第1094回 腸内の善玉菌 vs 悪玉菌


腸内細菌叢の組成がダイエットに関係しているそうです。

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Mayo Clinic proceedings
Gut Microbial Carbohydrate Metabolism Hinders Weight Loss in Overweight Adults Undergoing Lifestyle Intervention with a Volumetric Diet

アブストラクト

肥満の発症は右肩上がりで増えており、現在の治療戦略は見直す必要がある。
本研究の目的は、腸内細菌叢の構成的/機能的特徴が、過体重および肥満成人のライフスタイル介入プログラムの成果に影響を及ぼすかどうかを見極めることだった。

Mayo Clinic研究チームは、“Mayo Clinic 肥満治療研究プログラム(2013年8月6日~2013年9月12日)”に参加した26名の腸内細菌サンプルを採取し分析した。

この26名は、インフォームドコンセント(医師が病状や治療方針を分かりやすく説明し、患者の同意を得ること)が可能な年齢18~65歳の過体重/肥満者(BMI:27〜39.9)であった。
糞便サンプルはベースライン時と3ヶ月後に採取した。
3ヶ月後に少なくとも5%の体重減少が達成できれば成功と定義した。
3ヶ月後に26人中9人が少なくとも-5%の減量を達成した。
減量成功群では平均-7.89kg(95%CI、6.46-9.32kg)であり、減量5%未満群では-1.51kg(95%CI、0.52-2.49kg)であった。
減量≧5%群と5%未満群の臨床特性および腸内細菌叢の組成/機能を比較した。

成功群ではファスコラークトバクテリウムが増加した。対照的に、5%未満群ではディアリスターの増加と “腸内細菌微生物炭水化物活性酵素”をコードする遺伝子の量の増加が観察された。
結論として、炭水化物代謝の能力が増大した腸内細菌叢は、過体重・肥満者のライフスタイル介入プログラムによる体重減少と関連するようだ。

マイコメント

腸内細菌は難消化性の食物繊維を栄養にしているだけでなく、腸管内に分泌する糖質も利用して生息していると考えられています。

ディアリスター属は、これまでヒトの口腔内や臨床材料から4菌種が見つかっており、ヤクルト中央研究所が発見したディアリスター サクシナティフィラスは5つ目の菌種です。

腸内細菌微生物炭水化物活性酵素(CAZy)の基質はヒト由来の糖質、すなわち腸管に存在するムチン糖たんぱく質糖鎖や母乳オリゴ糖です。

日本の共同研究グループによる先行研究で、ヒトの腸内細菌が国によって多様性があること、また日本人において特徴的な腸内細菌が存在することが初めて明らかにされています。この研究では、19-60歳の健康な日本人の男女106名および欧米/中国を含めた12ヶ国のヒトの腸内細菌のデータを解析しました。日本人腸内細菌叢は、①ビフィズス菌やブラウチア等が優勢し古細菌が少ない、②炭水化物やアミノ酸代謝の機能が豊富である一方で、細胞運動性や複製・修復機能が少ない、③他の11カ国ではおもにメタン生成に消費される水素が日本人ではおもに酢酸生成に消費される等の違いや特徴が明らかとなりました。このほか、④海苔やワカメ(の多糖類)を分解する酵素遺伝子が、約90%の日本人に保有されるのに対して、他の11カ国では〜15%となり、本酵素が日本人集団に特徴的に広く分布していることも明らかとなりました。以上のような日本人腸内細菌叢の特徴には、生体に有益な機能が外国よりも多く含まれ、その総合的な有益性は日本人の世界一の平均寿命や低い肥満率等と関連することが示唆されました

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今回取り上げたMayoクリニックによる研究は、自らが語っているように予備研究(パイロット・スダディ)であり、腸内細菌叢の体重減少の役割を確認するには更なる研究が必要です。