログラムが推奨される…A


A simple and effective approach to glycemia and weight management emphasizing portion control and healthy food choices may be more helpful for those with type 2 diabetes who are not taking insulin, who have limited health literacy or numeracy, and who are elderly and prone to hypoglycemia…B

訳文:食べる量のコントロールと健康食品を選択することを重視した血糖値と体重管理へのシンプルで効果的なアプローチは、インスリンを摂取していない/健康リテラシーや数値計算が限られている/高齢で低血糖になりやすいといった2型糖尿病患者にはいっそう役立ちます。


Modest weight loss achievable by the combination of reduction of calorie intake and lifestyle modification benefits overweight or obese adults with type 2 diabetes and also those with prediabetes. Intervention programs to facilitate this process are recommended…A

訳文:カロリー摂取量の減少と生活習慣の改善の組み合わせによって達成される適度な減量は、2型糖尿病および前糖尿病の過体重/肥満成人にも有益である。 このプロセスを促進するための介入プログラムが推奨される。


Whereas data on the ideal total dietary fat content for people with diabetes are inconclusive, an eating plan emphasizing elements of a Mediterranean-style diet rich in monounsaturated fats may improve glucose metabolism and lower CVD risk and can be an effective alternative to a diet low in total fat but relatively high in carbohydrates.

訳文:糖尿病患者の理想的な総脂質の中身に関するデータは確定的ではないが、一価不飽和脂肪を多く含む地中海スタイル様の食事プランは、糖代謝を改善しCVDリスクを低下させる可能性があり、低脂肪/高炭水化物食の有効な代替となろう。


In individuals with type 2 diabetes, ingested protein appears to increase insulin response without increasing plasma glucose concentrations. Therefore, carbohydrate sources high in protein should not be used to treat or prevent hypoglycemia…B

訳文:2型糖尿病患者では、タンパク質を摂取すると血漿グルコース濃度を増加させることなくインスリン応答を高めるようである。 したがって、タンパク質を多く含む炭水化物ソースは低血糖の治療や予防には用いるべきではない。


Diets should be individualized, as those that provide the same caloric restriction but differ in protein, carbohydrate, and fat content are equally effective in achieving weight loss. A

訳文:ダイエットのやり方は個別化されるべきである。たんぱく質/炭水化物/脂質の比率が異なってもカロリー制限が同等なら、減量には等しく有効である…A


Small studies have demonstrated that in obese patients with type 2 diabetes more extreme dietary energy restriction with very low-calorie diets can reduce A1C to <6.5% (48 mmol/mol) and fasting glucose to <126 mg/dL (7.0 mmol/L) in the absence of pharmacological therapy or ongoing procedures (7,9,10).

訳文:小規模な研究では、肥満の2型糖尿病患者が薬理療法や外科的介入(代謝手術)を行わず、超低カロリー食でのエネルギー制限でA1Cを<6.5% (48 mmol/L)へ、空腹時グルコースを<126 mg/dL (7.0 mmol/L)へ減じることが出来ることが示された。


For people with type 1 diabetes and those with type 2 diabetes who are prescribed a flexible insulin therapy program, education on how to use carbohydrate counting and in some cases fat and protein gram estimation to determine mealtime insulin dosing can improve glycemic control…A

訳文:フレキシブルなインスリン療法を実施している1型糖尿病および2型糖尿病患者には、食事時インスリン投与量を決めるためのカーボカウントや場合によっては脂質/たんぱく質のグラム数の推計方法について教育することで血糖管理を改善することが出来る。


For individuals whose daily insulin dosing is fixed, having a consistent pattern of carbohydrate intake with respect to time and amount can result in improved glycemic control and a reduced risk of hypoglycemia…B

訳文:毎日のインスリン投薬量が決まっている患者については、時間および量ともに一貫したパターンで炭水化物を摂取することで、血糖コントロールの改善と低血糖リスクの低下をもたらすことが可能である。


糖尿病の標準食として脂質を中心に総カロリーの摂取制限が行われることを理由に、多くの日本人専門家はカロリー制限食=低脂肪食として解釈していますが、これが私たちの誤解を生む一因にもなっています。カロリー制限と脂質制限はそもそも異なる概念です。米国糖尿病学会は「低炭水化物食/低脂肪食/地中海食などいずれの食事パターンを選ぼうとも重要なのは総カロリー摂取量である」と明記していることをお忘れのようだ。



追記:
"Standards of Medical Care in Diabetes 2017"には、他にも「糖尿病自己管理教育(DSME)/糖尿病自己管理支援(DSMS)、栄養療法、身体活動、禁煙カウンセリング、心理社会的ケアなどライフスタイル管理」、「メトホルミン使用者ではビタミンB12値測定の推奨」、「低血糖の定義…70mg/dL以下を警戒レベル、54mg/dL未満を臨床的に意義のある低血糖、重症低血糖(閾値なし)の3つのレベルに分類」、「坐位時間が長い人は、30分ごとに短時間の身体活動を行うこと」など盛り沢山ゆえ、必要に応じて追而physical activity含めsection by section詳しく紹介していこうと思っています。

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