Nice Body Make・・・よもやま話

アクセスカウンタ

zoom RSS 第1110回 低炭水化物食が減量後維持中のエネルギー消費量に及ぼす影響

<<   作成日時 : 2018/11/18 12:51   >>

トラックバック 0 / コメント 0


炭水化物−インスリンモデル(CIM)を主唱するDr David S Ludwigらによる研究では、低炭水化物食にすると高炭水化物食に比べて1日当たりの総エネルギー消費量が209〜278kcal、又は、炭水化物のエネルギー比率が10%低下するごとに50〜70kcal増加したそうだ。減量体重の維持および心血管疾患の予防には、脂質を減らすよりGI値(グリセミック)を下げる方が食事戦略として望ましいことが示唆されている。


画像


BMJ
2018/11/14
Effects of a low carbohydrate diet on energy expenditure during weight loss maintenance: randomized trial

目的:
炭水化物/脂質の摂取比率が総エネルギー消費量に及ぼす影響を決定する。

デザイン:
ランダム化試験。

設定:
2014年8月から2017年5月に行われたフラミンガム州立大学のFood study(FS)とコラボした。

参加者:
BMI>25以上の成人(18〜65歳)164名

介入:
12週間のRun-in-phase(減量期)で12%(±2%)の減量を目指し、CFPそれぞれ45:30:20%の構成で欠損カロリー60%の食事とした。

減量後のTest-phase(維持期)20週間は、無作為に炭水化物60%の高炭水化物食群(54名)、40%の中程度炭水化物群(53名)、20%の低炭水化物群(57名)のいずれかに割り付けた。たんぱく質は各群共20%とした。維持期の体重変動は±2kgとなるようにカロリー調整を行った。
carbohydrate-insulin modelで予測されるeffect modification(交互作用)を検証するために、サンプルは減量前のインスリン分泌(口グルコース30分後のインスリン濃度)の3分位に別けた。

評価項目:
主要評価項目は、二重標識水で測定した総エネルギー消費量でITT解析を用いた。
より正確な効果推計値を検討するため、目標体重を維持した参加者も含めてプロトコル毎の解析を併せて行った。副次的結果は、安静時エネルギー消費量、身体活動量、レプチンとグレリンのレベルであった。

結果:
Run-in期で各群9.6kg(10.5%)の体重減少が認められた。
20週間のtest期の結果は次の通り:

体重の変化は平均して1kg未満で群間差はなかった。

ITT解析(n=162, P=0.002)では、食事の種類で総エネルギー消費量は異なり、炭水化物のエネルギー比率が10%減少するごとに52kcal/日(95%CI 23〜82)増加する線形傾向を示した。

高炭水化物食群と比較して他2群の1日の総エネルギー消費量は次の通り。
中程度炭水化物食群:91kcal(95%CI -29〜210)高かった。
低炭水化物食群:209kcal(95%CI 91〜326)高かった。

プロトコル毎PC解析(n = 120、P <0.001)では、それぞれの差は131 kcal/1日 (95%CI -6〜267)から278 kcal/1日(95%CI 144〜411)だった。

減量前のインスリン分泌の第3分位数つまりが最も高かった参加者に関しては、高炭水化物食と低炭水化物食の違いは、ITT解析で308kcal/1日そしてプロトコルごとの分析では478kcal/1日であった(P <0.004 )。

グレリンは、低炭水化物食群のグレリンは高炭水化物食群に比べていずれの分析でも有意に低かった。レプチンもプロトコルごとの分析では同様であった。

結論:
carbohydrate-insulin modelと合致して、炭水化物の摂取量を減らすと減量維持期のエネルギー消費は増加した。この代謝効果は特にインスリン分泌が高い人たちで、肥満治療の成功率を高めることが期待できよう。


マイコメント

総エネルギー消費量の60〜70%を占める安静時代謝量(=基礎代謝量x1.2)は下表が示す通り顕著な増減はありません。身体活動またはその他の未知因子を以って、“炭水化物の摂取比率を引き下げによる総エネルギー消費量の増加”の理由として説明することには無理があります。
また、インスリン分泌が最も大きかった群を例として計算すると、消費カロリー1日当たり478kcalは20週間で約9kg(478kcal x 20週間 ÷ 7200kcal)に相当しますが、この論文では維持期の総エネルギー消費量が主要評価項目とは言え、体重の変化が全く見えてこないように設定していること自体が不自然です。
因みに、LudwigはCIM研究論文で ”CIM obeys the First Law of Thermodynamics specifying conservation of energy”と述べており、熱力学第一法則を否定していません。

画像


関連記事:
この研究論文に対して、Dr Kevin Hallやその他の専門家から、“結論を導き出すには試験方法論に問題ある”とのコメントが寄せられています。

Medscape
2018/11/15
Low-Carbohydrate Diets May Increase Energy Expenditure

わたし的には、直近の研究論文↓では総じてreasonableでSIMのゴリ押しはないので、当該論文との温度差が目立ちます。

Science
2018/11/16
Dietary fat: From foe to friend?

ブログ関連記事
第338回 リバウンドに及ぼす三大栄養素の影響






テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

第1110回 低炭水化物食が減量後維持中のエネルギー消費量に及ぼす影響 Nice Body Make・・・よもやま話/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる