第880回 長距離ランニングでの疲労耐性は女性の方が優れている


今般、仏Université de Lyon/加University of Calgary/仏Université de Savoie/仏Université Jean-Monnet de Saint-Étienneら共同研究チームから、男女20名を対象にした110kmウルトラ耐久走レースで、中枢性疲労は性差がないが、末梢性疲労では女性の方が耐性であることが報告されました。
因みに、筋肉疲労や眼精疲労など脳以外の末梢に由来する疲労のことを末梢性疲労(身体的疲労)と呼び、精神的ストレスなど脳が主体となって感じる疲労を中枢性疲労(精神的疲労)と呼びます。


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Medicine & Science in Sports & Exercise:
July 2015 - Volume 47 - Issue 7 - p 1372–1382
Are Females More Resistant to Extreme Neuromuscular Fatigue?


目的:
ウルトラ耐久性スポーツイベントにおいて、女性の方が男性よりパフォーマンスが優れている可能性があるということは興味深いけれど、長時間ランニング中の疲労についての性差は殆ど分かっていない。本研究では、110km超トレイルランニングレースに起因する中枢性疲労および膝伸展と足底屈筋群における末梢性疲労の性差について検討を行った。

方法:
記録タイムが同レベルのウルトラ耐久性トレイルランナー20名(男性10名、女性10名)を被験者として、レース前後に経頭蓋磁気刺激と電気的神経刺激を介して、最大随意収縮中/最大下随意収縮中およびレラックス状態での膝伸筋と足底屈筋の神経筋機能を評価した。

結果:
足底屈筋トルクの減少は男性−26%/女性−31%で有意な性差は認められなかったが、最大随意膝伸展トルクは女性よりも男性の方が大きく減少した(男性:−38% vs 女性:−29%, P = 0.006)
経頭蓋磁気刺激と電気的神経刺激で評価された最大随意活性化は、膝伸筋と足底屈筋いずれも男女共に同様の減少が認められた。

結論:
100kmウルトラトレイルランニングレース後、足底屈筋の末梢性疲労は男性より女性の方が少なく、膝伸筋の最大筋力損失は男性の方が大きかった。中枢性疲労の大きさは両筋で差異は見られず、経頭蓋磁気刺激を介してのアウトカムでも同様であった。
膝伸筋のおよび足底屈筋における末梢性疲労レベルが低い事から、長距離/長時間のランニングレースでは女性の方が優れたパフォーマンスを発揮すると言っても良いであろう。