第140回 激しい運動後のクライオセラピー効果


運動後の全身クライオセラピー(冷却療法・低温療法・凍結療法)と筋肉炎症の時系変化

この写真はクライオサウナのイメージ写真です。

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激しい運動後の水風呂が疲労回復を早めることは、第131回の「運動後の入浴と疲労回復」でお話しましたが、同じくフランスの“National Institute of Sport, Expertise and Performance (INSEP),”の研究により、運動後の全身冷却療法が筋肉炎症に効果があることが判明しました(2011年7月28日)。この研究内容の骨子は次の通りです。

・この研究目的は、トレールランニングのシミュレーションの後に生じた筋肉損傷と炎症の回復方法の効果を調べることである。

・耐久力の訓練を受けた男性11名を被験者として、二つの実験(一ヶ月)が行われた。
トレッドミルで48分間のランニングを行った後に、一つは自然治癒で、もうひとつは毎日繰り返して全身冷却療法を行った(トータル96時間)。

・運動直後、運動後24時間・48時間・72時間・96時間の時点で、インターロイキンIL-1、IL6、IL-10、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、C-反応性タンパク質、白血球数を測定した。

・炎症状態に時系的な効果がはっきりと表れた。
自然治癒に比較して、全身冷却療法を実施した場合は、運動後1時間のインターロイキンIL-1βと運動後24時間のC-反応性タンパク質は増加したが、腫瘍壊死因子アルファ、インターロイキンIL-10 and IL-6は変化しなかった。全体としては、全身冷却療法は炎症に効果があった。

・これらの結果説明は、筋肉の血管収縮、炎症性サイトカインの減少、抗炎症性サイトカインの増加によって裏付けられる。

補足説明
腫瘍壊死因子(TNF:Tumor Necrosis Factor)とは、腫瘍細胞を壊死させる作用のある物質として発見されたサイトカインです。TNFには、主として活性化マクロファージ(単球)により産生されるTNF-α(157個のアミノ酸からなる)と、活性化Tリンパ球により産生されるTNF-β(171個のアミノ酸からなる)とがある。

サイトカイン (cytokine) とは、免疫システムの細胞から分泌されるタンパク質で、特定の細胞に情報伝達をするものをいう。多くの種類があるが特に免疫、炎症に関係したものが多い。ま
た細胞の増殖、分化、細胞死、あるいは創傷治癒などに関係するものがある。

<引用文献>
National Institute of Sport, Expertise and Performance (INSEP), France
Time-Course of Changes in Inflammatory Response after Whole-Body Cryotherapy Multi Exposures following Severe Exercise.
2011 Jul28