第87回 フィチン酸と玄米食vs白米食!


Updated in 2011.7.31

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玄米食は正しいのか、それとも、白米食が正しいのか?
白米を食べると糖尿病になるリスクが高くなる!
玄米に含まれているフィチン酸は有害である!
いい加減にして貰いたい!
それでは、我々は何を食べたら良いのか?!

穀物や豆類に多く含まれているフィチン酸は、リン、カルシウム、マグネシウム、鉄分、亜鉛などのミネラルや微量元素の吸収を阻害するだけではなく、脂質やタンパク質の吸収、ビタミンCやビタミンDの吸収、更にペプシン、アミラーゼ、トリプシン等の酵素の作用にも悪影響を及ぼすと言われています。そして、この問題を解決する鍵はフィターゼという酵素で、玄米をSprouting(発芽)、soaking(浸漬)、fermenting(発酵)させると活性化し、フィチン酸を分解すると言われています。
ぬか漬けやパンでは問題化されていないのはこの理由からです。ちなみに、フィターゼは人間の小腸にもありますが少量だけです。

発芽玄米を買えばフィチン酸の問題は解決しますが、農作の管理が非常に難しく、高価であることが難点です。そこで、胚がわずかに隆起する発芽状態にするというアイデアが生まれました。なぜなら玄米は水に漬けると発芽するからです。
発芽システムの浸漬過程で作用する酵素は、主にフィターゼ、アミラーゼ、グルタミン酸デカルボキシラーゼの3つで、これらは吸水と同時に作用する性質を有しています。
つまり、
吸水が進むと、発芽も進む!
吸水が進むと、フィチン酸の分解も進む!
・・・という訳です。
一般的には、4時間~8時間、或いは一晩寝かせておく人が多いですが、24時間吸水させると96%以上のフィチン酸が分解されると言われています。

しかし、米国で2010年4月の時点で、「発酵させてもミネラルと亜鉛は吸収されなかったことが判明し、発芽及び吸水についても更に研究を重ねる必要があろう」という記事が報道されました。

研究とは、色々な手法と角度から、一つのテーマを深く掘り下げて検証していくものですから、矛盾する研究結果が生じることは不思議なことではありません。しかし、栄養学や生化学の分野では、研究課題の多様性と不確定要素が絡んで、多くの賛否両論の学説が生まれます。そんな中で、第三者が自分に都合の良い説のみを引用して、持論展開するケースが多々あり、このため混成情報が巷に横溢しているのが実状です。その結果として、我々は日常生活の中で、振り回され、遠回りさせられることが頻繁に起こります。

そもそも三大栄養素やホルモン及び酵素は、我々にとって欠かせないものですが、過剰になると様々な過剰症状が生じます。何事も過ぎたるは及ばざるがごとしなのです。
玄米食が良いのか、白米食が良いのか、更にパン食が良いのかと云うことよりも、大事なことは、いずれであっても『適量を摂取すること』です。そして栄養価とバランスは、副食を含めたトータルで考えれば良いではありませんか!

さはさりながら、「健康と食」に特にこだわりを持つ方も大勢いらっしゃるでしょうから、「フィチン酸と酵素フィターゼ」に関する新情報は、今後とも発信して行きます。

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