第1056回 ダイエットするなら塀の中?


コーヒーブレイク(^.^) 

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糖尿病を治すなら塀の中

人間ドック学会の第46回学術大会で、ユニークな研究成果が福島刑務所医務課から報告されています。

1998~2004年に同刑務所に服役した男性の 2型糖尿病受刑者109人(平均年齢51歳/入所期間17ヶ月)を対象に医療記録の追跡調査を行った結果、空腹時血糖の平均値は、入所時184mg/dLだったものが出所前には113mg/dLに、またHbA1cは入所時の8.4%が出所前は5.9%に有意に低下した。インスリンで治療していた17人のうち5人が注射をやめることができた。経口血糖治療薬で治療していた34人についても17人が服薬を中止できたそうだ。
併せて、体重やBMIの平均値も有意に減少したことが報告されています。


ダイエットするなら塀の中

いったい刑務所ではどんな食事が割り当てられているのだろうか?

法務大臣の訓令で受刑者の1日の総摂取カロリーは、成人男性で1日当たり2200~2600kcalです。
ご飯の量(麦3:米7)は、労働や年齢に応じてA食1600kcal(400g)/B食1400kcal(350g)/C食1200kcal(300g)に分かれており、副菜は全員1000kcalです。因みに、生活習慣病を患っている受刑者には減塩食やカロリー減食の提供あり。
総摂取カロリーに占める炭水化物の割合を計算すると、A食:62%、B食:58%、C食55%となります。

さて、みなさんご存知のホリエモンこと堀江貴文氏は、1年9ヶ月の服役で体重95.7kgから65kgへの減量-30.7kgに成功しています。割り当てられた食事は炭水化物を一番多く含むA食なのに!


研究の種類

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システマティックレビュー/メタ解析は上表が示すように、エビデンスのランキングとしては最上位にあります。
しかし、26%以上の論文にspin(科学のごまかし)があったことがオーストラリアSydney大学から報告されています。

糖質セイゲニストが引用するシステマティックレビュー研究の多くは、自らに都合の良いものばかりを集めている傾向感が否めません。
“거짓말도 백번 말하면 진실이된다…ウソも百回言えば真実になる”という韓国の諺がありますが、折角のシステマティックレビューもこうなってしまうと意味がなくなります。


観察研究は期間も長くサンプル数も大きい。しかし、比較調査や相関関係は調べることが出来ますが、一部の例外(メンデル無作為化解析)を除いて因果関係については言及することが出来ません。
観察研究における収集データ、例えばダイエットに関するFood Frequency Questionnaire(食事摂取頻度調査票)は誤差が多く、肥満者は摂取量と消費量を大体30%のバラツキで過小報告/過大報告していることが報告されています。


RCT(ランダム化比較試験)については、『先行研究を再分析したところ、35%の研究が治療されるべき患者数やタイプに関しオリジナルの論文とは異なる結論に変わった』ことが米国スタンフォード大学から報告されています。

病院での入院患者を被験者としたRCT研究は正確性という点では優れていますが、長期には適していません。1年以上も入院する患者は稀有でしょう。加えて、通院患者の場合は観察研究と同様に食事や身体活動など自己報告による収集データに誤差が生じやすい。
その意味では、研究センターの代謝室に閉じ込めて24時間管理下でカロリーを厳重にコントロールするRCT研究は、精度と正確性の点では他に大きく勝ります。しかし、費用が嵩むため被験者数が少なく試験期間が短いことがネックです。


Take home message
このようにみると、糖尿病と健常な受刑者を対象として振りわけ、デザインや測定方法にもう少し工夫を凝らした研究をすれば、“2型糖尿病の食事療法として糖質制限が最効”とか、“肥満の原因は炭水化物(糖質)”と頑なまでに主張する一部のドクターたちを否定する有力な科学的証拠(エビデンス)になるでしょう。
是非とも再現していただきたいものです。