第873回 年齢、食事、運動、体重、ウェストサイズの関係は?


ヒトは加齢に伴い太っていく。
学生時代に比べて食事の質は明らかに高めているのに・・・
何故なの?
米国South Carolina大学の研究チームは、“歳を取るに伴い身体活動量が減っていくからだ”という結論を出しました。

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Medicine & Science in Sports & Exercise:
April 2015 - Volume 47 - Issue 4 - p 743–750
Associations among Physical Activity, Diet Quality, and Weight Status in US Adults

目的:
米国成人のほぼ70%が過体重または肥満ですが、身体活動/食事の質/体重についての関係は、米国成人のrepresentative sample(代表標本:母集団を層に分け各層から無作為標本をとること)で調査されていません。本研究の目的は、中等度〜激しい身体活動(MVPA)、食事の質、および体重の状態との関連性を年齢層にわたって検討することです。

方法:
2003年~2004年及び2005年~2006年に行われたNational Health and Nutrition Examination Survey(国民健康栄養調査)に参加した年齢20歳から70歳までの男性2,587名/女性2,412/計4,999名を対象に検討した。
身体活動量は加速度計で測定しました。
食事の質は、Healthy Eating Index-2005 scores(健康的食事指数‐2005スコア)で評価した。
体重、BMI、及びウェスト周囲の測定はstandard National Health and Nutrition Examination Survey protocols(標準的国民健康栄養調査プロトコル)を用いて評価した。

結果:
年齢層にわたって、男女ともに年嵩になるほどMVPAは低いが、食事の質は高かった(P < 0.001)
BMIとウェスト周囲も年嵩になるほど高かった(P < 0.05)
年齢層内では、MVPAは男女ともに殆どの年齢層でBMIとウェスト周囲と逆相関した(P < 0.05)
食事の質は、男性では30~39歳/40~49歳(BMIのみ)/及び50~59歳で、女性では50~59歳で体重と逆相関した(P <0.05)。

結論:
米国人の男女を対象とした体重/身体活動/食事の質の調査で、年齢に伴うトレンドがはっきりと観察された。中程度~高強度の身体活動と体重については、男女ともに非常に一貫した関連性が認められた。しかし、食事の質と体重の関連は左程に顕著ではなかった。これらの知見は、米国成人の身体活動量を高め肥満を防止する取り組みをサポートするものである。

マイコメント(補足説明)
中程度~激しい身体活動についてのデータは、男性では20代がピークで41.4分、それ以降は38.8分(30代)/35.8分(40代)/26.5分(50代)/17.6分(60代)となっています。
女性も同じような傾向を示しており、20代で24.9分/60代で12分となっています。
亦、年齢層別の平均体重は纏めると下表の通りとなっています。

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“運動 or 食事?”についてエンドレスの議論が続いています。
時を同じくして、米国Indiana University School of MedicineのAaron E. Carroll教授は、ニューヨークタイムズで “To Lose Weight, Eating Less Is Far More Important Than Exercising More” というタイトルで食事の優位性を主張しています。もちろん、本論文の主筆者Dr Russ PateはRunner’s World Newswire宛てメールの中で、この記事に対して異議を唱えています。

小生が思うに、

年齢、性別、体組成値、性格、体力、知力、嗜好、環境、成長期、時間的制約etc/etc諸要因が交絡しています。ゆえに、黒 or 白、或いは、good or badと総じて論じても正しい結論は出ません。
個人の特性をしっかりと同定した上で、個別的に決められるべきではないでしょうか!

世界最大のスポーツ医学団体ASCMによる「Weight managementとは、食事制限や身体活動によって、肥満防止・減量・減量後の再肥満防止をすることである」という言葉が本質を語っているように思います。


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