第453回 腸内細菌アッカーマンシアは肥満を抑制し代謝不全を改善する


アッカーマンシア ムシニフィラ菌と呼ばれる優れた有用菌は、赤ちゃんから年配者まで全ての人間の腸粘液層に存在しています。
この細菌が肥満に伴う代謝不全の改善に有益であることがマウス実験で分かりました。

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アッカーマンシア ムシニフィラ菌に関するこれらの知見は、ブリュッセルcatholique de Louvain大学のPatrice Cani教授とオランダWageningen大学のWillem de Vos教授を初めとする研究チームにより明らかにされたもので、5月13日付け科学ジャーナル “Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS)”で公表された。

肥満や2型糖尿病は、脂肪組織の炎症、腸内細菌叢の組成の変化、腸内のバリアシステムの崩壊といった症状で特徴づけられる。
アッカーマンシア ムシニフィラ菌は、10年前にWageningen大学の微生物学研究所の研究者により、細菌等の体内侵入(感染)を防ぐ腸粘液層で発見されている。細菌のネーミングは発見者の微生物生態学者Antoon Akkermans博士(1941年~2006年)にちなんで名付けられた。
この細菌は非肥満のヒトやげっ歯類に大量に存在し、炎症や肥満のヒトおよびげっ歯類では少量であった。しかし、肥満や代謝不全における正確な生理学的役割は不明であった。

今回の研究で、肥満および2型(成人発症型)糖尿病のマウスでは、アッカーマンシア ムシニフィラ菌が減少していると、研究チームは結論づけた。
さらに、腸の生物叢に有用な効果を及ぼすことで知られるオリゴフルクトースのような難消化性繊維をマウスに投与すると、アッカーマンシア ムシニフィラ菌は正常化し増えることで、
これが代謝プロファイルの改善に相関することが観察された。

次に、有用効果とアッカーマンシア ムシニフィラ菌の発現とに因果関係があるのかチェックするために、普通のマウスにアッカーマンシア ムシニフィラ菌を投与した。
通常の食事では全く効果は認められなかったが、高脂肪食の結果として太りすぎとなったマウスでは、アッカーマンシア ムシニフィラ菌は食物摂取に影響することなく、脂肪量の増加、代謝性内毒素血症、脂肪組織の炎症、およびインスリン抵抗性など高脂肪食に由来する代謝不全の改善をもたらした。
アッカーマンシア ムシニフィラ菌を投与すると、炎症、腸のバリア、および腸ペプチド分泌をコントロールする腸の内因性カンナビノイドのレベルが増加したが、血糖値を左右する基質は正しいレベルのままであった。更に、腸のバリア機能が強化した。

熱殺菌された細胞では代謝プロファイルや粘液層の厚さが改善されなかったため、これらの効果は、活性のアッカーマンシア ムシニフィラ菌が必要であることを明らかにした。

ヒトでの研究はまだ行われていないが、その結果は可能性があると思える。
アッカーマンシア ムシニフィラ菌による治療により、炎症を減少させ、肥満を防止することができるであろう。

参照記事
Proceedings of the National Academy of Sciences
May 13, 2013,
Cross-talk between Akkermansia muciniphila and intestinal epithelium controls diet-induced obesity

Science Daily
May 15, 2013
Intestinal Bacterium Akkermansia Curbs Obesity

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