第885回 赤肉は本当に糖尿病リスクの元凶ですか?


ドイツのGerman Institute of Human Nutrition Potsdam-Rehbruecke/German Center for Diabetes Research/University of Tübingenらの研究によると、「年齢、性別、ライフスタイル、食事、BMIを調整すると、赤肉による糖尿病リスクが26%高まる」、しかし、「フェリチンやグリシンなど6つの血中代謝産物が、赤肉とは無関係に糖尿病リスクに関連しており、これらを調整すると赤肉の糖尿病リスクは9%に下がった」ということです。

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American Journal of Clinical Nutrition
June 2015 vol. 101 no. 6 1241-1250
Amino acids, lipid metabolites, and ferritin as potential mediators linking red meat consumption to type 2 diabetes


背景:
習慣的に赤肉を食べると2型糖尿病の高リスクにつながることが観察研究で示されている。しかし、潜在的な発症機序は不明である。

目的:
本研究の目的は、赤肉と2型糖尿病発症を関連付ける血中代謝産物を同定することである。

デザイン:
27,548名を対象とした大規模研究“EPIC-Potsdam:癌および栄養コホートに対するヨーロッパ前向き調査”を用いて、コホート内症例(n=2681;糖尿病発症688症例)の分析を行った
習慣的な食事内容は半定量的食事頻度アンケートを用いて調査した。
赤肉の総摂取量とは未加工および加工された赤肉の摂取量を合計したものと定義した
大規模研究ベースライン時に採取した血漿サンプルから、赤肉とCoxモデルでの糖尿病リスクとの関連の橋渡し役と考えられる14アミノ酸、17アシルカルニチン、81グリセロリン脂質、スフィンゴミエリン14、及びフェリチンの濃度を測定した。
バイオマーカー調節後の糖尿病リスクの割合は、1000個のブートストラップ標本を生成して推計した。

結果:
年齢、性別、ライフスタイル、食事、BMIを調整後、赤肉の総摂取量は糖尿病リスクに直接的に関連していた[ハザード比 for 2 SD (11 g/MJ): 1.26; 95%信頼区間:1.01-1.57]

フェリチン、グリシン、ジアシルホスファチジルコリン36:4 & 38:40、リゾホスファチジルコリン17:0、ヒドロキシスフィンゴミエリン14:1の6つのバイオマーカーが赤肉の摂取と糖尿病に関連していた。

これら6つの血中代謝産物を調整後、赤肉と糖尿病リスクの関連は有意(P<0.001)に弱まった[ハザード比 for 2 SD (11 g/MJ): 1.09; 95%信頼区間:0.86-1.38]

各バイオマーカーによって説明できる糖尿病リスクの割合は69%であった(四分位範囲IQR:49%-106%)

結論:
我々の研究では、加工および未加工の赤肉を食べると、血中のフェリチン濃度は高くなり、グリシン濃度は低くなり、肝臓由来の脂質濃度は変化した。これら血中代謝産物は赤肉とは無関係に糖尿病リスクに関連しており、これらを調整すると赤肉の糖尿病リスクは大きく低減した。

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