第919回 減食/過食に対する体の反応


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Am J Clin Nutr October 2015
vol.102 no.4 807-819
Metabolic adaptation to caloric restriction and subsequent refeeding: the Minnesota Starvation Experiment revisited

論文タイトル:
カロリー制限とその後のリフィーディングへの代謝適応・・・ ミネソタ飢餓実験の再考

背景:
適応熱産生(AT)とは、除脂肪量(FFM)に依存することなくカロリー制限で安静時代謝量(REE)が減少することである。ATは減量を減衰させ体重の再増加に有利に作用するが、そのVariance(分散)、ダイナミクス、コントロールは曖昧なままである。

目的:
私たちの目的は、ATの分散とキネティクス(反応速度)、内分泌性決定因子が絡むこれらと体組成との関連、およびこれらが体重の再増加に及ぼす影響を調査することである。

デザイン:
非肥満の32名を被験者として、Overeating(過食1週間、維持カロリーの+50%)、カロリー制限(3週間、維持カロリーの-50%)、Refeeding(リフィーディング2週間、維持カロリーの+50%)をやってもらった。
ATとその決定因子は体組成と一緒に、定量的磁気共鳴/全身MRI/同位体希釈/窒素および液体バランスを用いて測定した。

FYR
Overeating(過食)とはエネルギー収支バランスがプラスになるよう食べること(摂取カロリー>消費カロリー)であり、Refeeding(リフィーディング)とは、カロリー制限による低栄養状態からの栄養補給を意味します。


結果:
体重の変化は、+1.8 kg (過食)、−6.0 kg (カロリー制限)、+3.5 kg (リフィーディング)だった。
カロリー制限で、脂肪量は1日当たり-114g、FFMは-159gそれぞれ減少した。
FFMの内訳は骨格筋(-5%)、肝臓(-13%)、腎臓(-8%)だった。

更に、カロリー制限することで下記アイテムが低減した:
・安静時代謝量(-266 kcal/1日)
・呼吸商(-15%)
・心拍数(-14%)
・血圧(-7%)
・クレアチニンクリアランス(-12%)
・ウォーキングエネルギーコスト(-22%)
・交感神経系の活性(-38%)
・血漿レプチン(-44%)
・インスリン(-54%)
・アディポネクチン(-49%)
・3,5,3 '-トリヨードサイロニンT3(-39%)
・テストステロン(-11%)

ATは安静時代謝量を1日当たり108kcal(48%)減少させた。
その内FFMは36kcalなので、真のATは72kcal/1日ということになる。

ATの減少はカロリー制限3日以内で有意に認められ、インスリン分泌(R = 0.92、P <0.001)/心拍数(R = 0.60、P <0.05)/クレアチニンクリアランス(R = 0.79、P<0.05)/負の体液バランス(R = 0.51、P <0.01)/自由水クリアランス率(R = -0.90、P <0.002)の減少と関連していた。

食事制限による交感神経系の活性/漿レプチン/グレリン/T3の変化はATとは関連していなかった。

結論:
体重減少の初期の段階では、ATはインスリン分泌と体液バランスの低下と関連している。
この試験は、NCT01737034としてclinicaltrials.govに登録されました。


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