第785回 カロリー表示義務が全米に拡大


オバマ政権は25日、20以上の店舗を持つレストランはメニューに商品のカロリーを表示しなければならないとする最終表示規則を発表した。2010年の医療費負担適正化法(ACA)の一環であるこの変更で、ニューヨーク市とシアトル市でのカロリー表示義務が全米に拡大することになる。

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The Wall street journal
FDA Requires Calorie Counts at Restaurants
Updated Nov. 25, 2014
By Tennille Tracy


カロリー表示義務、全米に拡大へ―映画館やコンビニにも適用

この変更には、規則に不公平に組み込まれると主張する食品チェーンや小売業者などが強く反発、実施が数年間先延ばしされてきた。

食品医薬品局(FDA)による最終表示規則は、映画館、アミューズメントパーク、コンビニエンスストア、20以上の店舗を持つ食料品店内の調理済み食品に適用される。

影響を受ける業界の一部は、食品サービスは自分たちにとって本業ではないため規則の対象に入れられるべきではないと主張してきた。規則の対象になると、映画館のポップコーン、サラダバーの食べ物、コンビニのホットドッグ、テークアウトのピザなどにカロリーを表示しなければならなくなる。

加えて、当初の案では除外されていた一部アルコール飲料にもカロリー情報を付けなければならない。20カ所以上に自動販売機を設置している業者も対象だ。

FDAのハンバーグ長官は「肥満問題は一つの措置で解決できるものではない。この一歩は国民の健康にとって本当に重要だ」と語った。

規則は移動式屋台や移動式アイスクリーム販売、機内食を提供する航空会社には適用されない。同長官は「FDAは柔軟かつ現実的であろうと努めている」と述べた。

FDAは、消費者が外食する際の選択にもっと情報を与えることが目的だとし、米国民の摂取カロリーの約3分の1は外食によるものだと指摘した。

同長官は、11年に提案された同規則には1000を超す意見が寄せられたと述べ、そのため実現までに予想以上の時間が必要だったと語った。

食料品店、映画館、その他の企業は、これらの事業では実行が難しいとして、適用除外を求めていた。例えば食料品店は、調理済み食品は頻繁に入れ替わるため、全ての食品をテストして表示するのは不可能だと訴えている。

食料品店の業界団体である食品マーケティング協会(FMI)によると、規則実施により同業界が初年度に負担する金額は10億ドル(約1100億円)強になり、その後も数億ドルの負担が続くという。FMIの対政府ディレクター、ロバート・ロサド氏は「コストがあまりに高すぎるため、店舗で作った商品の価値が奪われてしまう」とし、「消費者は新しい選択肢を失うことになる」と述べた。

食料品チェーン大手のクローガーは以前にFDA向けのコメントで、新規則は失業者と商品の値上がりをもたらす恐れがあると述べている。規則が適用される小売業者には1年、自販機業者には2年の猶予期間が与えられる。

全米レストラン協会(NRA)によると、米国全体で20万超のレストランが新たな規則に従うことになる。NRAは規則を支持し、他の食品店舗も対象に含めるよう求めていた。

既にこの同種の条例を掲げている地域もあり、これを受けてマクドナルドやパネラ・ブレッドなどの大手レストランは全米でメニューにカロリー表示をしている。

消費者団体、公益科学センター(CSPI)の栄養政策担当ディレクター、マーゴ・ウータン氏は「チック・フィル・エーやデニーズのメニューにカロリー表示がないと違和感を覚える日がすぐにもやってくるだろう」と述べた。CSPIは、同規則が実施されればレストランはもっと低カロリーのメニューを提供するだろうとしている。

しかし、カロリー表示について調査をしたニューヨーク大学のブライアン・エルベル准教授は、表示がどの程度まで食生活に影響するかについては意見が分かれるとしている。

スタンフォード大学の11年の調査では、ニューヨーク市でメニューのカロリー表示が義務付けられたあと、スターバックスの常連客が注文する商品のカロリーの減少幅はわずか6%だった。この調査では、スターバックスの売り上げも影響されなかったことも分かった。

エルベル准教授は「規則が全米で施行されれば、理論的にはこれと異なる影響が出ると想像できるが、そうなるかどうかは分からない」と述べた。