第338回 リバウンドに及ぼす三大栄養素の影響


そもそも人間の体は、栄養過剰より栄養不足に対して防衛反応が強いので、減量よりも太る方が簡単です。三大栄養素が減量にどのように影響するかについては、 “第230回のダイエットvs 食事の質” で書きましたが、今回は減量に成功後の体重維持には、低脂肪食、低GI食、超低炭水化物食のいずれが有効かを比較した研究報告を紹介します。

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The Journal of the American Medical Association
June27 2012
“Effects of Dietary Composition on Energy Expenditure during Weight-Loss Maintenance”

背景:
減量後のエネルギー消費量の低下が、再増加の要因と考えられているが、栄養素の配分がどのように影響を及ぼすかは検討されていない。

目的:
栄養素配分とグリセミック負荷(GL)が大きく異なっている3種類の食事が、減量後の消費エネルギーに及ぼす影響について調べる。

設計、設定、および被験者:
新聞広告や掲示で募集した21名の過体重及び肥満の成人を被験者として、2006年6月16日~2010年6月21日の期間に、ボストン小児病院&ブリガム女性病院において、クロスオーバー方式で三種類の食事を与えて実験した。

介入:
10%~15%の減量達成後に、下記三種の等カロリーの食事を4週間ランダムな順序で食べてもらった。

・低脂肪食 (炭水化物60%、20%脂肪、20%蛋白質、高GL)
・低GI食 (炭水化物40%、脂肪40%、蛋白質20%、中GL)
・超低炭水化物食 (炭水化物10%、脂肪60%、蛋白質30%、低GL)・・・アトキンスダイエットをモデル 

評価項目:
主要項目:安静時消費エネルギー(REE)
二次項目:総エネルギー消費(TEE)、ホルモンレベル(レプチン、尿中コルチゾル排泄量など)、メタボリックシンドローム構成要素(コレステロール、中性脂肪、インスリン感受性、CRP、血圧など)

結果:
減量開始前に比べ、REEの減少は低脂肪食で最も大きかった(平均–205[95%CI:–265 to –144]kcal/d)、次いで低GI食(–166[–227 to –106]kcal/d)、そして超低炭水化物食が最も小さかった(−138[–198 to –77]kcal/d)・・・overall P=0.03、P for trend by GL=0.009

TEEの減少も同様のパターンを示した。
低脂肪食(平均−423[95%CI –606 to –239]kcal/d)
低GI食(−297[–479 to –115]kcal/d)
超低炭水化物食(−97[–281 to 86]kcal/d)
overall P=0.003、P for trend by GL<0.001

ホルモンレベルとメタボリックシンドローム構成要素も変わった
レプチンP<0.001
24H尿中コルチゾルP=0.005
末梢(P=0.02)及び(肝臓P=0.03)インスリン感受性インデックス
高比重リポ蛋白(HDL)コレステロールP<0.001
non-HDLコレステロールP<0.001
中性脂肪P<0.001
PAI-I(プラスミノ(-)ゲン活性化因子インヒビターI P for trend=0.04)
C-reactive protein、P for trend=0.05

結論:
過体重及び肥満の若い成人のケースでは、10%~15%減量後に等エネルギー食を与えると、REEおよびTEE共に低減し、低減幅が最も大きかったのは低脂肪食、次いで低GI食、超低炭水化物食の順であった。

ご参考:
低脂肪食は減量達成後のエネルギー消費量が最も低く、リバウンドを起こしやすいことを意味します。超低炭水化物ダイエットでは、メタボリックシンドロームの構成要素が改善されたものの、尿中コルチゾルの24時間排泄量は最も高く、更に、炎症や傷がある場合に血清中に増えるCRP(C-反応性タンパク質)値が高い傾向を示しました。因みに、コルチゾル分泌レベルが亢進すると、肥満、インスリン抵抗性、心血管系疾患を引き起こすと云われています。


マイコメント
この研究では、超低炭水化物ダイエット食は低脂肪ダイエット食と比べて、安静時代謝が1日平均67kcalも高く、総エネルギー消費量も1日326kcalもの差があり、栄養素配分やGL差によりエネルギー消費が異なることを述べています。
第334回の「低脂肪食ダイエット」の冒頭で触れたように、まさに“カロリーはカロリー?”という概念を否定する内容です。3群共に等カロリー(2000kcal)の維持食ですがFree Living条件下で行われていること、安静時代謝量は間接熱量測定法、総エネルギー消費(TEE)は二重標識水、Free Living条件下での身体活動は加速度計で測定されていますが、TEEの明細が明確でない事、期間が4週間の短期間の実験であることなど疑問が残りますが、一つの研究報告として参考になさってください。

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