第1118回 炭水化物制限食は体重減少とは無関係に生活習慣病を改善する


『2型糖尿病の発症リスクのある人たちにとって、低炭水化物食は体重を減らさなくても有益のようだ』という米国オハイオ州立大学の研究報告を紹介します。

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JCI insight
June 20, 2019
Dietary carbohydrate restriction improves metabolic syndrome independent of weight loss

背景:
メタボリックシンドロームは肥満および心血管疾患リスクと大いに関連するが、炭水化物の重要性については意見が分かれている。ここでは、「肥満そのものではなく炭水化物不耐症が、メタボリックシンドロームの基本的な特徴である」という考え方が正しいかどうかを検証する。

方法:
メタボリックシンドロームと診断された16名の男女(年齢21~65歳、体脂肪率:平均40.2%、BMI:平均40)を被験者とし、3種類の食事パターン(LC=低炭水化物食、MC=中炭水化物食、)を割り当てた。いずれも維持カロリー(2950kcal)で、期間は4週間とした。詳細は下図の通りである。

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結果:
体重は不変であるにもかかわらず、低炭水化物食は脂肪酸化を高め、メタボリックシンドローム治療に一層の効果があった。特に、高中性脂肪、低HDL-コレステロール、small LDLサブクラスに改善がみられた。更に、低炭水化物食では異常脂肪酸組成の改善が認められた。高炭水化物食に比して、低炭水化物食は2.5倍の飽和脂肪酸を含んでいたが、血漿総飽和脂肪酸とパルミトオレイン酸が減少し、アラキドン酸が上昇した。

結論:
これらの結果は、メタボリックシンドロームが食事性炭水化物不耐症として現れる病理学的状態であるという見解と一致しており、“高炭水化物食と比較して、低炭水化物/高脂肪食が体重や体脂肪量とは無関係にメタボリックシンドロームに利点をもたらす”ことを示している。

マイコメント
本研究での低炭水化物食の炭水化物の含有量は45g(31-58)となっており、厳密にいうと低炭水化物ケトン産生食(Low-carb ketogenic diet)である。それはさておき、糖尿病の食事療法としての低炭水化物食の安全性について長期のエビデンスが肝要と言われ続けて久しい。ADAコンセンサスレポート2019年には、『低炭水化物食を長期に継続することは容易でなく、血糖コントロールの優位性も短期にしか持続しないこと、更に、低炭水化物食による糖尿病予防効果は明らかになっていないこと』が明記されていますが、本研究も短期で小規模であり、これらのADA指摘を覆すエビデンスたり得ない。
亦、低炭水化物食の飽和脂肪酸は100g/dayで、高炭水化物食に比べて2.5倍になってはいるが、体に良しとされる発酵食品のチーズがメインとなっている。 “糖質制限ではお肉は腹いっぱい食べても大丈夫”が糖質セイゲニストの決まり文句なのに、本研究では赤肉や加工肉には一切触れておらず不自然さを感じる。






この記事へのコメント

東郷
2019年08月05日 20:38
はじめまして、東郷と申します。
いつもためになる記事を掲載していただき、誠に有難うございます。
どうお呼びすればいいのかわからないので、先生と呼ばせていただきます。

私は62才男、Ⅱ型糖尿病歴約15年ですが、現在は境界型糖尿病へと治ってきています。医療関係者ではなく、ズブの素人、ただのサラリーマンです。
よろしくお願いいたします。

このブログにこのタイミングでコメントができるようになったのは、私にとっては大変幸運でした。現状、とりあえずこの記事にコメントさせていただきます。

本日、第548回の記事を他のブログのコメント欄にリンクさせていただきましたので報告いたします(先生も大好きなブログです(笑))。

http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-4963.html#comment45175

一連のやり取りの中の「Re4-2: りんごさんの疑問に加えて」の最後にリンク先をつけさせていただきました。

先生の力作とも言えるこのブログ「Nice Body Make・・・よもやま話」のおかげで、私のような素人でもなんとかこのようなコメントを作成することができました。

重ね重ね御礼申し上げます。